『カストム・メレシン――オセアニア民間医療の人類学的研究』
白川 千尋 20011100 風響社,241p.
■白川 千尋 20011100 『カストム・メレシン――オセアニア民間医療の人類学的研究』,風響社,241p. ISBN10:4894890054 ISBN13:978-4894890053 6300 [amazon]/[kinokuniya] ※ ma
■風響社のHP
http://www.fukyo.co.jp/02-naiyo/ISBN4-89489-005-4.html
■内容紹介
ヴァヌアツ・トンゴア島民は、西洋医療では治せない病気──邪術や精霊による病を、カストム・メレシンと呼ぶ民間医療により対処している。本書は、その治療法を詳述しながら、メラネシアにおける伝統と近代の相克を描く。(第一回日本オセアニア学会賞受賞)
■目次
まえがき
序章
一 本書の目的と位置づけ
1 目的
2 オセアニア島嶼部の民間医療に関する人類学的研究
3 ヴァヌアツを対象とした人類学的研究
二 本書の対象
1 ヴァヌアツ
2 トンゴア
3 西洋医療からみたトンゴアにおける病気の状況
三 調査の概要と本書の構成
1 調査の概要
2 本書の構成
第一章 西洋医療と民間医療の選択
一 西洋医療と民間医療
1 西洋医療
2 民間医療
二 西洋医療と民間医療の選択
1 選択の実際に関する調査
2 選択のパターン
3 病気の症状と程度
三 西洋医療と民間医療の対処する病気の領域
1 民間医療選択の理由
2 カストム・シックを疑う場合
3 カストム・シックを疑わない場合
4 西洋医療と民間医療の対処する病気の領域
第二章 カストム・シック
一 精霊による病気
1 精霊の種類
2 ナエタタム
3 ナエタマットラム
4 モダマに宿る精霊
5 カリスとタファキ
6 ナゴース
二 死霊による病気
1 死霊に関する語彙
2 死後の世界
3 死霊による病気
三 邪術による病気
1 邪術に関する語彙
2 邪術の種類
3 邪術による病気
4 愛の呪術による病気
5 トンゴアにおける邪術の位相
四 ナタンガラサによる病気
1 ナタンガラサ
2 ナタンガラサによる病気
3 称号継承儀礼におけるナタンガラサへの対応
4 称号の段階的継承によるナタンガラサへの対応
五 そのほかのカストム・シック
1 食物禁忌
2 ナンバトコン・イメル
3 ナンバトコン・ブウェル
4 ナヴィ
第三章 カストム・シック以外の病気
一 ナマクラ語の病名をもつ病気
二 ビスラマ語や英語に由来する病名をもつ病気
三 カストム・シック以外の病気に対する民間医療の効力
1 カストム・シックを引き起こす病因の介在が想定される場合
2 カストム・シックを引き起こす病因の介在が想定されない場合
第四章 治療技術の様相
一 一般の人々の病気への対処法
1 病気の予防
2 病気の治療
二 夢見を行う民間治療者
1 病因の特定
2 治療技術
3 治療技術の取得
三 問診を行う民間治療者
1 病因の特定
2 治療技術
3 治療技術の取得
四 ヴィジョンをみる民間治療者
1 病因の特定
2 治療技術
3 治療技術の取得
五 キリスト教派の動向と民間治療者の治療技術
1 リヴァイヴァル派およびSDAの動向と民間治療者の治療技術
2 長老派の動向と民間治療者の治療技術
第五章 民間医療観の位相
一 民間医療に対する見方
1 西洋医療の限界
2 薬草に対する見方
二 ヴァヌアツ政府と研究機関の民間医療をめぐる政策と活動
1 政府による民間医療政策
2 ORSTOMによる薬草調査
三 デング熱の流行とデング熱に効く薬草の「発見」
1 一九八九年から一九九〇年のデング熱流行の疫学的状況
2 政府による流行への対応
3 デング熱に効く薬草の「発見」
終章
一 オセアニア島嶼部の民間医療に関する人類学的研究との比較考察
二 伝統的事象と西洋的事象の関係に関する人類学的議論の検討
あとがき
引用文献
索引
*作成:近藤 宏