『人類学的実践の再構築――ポストコロニアル転回以降』
杉島 敬志 20011010 世界思想社,392p.
last update:20101030
■杉島 敬志 20101030『人類学的実践の再構築――ポストコロニアル転回以降』世界思想社,392p. ISBN-10:4790708942 [amazon]/[kinokuniya] ※
■目次
序論 ポストコロニアル転回以降の人類学的実践
第一部 人類学的実践の倫理と政治
文化の翻訳」の流通・消費の側面 大塚和夫
異文化理解の倫理に向けて 稲賀敏美
紛争研究と人類学の可能性 栗本英世
文化/人類学 松田素二
人類学の正義と正義の人類学 中川 敏
日本の人類学 清水昭俊
第二部 人類学的実践の枠組みと理論
対比する語りの誤謬 浜本 満
人類学の設計主義 杉島敬志
儀礼の受難 杉本良男
非同一性による共同性へ/において 大杉高司
越境から、境界の再領土化へ 小田亮
他者を自分のように語れないか? 関根厚正
キャリバンの歌、エリアルの指、シコラックスの息 本橋 哲也
■引用
「対比する語りの誤謬」浜本 満 pp.204-225
「規約と自然の対立に無頓着である人々が存在するという事実で対立そのものが無効になるわけではもちろんない。…こうした隠喩的な―しかし全く隠喩的であるとは感じられていない―語り口を通してある行為が記述されているときには、それが“生まの事実”としての行為の記述であるのか、それとも“制度的事実”としてのそれなのかを問うこと自体がほとんど無意味になってしまう」220
「人が生きている秩序の世界を“自然”と“約束事”のいずれかに振り分けてしまえると考えることは、われわれ自身が生きているさまざまな領域に目を向けてみるだけで、すでにあまりにも単純すぎる見方である。疑いようのない“自然”の秩序と、あからさまに人為的な“規約”にもとづいた秩序という両極のあいだに、自然にも合意の産物にも帰すことのできない秩序…が横たわっている。“比喩的秩序”とても呼び得るような、それと自覚されない比喩的な語り口によって構造化された経験領域が属しているのも、“自然”と“規約”の二項対立――自分たちが生きている秩序をめぐる思惟の上にぎこちなく、しかし圧倒的な破棄力をもって行使される想像力の構図――によってゆがめられたこの空間である。」221
「人類学の具体的な課題がつねにそうであったように、ここでも実際に取り組まなければならない作業は、異なる社会空間を流れている語り口を理解するという地道な作業である」222
■書評・紹介
■言及
*作成:近藤 宏