『「語りえぬもの」からの問いかけ――東大駒場〈哲学・宗教・芸術〉講義』
宮本 久雄・岡部 雄三 編 20020315 講談社,238p.
■宮本 久雄・岡部 雄三 編 20020315 『「語りえぬもの」からの問いかけ――東大駒場〈哲学・宗教・芸術〉講義』,講談社,238p. ISBN-10:4062107554 ISBN-13:9784062107556 \1680 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
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東大教養学部駒場校舎の俊英の教官たちが、2001年夏学期に行なった1・2年生対象のテーマ講義11の記録である。「世界の閃き―ハイデガーの思考」「空海における『源』ということ」「金子光晴『うれひの花』のありか―詩と絵画の彼方へ」など、哲学、思想、歴史、宗教、芸術、ドラマなどをテーマとした実験的講義が行なわれ、思考の極み、表現の臨界点に達したと高い評価を集めた。
著書は11人の個性豊かな講師陣。全員が東大大学院総合文化研究科と人文社会系研究科の教授・助教授で、気鋭の研究者ぞろいである。このうち、哲学が専門の宮本久雄とヨーロッパ神秘思想が専門の岡部雄三が編者を務めた。また本書のタイトルともなった「語りえぬもの」という魅力的なテーマを見出したのは、哲学が専門の門脇俊介であり、参加者は全員このテーマに「魂を射ぬかれ」、各々の得意分野でこのテーマを語るという試みに挑んだという。
この深遠なるテーマを前に、いにしえの文化に思いを馳せ、宗教の経典に描かれた教えを検証し、芸術家たちの創作的試みへの論考を重ねる。いささか難解な表現も多いが、この冒険的な思索はこの上もなく贅沢である。大学という場で誕生した11編のメッセージが1つの交響曲となり、荘厳な音色が心に響く。「日常とは別の次元の眼差しと言葉」をもち、豊穣な思考の大海にたゆたう幸福は、この忙しい現代にこそ光り輝いてみえる。(田島 薫)
出版社/著者からの内容紹介
ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、歴史の物語論が交錯し、空海、死者追悼、神秘主義が邂逅。そしてオイディプス、憂いと沈黙の詩人、ゴッホが響き合う、永遠のポリフォニー。
内容(「BOOK」データベースより)
思考の極みへ。表現の限界へ。言語の彼方へ。東大駒場の俊英教官たちが、教養学部学生を前に考え抜き、語り尽くした臨界点。
内容(「MARC」データベースより)
思考の極みへ。表現の限界へ。言語の彼方へ。東大駒場の俊英教官たちが、教養学部学生を前に考え抜き、語り尽くした臨界点。『論理哲学論考』と「人生の無意味さ」について(野矢茂樹)、世界の閃き(門脇俊介)など全11講。
■著者
著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より)
- 宮本 久雄
- 1945年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。博士(学術)。専門は哲学
- 岡部 雄三
- 1952年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はヨーロッパ神秘思想
- 野矢 茂樹
- 1954年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門は哲学
- 門脇 俊介
- 1954年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は哲学
- 高橋 哲哉
- 1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門は哲学
- 竹内 信夫
- 1945年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はフランス近代詩、密教思想
- 杉田 英明
- 1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。学術博士。専門は比較文学比較文化・中東地域文化研究
- 甚野 尚志
- 1958年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門は静養中世史
- 三浦 篤
- 1957年生まれ。パリ第四大学文学博士。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専門は西洋美術史
- 今橋 映子
- 1961年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。博士(学術)。専門は比較文学比較文化
- 沼野 充義
- 1954年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門はロシア・ポーランド文学
■目次
序 「語りえぬもの」の痕跡 (宮本 久雄)
第1章 「語りえぬもの」の語り――哲学の思考
第1講 『論理哲学論考』と「人生の無意味さ」について (野矢 茂樹)
第2講 世界の閃き――ハイデガーの思考 (門脇 俊介)
第3講 歴史の物語論と「物語りえぬもの」 (高橋 哲哉)
第4講 「無」・荒野に咲く花 (宮本 久雄)
第2章 「語りえぬもの」との対峙――宗教の智慧
第5講 空海における「源」ということ (竹内 信夫)
第6講 酒と杯が溶け合うとき――イスラム神秘主義の世界 (杉田 英明)
第7講 西洋中世における幻視と死者追悼 (甚野 尚志)
第8講 表現者としての神と人間――エックハルトの神秘思想 (岡部 雄三)
第3章 「語りえぬもの」の表現――芸術の美
第9講 芸術という名の宗教――ゴッホをめぐって (三浦 篤)
第10講 金子光晴「うれひの花」のありか――詩と絵画の彼方へ (今橋 映子)
第11講 「言い表せないもの」の詩学――チュッチェフ「沈黙!」の逆説 (沼野 充義)
おわりに 未知の世界へ (岡部 雄三)
著者紹介
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:角田 あさな