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『日本社会とジェンダー』

三宅 義子 編 20011220 明石書店,叢書 現代の経済・社会とジェンダー3,276p. ISBN: 4750315060  3800+



■三宅 義子 編 20011220 『日本社会とジェンダー』,明石書店,叢書 現代の経済・社会とジェンダー3,276p. ISBN: 4750315060  3800+ [amazon] ※

内容(「MARC」データベースより)
階級、人種、民族などの問題領域と隣接・交錯しながら存在しているジェンダー概念、ジェンダー・アプローチの分析力を、日本の近現代史にあてはめて、多様な専門分野からの分析方法を提示しながら問題を掘り起こす。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
竹中 恵美子
龍谷大学経済学部教授、大阪市立大学名誉教授。経済学博士

久場 嬉子
東京学芸大学教育学部教授

三宅 義子
山口県立大学国際文化学部教授

牟田 和恵
甲南女子大学人間科学部教授

竹内 敬子
成蹊大学文学部教授

川東 英子
松山東雲女子大学人文学部教授

宋 連玉
青山学院大学経営学部教授

藤目 ゆき
大阪外国語大学外国語学部助教授

舘 かおる

目次

第1部 近代日本とジェンダー
 日本の社会科学とジェンダー――女工哀史言説をめぐって
 近代日本のフェミニズムの再検討――メディア・イベントとしてのフェミニズム
 工場法とジェンダー――1911年工場法と女性をめぐる「仮説」の受容
 日本的労使関係の源流――1920年代の近代的労働者の創出と性別分業の成立
 朝鮮「新女性」に見る民族とジェンダー
第2部 戦後社会とジェンダー
 冷戦体制形成期の女性運動――占領下の日本民主婦人協議会と朝鮮戦争
 戦後日本の学校教育とジェンダー――学校と性別カテゴリー
 解釈共同体としての「やおい」サブカルチャー――消費社会の高度化と女性たちのオルタナティブな語り
 女性の戦略――「家父長制」を超えて

◇竹内 敬子 20011220 「工場法とジェンダー――1911年工場法と女性をめぐる「仮説」の受容」,三宅編[2001:075-099]

 「さて、工場法史をジェンダーの視点から見直す作業が1970年代以降めざましく進展しているにもかかわらず、奇妙なことに、これらの成果はわが国の工場法史研究にはほとんど反映されているないようである。姫岡とし子も批判するように、わが国の工場法史研究においては、工場法のジェンダー・スペシフィックな性格の含意が問われることはなく、その傾向は最近の研究においても同様である23)。千本暁子は、わが国はじめての工場法である1911年法を女性保護を実現した「大きな前進」としており、この点については姫岡も批判的である24)。もちろん、工場法のジェンダー・スペシフィックな性格のもつ否定的側面が大勢を占めても、あえて工場法を積極的に評価する立場もありうる。「資源をもたない」男女労働者にとってジェンダー・スペシフィックな工場法を求めたのは他に選択の欲のない戦略であるとして、工場法の積極的意義を再評価しようとしたジェーン・ハンフリーの研究などはそれにあたろう25)。しかしながら、千本は少なくとも、女性保護の否定的含意を強調する近年の研究との緊張関係の中でそれをすべきだったであったろう。」(竹内[2001:83])


◇川東 英子 20011220 「日本的労使関係の源流――1920年代の近代的労働者の創出と性別分業の成立」,三宅編[2001:101-127]

「結論を先取りしていえば、第一次世界大戦後の1920年代に、日本的労使関係の原型が形成されてくるが、まこにその時、その対象となる重工業の大企業男子労働者の家庭で、相対的高賃金に支えられて、単独稼得で生活できる近代家族が成立してきたのである。とはいえ、生活水準に落差があり、かつ、これまで多就業であった下層社会でも、同様に、妻の就業率が減少し、近代家族が成立してくることも事実である。つまり、経済的基盤の有無にかかわらず、幅広い層で同時に近代家族が成立してきたわけである。その意味では、近代家族の成立には、経済的要因だけではなく、それとは別の要因も作用していると考えられる。そして、そのような要因のうち重要なものが、良妻賢母思想と家庭イデオロギーであり、これらは国民国家成立に不可欠の近代家族を成立させるために明治半ば以降普及してきたイデオロギーであった。」(川東[2001:102])

UP:20060107 0203
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