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『新 大学教授になる方法』

鷲田 小彌太 20011129 ダイヤモンド社,320p.

last update:20140527

鷲田 小彌太 20011129 『新 大学教授になる方法』,ダイヤモンド社,320p. ISBN-10:447878292X ISBN-13:978-4478782927 \1800+税 [amazon][kinokuniya]  ※


■内容


商品説明
1991年刊行のベストセラー『大学教授になる方法』に待望の全面改訂版が登場。前作同様、大学教授になることのメリットとやりがい、就職状況、なるための方法を具体的に示している。

本書のおもしろいところは、大学教授になることのメリットやデメリット、なるための裏技などを包み隠さずに公開している点だ。メリットは「給与が保証され、休日が多い」「研究費つき」「長期留学や学会出張の名目で、遊学や名所見物が堂々とできる」「社会的に一定度の信用がある」「定年が遅い」など、デメリットは「足の引っ張り合いは日常茶飯事」「平均して、大学卒業後10年間の準備期間が必要」「少子化」などが挙げられている。また、修士課程を卒業しなくても大学教員になれる方法、サラリーマンから転身する方法、教授になるためには避けて通れない学術論文を書く方法なども記されている。海外進出を考えている人のために、アメリカの大学事情が紹介されている点も便利だ。

『大学教授になる方法』から10年たった今回の著作には、前著を読んで大学教員になったという読者の手紙が掲載されている。ここで述べられているノウハウがすべて正しいかどうかは別にして、漠然と「将来は大学で働きたい」と考えている人には参考になる。(土井英司)

内容紹介
今や“大学教授”は高校教師より“広き門”だ!“教授”志望者必読のベストセラーから10年、待望の新版登場。


■目次

まえがき
はじめに
I 大学教授のおいしい生活――その魅力と誤解
第1章 最初に間違わないために、ご注意!ご注意!
第2章 大学教授になろうとする動機を点検してみよう
第3章 大学教授の”おいしい生活”の実態は?
第4章 学べば人生が楽しくなる

II 大学教授への道(ステップ)――必勝法と裏技
第5章 大学教授になるのに資格はいらないが…
第6章 大学院入学が大学教授の門を開く
第7章 学術論文が必要だ
第8章 大学教授への”必勝法”
第9章 大学教授をめざす人に大声で知らせたい10の裏技
第10章 買い手市場で、最初の就職口を得るための心得は?
第11章 大学リストラの時代が訪れた、新規参入組には最大のチャンス!
第12章 意外や意外!転職組は「教養」に欠けている
第13章 指導教授の”就職斡旋力”は意外に弱い?定職への道を積極的に求めよう
第14章 いまいちど大学教授職の魅力を考える

III 大学という就職先――雇用市場と大学改革
第15章 大学は膨大な雇用市場である
第16章 あえて”危険”な大学に就職しよう
第17章 売れる分野、売れない分野はどれだ?
第18章 『大学教授になる方法』はもう古いか?

IV サラリーマンから教授へ――事例研究 Q&A
第19章 読者から熱い質問が大挙到着!大学教授になる諸「困難」の質問に答える
対談 ”師弟対談”で検証する「サラリーマンが大学教授になる方法」

V 元気のいいアメリカの教授に学べ――現地取材
第20章 鷲田 小彌太、アメリカの大学教授を訪ねる
第21章 アメリカの大学教授への道を、日本と比較してみれば
第22章 大学教授になる動機はさまざまだ。偶然が支配する
第23章 アメリカの大学の底力は教養大学(リベラルアーツ・カレッジ)にある
第24章 教育中心主義の「牙城」コミュニティ・カレッジは、教授職の最大供給口だ
第25章 アメリカの大学は学生数も教授数も飽和状態に達しているのに、元気だ
対談 吉村作治教授と語る大学教授の現状とこれから

おわりに

■引用

◆研究や教育は、昨日今日ガンガン頑張ったから、成果が見込める、というものではありません。どんなに独創的なひらめき(アイディア)が生まれたとしても、生まれたとしても、それを形あるものにするためには、暇と手間、時間がかかります。ステッディとは、ステップ・バイ・ステップ、デイ・バイ・デイで、これは大学であろうが企業であろうが、同じことです。[2001:28]

◆大学は、はじめから、国際的です。「学問」とは英語でいうと「sciences」です。万国共通のものをめざします。…研究と教育内容には「国境」や「宗派」はない、という「前提」に立っています。/これに対して、高校までの教育(研究)は、基本的には、民族教育です。立派な国家市民をつくるための教育です。…ところが、万国共通な学問をめざす大学には、「共通」の教科書はありません。学問は「共通なもの」(普遍)をめざしますが、「絶対不変な真理」は存在しない、という前提に立ちます。教育研究者自身が「普遍」をめざして研鑽した結果が大学の「教科書」になるのであって、あらかじめ、間違いのない一様の教科書など存在しないということです。だからこそ、大学教授は、探求をやめるわけにはゆかないのですね。…/高校までについては…共通の教科書(学科)をきちっと習得すること、教授することがあくまでも基本です。[2001:29-30]

