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『社会変動の中の福祉国家――家族の失敗と国家の新しい機能』

富永 健一 20010825 中央公論新社,中公新書,266p.

last update:20110928

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■富永 健一 20010825 『社会変動の中の福祉国家――家族の失敗と国家の新しい機能』,中央公論新社,中公新書,266p. ISBN-10:4121016009 ISBN-13:978-4121016003 \882 [amazon][kinokuniya] ※ f04 d08 e08 npo a02 9811361 e05

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
高齢化、少子化、そして女性の社会進出によって、家族に揺らぎが生じている。失われた家族の機能を代行しうるものとしては、地域社会やNPOとともに、やはり国家が不可欠である。本書は社会構造の多元性を確認しつつ、福祉、環境、社会資本を統合的にとらえる「総合的福祉国家政策」を提唱。社会的市場経済のドイツやコーポラティズムのスウェーデンなどの事例を参照しながら、日本の伝統を生かした福祉政策を考察する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
富永 健一
1931(昭和6)年、東京に生まれる。東京大学文学部社会学科卒業、同大学院修了。社会学博士。東京大学教授、慶応義塾大学教授を経て、武蔵工業大学教授、東京大学名誉教授。専攻、社会学理論、社会変動・近代化、社会階層、経済社会学、組織理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次



第一章 理論的前提――近代産業社会の構造と機能
 第一節 出発点としての近代産業社会
  「近代」対「ポスト―モダン」
  「インダストリアル社会」対「ポスト―インダストリアル社会」
  「危険社会」と「反省的近代化」
 第二節 近代産業社会の社会構造
  核家族
  組織
  市場
  地域社会
  国民国家
  社会階層
 第三節 近代産業社会の構造諸要素と「福祉」との関係
  社会システムの「機能」としての「福祉」の実現
  「福祉」の実現における家族の機能
  相互行為と社会的交換
  世代間で行われてきた家族内相互贈与としての扶養
 第四節 家族と国家――第二章への序論
  最小の基礎社会 対 最大の基礎社会
  営利組織としての企業 対 非営利組織としてのNPO
  地域社会と市場
  現代福祉国家は「解体しつつある家族の中に国家が入っていく制度」として理解される

第二章 家族と国家の関係――福祉国家はなぜ維持される必要があるか
 第一節 ゴールド・プランと介護保険――家族はもはや高齢者の介護ができなくなった
  ゴールド・プランと新ゴールド・プラン
  介護保険登場の意味
  家族はなぜ高齢者の世話ができなくなったのか
 第二節 「日本イエ社会論」の誤りと「家族の失敗」
  「日本イエ社会論」
  「日本イエ社会論」の誤り
  「市場の失敗」と「政府の失敗」
  「家族の失敗」と福祉国家
 第三節 家族の規模縮小と機能縮小
  高田保馬「基礎社会拡大縮小の法則」
  パーソンズ「家族の機能喪失のテーゼ」
  福祉国家は家族の失われた機能を代行するために呼び出された
 第四節 家族・親族の機能は「商品化」し得るか
  新古典派経済学の市場理論
  新保守主義経済学の誤り

第三章 福祉国家の形成――起点から最盛期まで
 第一節 福祉国家の起点(1)――ビスマルク社会保険から社会的市場経済へ
  ビスマルク社会保険からエアハルトの「社会的市場経済」政策へ
  ミュラー‐アルマックによる「社会的市場経済」の理論化
 第二節 福祉国家の起点(2)――ケインズとべヴァリッジ
  ケインズ経済学と福祉国家
  イギリス福祉国家は第二次世界大戦中に準備された
  『べヴァレッジ報告』における福祉国家の青写真
 第三節 社会権と社会政策――T.H.マーシャル
  『べヴァレッジ報告』の理論化
  社会権の理論
  社会政策の理論
 第四節 インダスとリアリズムの論理――ウィレンスキーとルボー
  インダスとリアリズムとソーシャル・ワーク
  産業化と社会福祉の統合
  ウィレンスキーの福祉国家収斂理論

第四章 福祉国家の「危機」への対応――福祉国家の諸類型
 第一節 コーポラティズム型福祉国家への着目――ミシュラ
  福祉国家の「危機」
  コーポラティズム型福祉国家の登場
  「統合された福祉国家」としてのコーポラティズム
  オーストリアの場合
  スウェーデンの場合
 第二節 「レジーム」としての福祉国家――エスピン‐アンデルセン(1)
  福祉国家の危機は福祉国家研究を衰退させなかった
  エスピン‐アンデルセンの「福祉国家レジーム」論
  リベラル型福祉国家
  保守主義型福祉国家
  社会民主主義型福祉国家
 第三節 「脱商品化」と「階層化」――エスピン‐アンデルセン(2)
  「脱商品化」と三つのレジーム類型
  「階層化」と3つのレジーム類型
 第四節 ミュルダールとエスピン‐アンデルセン
  ミュルダールによる福祉国家の理論化
  エスピン‐アンデルセンによる福祉国家の理論化
  ミュルダール的一元論からエスピン‐アンデルセン的多元論へ

第五章 日本における福祉国家形成――世界におけるその位置
 第一節 福祉国家以前の日本の社会保障制度
  日本は「遅れてきた福祉国家」か
  戦前日本における社会保障制度の形成
 第二節 戦後日本福祉国家の形成
  戦後日本の福祉国家化(1)
  戦後日本の福祉国家化(2)
  「福祉元年」から福祉の下方修正へ
  「下方修正」からゴールド・プランと介護保険へ
 第三節 国際比較から見た日本福祉国家
  ウィレンスキー理論と日本福祉国家
  ミシュラ理論と日本福祉国家
  エスピン‐アンデルセンの三類型論と日本福祉国家
  日本福祉国家がエスピン‐アンデルセンの三類型のどれにも該当しないことの意味
 第四節 日本産業社会における「反省的近代化」の段階
  近代化と産業化における国家の位置
  日本は「リベラル型」ではなく「官僚主導型」
  福祉と環境――日本産業社会の「反省的近代化」段階への移行
  一九七〇年代日本における「総合社会政策」――「反省的近代化」の一事例
  福祉、環境、社会資本

要約と結論
 「反省的近代化」の視点
 「総合的福祉国家」
 「諸社会」の中での国家の位置

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:樋口 也寸志
UP:20110928 REV:
家族 family ◇分配/贈与 ◇倫理/倫理学 ◇NPO ◇介助・介護 ◇障害者プランの推進度 ◇経済(学) economics  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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