『納税者反乱――賢い国際節税法』
古橋 隆之 20011106 総合法令出版,263p.
■古橋 隆之 20011106 『納税者反乱――賢い国際節税法』,総合法令出版,263p. ISBN-10: 489346728X ISBN-13: 978-4893467287 1680 [amazon]/[kinokuniya] ※ t07.
■広告・紹介
Amazon.co.jp
本書は日本の現状に不満を抱いている個人納税者、および海外に活路を求める日本企業向けに国際税務から見た具体的なタックスプランニングを解説した実務書である。日本の税制と先進諸国との比較もあり、節税のみならず日本の税制の理解もできることから、税制に関心がある読者も広く想定されている。
日本は平成11年度に法人税率の引き下げで実行税率は先進国並みとなったものの、国際競争力はそれほど増していない。アメリカは相続税廃止の方向にあるが、日本では最高70%の相続税率が据え置かれている。納税者の立場からすると、現状の日本の税制はよいものではなく、このまま日本の状況に変化がなければ納税者自ら対策を講じなければならない。
本書は「世界の税金事情」「国際税務から見たタックスプランニング」と大きく分けて2部構成になっている。第1部では、国籍離脱するアメリカ国民、重い税や社会保障負担を逃れるためにイギリスやアイルランドに本社を移転するフランス国民、ルクセンブルグに預金を移すドイツ国民、海外に居住地を移すイタリア国民などの「納税者反乱」の例が挙げられている。また、最新のオフショアセンターの状況も解説されている。さらに日本を含む、先進国各国の国民の税負担についての比較がわかりやすくなされている。
第2部は、海外を利用したタックスプランニングの説明である。海外財産贈与の5年ルールを踏まえた対策からインターネットビジネスに関する対策、海外生命保険を使った対策、公開会社の海外持株会社対策まで図を使ってわかりやすい説明がなされている。
本書の核となる部分は、海外やオフショアセンターを利用した節税法である。高額な相続、贈与税に悩む富裕層や、国際税務戦略を必要としている企業が対象となると思われるが、海外の賢い富裕層の節税策を知るだけでも有用であるため、広くビジネスパーソンにすすめたい。(木村昭二)
内容(「BOOK」データベースより)
タックスヘイブン最新事情と国際税務のタックスプランニング例。
■目次
第1部 世界の税金事情
納税者の反乱
アメリカ
フランス
ドイツ
イタリア
オフショアセンター最新事情
「税の競争」への規制
日本の所得・法人税は高いか
第2部 国際税務から見たタックスプランニング
日本の相続・贈与税
相続税オフショア実践編
インターネットと税金
オフショア・タックス・プランニング
■引用
「現在の日本では様々な改革が唱えられています。行政改革、財政構造改革、政治改革、金融システム改革、社会保障改革、司法改革、教育改革など等。このいずれも「国民のために必要不可欠な社会資本の整備」が機能していない、国民のためのではなく特定の既得権得者だけのものだから、改革すべきだということでしょう。
そうすると税金についての考え方は、国家は国家として存在するために税金を取る、国家は税金を取るために存在するという考え方のほうが、残念ながら、日本の現状に合って<0001<いることになります。[…]
国の経済を動かすのに、税金ほど重要なものはありません。平成一一年度の法人税率引き下げで実行税率は他の先進国並みの四一%となったものの、法人税を下げた後、日本企業全体の国際競争力が増したかというと、そうではありません。[…]
まさに日本の税制は、納税者の立場から見ると全くいいことはないわけです。」(古橋[2001:1-2])