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『精神障害者のホームヘルプサービス――そのニーズと展望』

大島 巌・平 直子・岡上 和雄 編 20011110 中央法規出版,242p.


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■大島 巌・平 直子・岡上 和雄 編 20011110 『精神障害者のホームヘルプサービス――そのニーズと展望』,中央法規出版,242p. ISBN-10:4805821434 ISBN-13:978-4805821435 \2730 [amazon][kinokuniya] ※ m01b, i05

■内容(「BOOK」データベースより)
本書は精神障害者に対するホームヘルプサービスが、全国の市町村やホームヘルプサービス提供者などによって前向きに取り組まれ、ニーズに合った有効なサービスとして十分に定着・普及・発展するための一助になることを願って編集されたものである。

■内容(「MARC」データベースより)
ホームヘルプサービスの歴史、医療や訪問看護との関係、精神障害者へのホームヘルプサービスの必要性、援助内容の特徴や配慮すべき点、実践事例、サービス提供組織に求められることや今後の展望などを解説。

■著者情報(「BOOK」データベースより)

大島巌(オオシマイワオ)
1986年東京大学大学院博士課程保健学専門課程修了(保健学博士)。国立精神・神経センター精神保健研究所室長。東京都立大学社会福祉学科助教授を経て、現在東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野助教授。1991年より財団法人全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所事務局長を兼務する。厚生労働省精神障害者ホームヘルプサービス評価検討委員会委員。障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会精神障害者部会委員を務める

平直子(タイラナオコ)
上智大学文学部社会福祉学科卒業。病院・クリニックに精神科ソーシャルワーカーとして勤務。リッチモンドフェローシップカレッジ(英国)卒業。1996年ダンディー大学大学院(英国)ソーシャルワーク学修士課程修了・英国ソーシャルワーカー資格取得。1997年から財団法人全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所主任研究員。精神保健福祉士

岡上和雄(オカガミカズオ)
1949年千葉医科大学(医学専門部)卒業。川崎市社会復帰医療センター所長、国立精神衛生研究所(国立精神・神経センター精神保健研究所)部長、中央大学教授を経て、現在財団法人全国精神障害者家族会連合会保健福祉研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