◆高度知識技術時代は、高スピードの時代です。昨日有効だった知識や技術が、今日無効になるなどは日常茶飯事です。一生、一系列の知識や技術を抱いて研究教育に励むことのできる時代ではないのです。/時代の変化とスピードを十分に考慮に入れて生きるためには、専門を含むかなり広い学際的あるいは超学的思考や知識が必要になります。つまりは、高度な教養です。[2001:34]

◆大学教員(専任)に採用される年齢は、大学卒業後10年が普通です。その間、大半は、自費で授業料、研究料をまかなわなければなりません。10年遅れて定職に就き、10年遅れて定年に達するのですから、定年が遅いという点は特に大学教師の特権でも何でもないということです。要は、早く社会に出るのか、遅れて出るのかの違いです。[2001:69]

◆学ぶといっても、自分の好みだけを自分の周囲に集め、それに耽溺しているだけでは、学問研究になりません。…自分の嫌いな、自分の知らない世界に対しても好奇心を発動させる性向をもたなくてはならないのです。/そのためには、文系であろうが、理系であろうが、学生時代は、本から学ぶのがもっとも簡便で有効な道です。研究者になろうという人が、本を読まないでどうする、というのが私の意見です。本とは、自分で直接経験できない世界を開く扉です。読むとは、ホッブズもいったように、「世界を読む」ことと同義なのです。/もちろん、本を読めば事足りるなどといっているのではありません。先人の遺産を読み解く自在の能力をつけることが、自分の専門領域のみならず、未知の領域に足を踏み入れる動力になるのです。[2001:84-85]

◆全体として、選考は厳しくなります。その選考基準の中でいちばん問題になるのは、やはり、学術論文の質と数でしょう。…学術論文が水準に達しておらず、数もそろっていなければ、お呼びでない、といわれても仕方ありません。…研究成果があり、それを教育に生かすことができて、一人前の教師といえるのではないでしょうか。学術論文は、研究能力があるかないかを見きわめる、最初のリトマス試験紙である、と考えてください。…あなた方が書く論文は、…選考委員を…まず感心、納得させなければなりません。[2001:88-89]

◆論文のオリジナリティとは、「まだ書かれていないもの」です。すでに書かれたのか、そうでないのか、を見きわめるには、すでに書かれたものを調べる必要があります。/論文で、既知、既述のものを、私が発見し、はじめて述べた、と書いたら、未調査や無知ではすまされません。詐欺、盗作の行為になります。…/研究とは、既存の歴史蓄積に「何ものか」をつけ足す行為です。どんなにオリジナリティにあふれたものでも、自分一人ではじめたものは、ほとんどありません。研究とは、先人から学び、それを継承する、というスタイルをとるのが、まともですし、礼儀にもかなっています。[2001:93-94]

◆…ゴマをする必要はありませんが、最低限、敵を作らない、潜在的敵を減らす工夫はつねに心がけておくべきでしょう。[2001:115]

◆研究論文は、たとえ最先端の問題を扱おうとも、学説史的裏づけのある書き方をしなくてはなりません。先行する研究を継承するか、批判するかにかかわらず、先人の研究をふまえるという態度が必要なのです。/したがって、研究業績の中にかならず一本は、学説史研究の色彩の強いものがあるのがいいのです。学説史とは、先行する研究の遺産ということで、あまり大げさに考える必要はありません。自分が研究する課題は、すでにどこまで解決をみているのか、どこが新たに考究されなければならない問題なのか、を明らかにする作業なのです。これには独創力は必要ではなく、時間と手間さえかければ、誰にでも可能なのですよ。/学説史的裏づけのない論文は、どんなに優れているように見えても、めずら説の類か、せいぜいよくて、先行論文を無知ゆえに「剽窃」したということになります。[2001:122]

◆研究のプロ、プロの予備軍にとってもっともいいストレス解消法は、意外や本を読むことなのです。もちろん、専門外の本で、いわゆる雑書というやつです。筋肉の緊張をほぐすには、別な運動で筋肉を使うのがいいように、ここでも読書なのです。軽い読書ですね。それに、雑書は、専門ではうかがい知ることのできない、未知の世界の扉を開くだけでなく、専門を深める触媒になることだってありますよ。[2001:127]

◆私は、最初の就職口である大学を選ぶな、といってきました。口があれば、特に招きや推薦があれば、どこであれ、ひとまずはそこに腰を落ち着けることをすすめてきました。私自身がそのようにしてきました。…本質はこうです。/重要なのは、それがどこであれ自分の職場で存分な働きをし、その職場に必要な人間になることを第一にすべし、ということです。教育研究両面でがんがん成果をあげることです。学生に対する教育サービスを第一にすることです。…自分の教育研究活動をより高く評価してくれる大学があったら、進んで転出することをすすめたいと思います。もう少し露骨にいえば、自分の職場でいい業績をあげるのは、その職場のためでもあるが、基本的には、自分がより働きやすい職場を見つけるためのものであるということです。…より環境のいい職場を見いだすためには、いまの持ち場で存分に活躍して、内外の評価を高める、ということをおいて他にありません。[2001:131-132]

◆大学教授に「労働時間」などという概念はありません。つねにフルタイム操業です。/大学教授になる前もなってからも、知的にも気力的にも体力的にも、研究教育活動ばかりでなく、人間関係においても、タフでなければなりません。[2001:215-216]

■書評・紹介

■言及




*作成:片岡稔
UP:20140410 REV:20140526 0527
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