第1部 総論編 なぜ精神障害者にホームヘルプサービスなのか?
 第1章 ホームヘルプサービスの歴史と精神障害者に対するケア
  1 ホームヘルプサービスの歴史
  2 発展段階
  3 ホームヘルプサービスと訪問看護サービスの関係
  4 精神障害者に対するホームヘルプサービスの起源、経過
  5 精神障害者におけるホームヘルプサービスのニーズ
  6 精神障害者に対するホームヘルプサービスの位置づけ
 第2章 精神障害者のホームヘルプサービスのニーズ −サービス必要性の論理と実態
  1 はじめに
  2 精神障害者のホームヘルプニーズとは
  3 ホームヘルプの欠如がもたらす社会的不利の現状と
   精神障害者ホームヘルプサービスの必要推計
4 ホームヘルプサービスのターゲット
  5 おわりに
 第3章 ホームヘルプサービスと「医療対象者」
  1 ホームヘルプサービス対象者の拡大
  2 わが国におけるホームヘルプサービスの成立
  3 ホームヘルプサービスと医療改革
  4 ホームヘルプサービスの業務内容の変化
  5 今後の課題
 第4章 ホームヘルプサービス提供時の医学的、心理的配慮
  1 はじめに
  2 サービス利用者に対する医学的留意点
  3 精神疾患に由来する障害の評価
  4 利用者とのコミュニケーションについて
  5 対応について
  6 おわりに
第2部 各論編 どのようなサービスをどのように?
 第5章 精神障害者ホームヘルプサービスの取組み状況
  1 はじめに
  2 各調査について
  3 精神障害者ホームヘルプサービスの取り組み状況
  4 おわりに
第6章 精神障害者ホームヘルプサービスで提供されている援助の特徴
  1 はじめに
  2 精神障害者版ケアリストの作成
  3 精神障害者に提供されていた援助の概要 -関東関西8都府県の詳細事例調査から
  4 ヘルパーからみた精神障害者を対象とした援助の特徴
  5 利用者の属性と援助の特徴との関連
  6 まとめと今後の課題
 第7章 サービス提供組織に求められている働きと実施体制の整備
  1 はじめに
  2 詳細事例調査の概要と分析の軸
  3 サービスの提供における困難点は何なのか?
  4 困難へどのように対応したのか
  5 質の高いサービスを提供するための組織の体制とは
  6 実施体制の整備における課題
 第8章 どのようなサービス提供組織が取り組むか(1)
  1 ホームヘルプサービス提供団体の分類
  2 ホームヘルプサービス提供団体の比較の視点
  3 ホームヘルプサービス提供団体の比較
  4 調査結果からみたホームヘルプサービス提供を可能にする条件
 第9章 どのようなサービス提供組織が取り組むか(2)
  1 はじめに
  2 より良いケアサービスの提供とは?--分析枠組みの提示
  3 サービス提供組織別利用者の特徴
  4 ケアサービスの機能要素
  5 ホームヘルプサービス提供の評価
  6 より良いケアサービスを確保する条件
  7 おわりに
 第10章 精神障害者ホームヘルプの実践事例
  第1節 社会公社型の事例--調布市の場合
  第2節 地域ネットワークづくりの事例--春日井市の場合
  第3節 社協委託型の事例--福間町の場合
第3部 課題と展望編 これからの精神障害者ホームヘルプサービス
 第11章 精神障害者ホームヘルプサービスの実践に向けて―ガイドラインの作成
  1 精神障害者ホームヘルプサービスガイドライン作成の趣旨
  2 精神障害者ホームヘルプサービスガイドラインの内容
  3 精神障害者ホームヘルプサービスガイドライン作成の経過
  4 精神障害者ホームヘルプサービスガイドライン試案に対する全国意見調査
  5 今後に向けて
 第12章 精神障害者ホームヘルプサービスを定着、発展させるには?―直面する課題へ   の対応と今後の発展への条件
  1 はじめに
  2 精神障害者ホームヘルプサービスの直面する課題
  3 制度の定着、発展のためにどう取り組むか
  4 おわりに
 精神障害者ホームヘルプサービスに関する文献

■引用

■書評・紹介

 本書は精神障害者に対するホームヘルプサービスが、全国の市町村やホームヘルプサービス提供者などによって前向きに取り組まれ、ニーズに合った有効なサービスとして十分に定着・普及・発展するための一助になることを願って編集されたものである。(「BOOK」データベースより)とあるように、1999年の精神保健福祉法改正により、精神障害者へのホームヘルプが事業ベース、支援ベースに乗ることとなった。その後3年の試行期間を経て2002年より本施行前年に刊行された本である。
 この段階では、「精神障害者にホームヘルプサービスが必要である」という要望に対して明確な答えを得ていない。それは、ニーズ調査やアンケートの実施といった量的な研究が、いつの場合も的確に「必要とされているその人たち」を捉えているわけでもなく、また、事例においても施行期間という限られた地域と時間ではそのエピソードを汎化または分類するまでには至らない事情がある。
 だから、現場先行の福祉分野において、いわゆる「古い」文献は無価値かというとそうではない。
 例えば、精神障害者ホームヘルプサービスの歴史と成り立ちをみると、1960年代よりの脱入院化や高齢者への地域福祉、現在の精神病院への社会的入院への言及も見られる。p11-23また、従来の施設型の福祉ではない、訪問型の支援の持つ可能性に期待する記述も数多く散見される。
そこには、現在の障害者自立支援法の下、「ホームヘルプという訪問型の支援ありき」で考えられる精神障害者支援に対し、ホームヘルプサービスが持っているはずの可能性やその方法論に行きつくまでの「生活をどこで、どのように行うのか」という価値を再認識し支援策の整理の一助とすることも可能である。(文責:三野宏治)

■言及



*作成:三野 宏治 
UP:20081031 REV:
精神障害/精神障害者・文献  ◇施設/脱施設  ◇身体×世界:関連書籍 2000-2004  ◇BOOK
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