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『「顧客」としての高齢者ケア』

横内 正利 20010720 日本放送出版協会,197p. ASIN: 4140019204 914


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横内 正利 20010720 『「顧客」としての高齢者ケア』,日本放送出版協会,197p. ASIN: 4140019204 914 [amazon][kinokuniya] ※.

■内容(「BOOK」データベースより)
寝たきりや痴呆、排泄や買物に援助を必要とする「弱い高齢者」たち。周囲からは「ああなっちゃおしまいだ」と思われがちだ。しかしその見方は彼らを傷つける。また禁煙や食事制限の杓子定規の強制は、楽しみを奪い、しばしば逆効果を生む。じつは弱い高齢者は価値観を変え、老いを受容して現在を前向きに生き、しかも生きがいを求めている。豊富な臨床体験から、高齢者本人の視点を軸に、「現在」「生活」「生きがい」の視点で高齢者ケアを見直す医療、介護関係者の必読書。

内容(「MARC」データベースより)
寝たきりや痴呆、排泄や買い物に援助を必要とする「弱い高齢者」たち。実は、彼らは生きがいを求めている。豊富な臨床体験を持つ著者が、高齢者の視点を軸に「現在」「生活」「生きがい」の視点で高齢者ケアを見直す。

■目次
まえがき
第1章 高齢者はどのように老いを受容していくか
第2章 高齢者本人の身になって考えてみると
第3章 不用意な対応が高齢者を傷つける
第4章 高齢者は現在に生きている
第5章 高齢者の自己決定を鵜呑みにしてはいけない
第6章 どんな高齢者も生きがいを求めている
第7章 疾患の視点より生活の視点を
第8章 在宅神話にまどわされないように
第9章 キーパーソンが対応を間違えるとみな不幸になる

田島明子による紹介:http://www5.ocn.ne.jp/~tjmkk/hon25yokouti.htm

■引用

 「多くの国民は元気な高齢者の価値観があたかも高齢者全体の価値観であるかのような錯覚に陥っている。そして、元気な高齢者の価値観は、基本的に非高齢者の価値観と同一であるので、ますます、元気な高齢者の論理が幅を利かせることになってしまう。また、元気な高齢者は、非高齢者と同様、「弱い高齢者」の身になってものを考えるのが苦手である。自らの価値観や先入観ですべてを見てしまうという誤りに陥りやすい。その結果、「寝たきりや痴呆は、尊厳のない、不幸な状態であり、本人たちもそう思っているに違いない」という、誤解と偏見から抜け出せない。
 例を挙げよう。次の発言は、最近ある雑誌に掲載された、オピニオンリーダーとして有名なある元気な高齢者の言葉である。
 「私が最近心配していることをまず申し上げたい。(中略)二つ目は、日本人特有の問題かもしれないがた、死生観が欠如しているのではないか。人生を生きてきて最後をどう過ごすかという問題です。その最も端的な例は、人生に望みもないし、望みを持とうとも思わないような高齢者が、<0004<肉体だけで生きているという状況がある。(後略)」
 ここに述べられている、「人生に望みもないし、持とうとも思わず、肉体だけで生きている高齢者」とは、どんな高齢者を指しているのであろうか。そして、その人たちは生きていてはいけない存在なのであろうか。これではナチズムと同じではないか。
 次の言葉も、数年前にある医学雑誌に掲載された、高名な医師である高齢者の発言である。」
 「(前略)老人医療においては尊厳死やリビングウィル(著者注:生前の意志表示)の多くは無視される。一体、尊厳とは何であろうか。痴呆性老人や寝たきり老人をみる時、誰しもああまでして生きていたくないと思うであろう。しかし、現実にはこのようにして生かされるのである。(後略)」
 高齢者でありながらこのような発言を繰り返す有識者がいる限り、わが国の高齢者問題の解決は遠いといわざるを得ない。」(横内[2001:4-5])

第5章 高齢者の自己決定を鵜呑みにしてはいけない

 「<例51>「無駄な延命は止めて尊厳死させてください」
 八二歳の女性。特養ホームで生活している。ひどい貧血があり、精密検査と輸血が必要であったが、拒否し続けていた。その後、呼吸困難を訴えるようになった。ところが、必要な治療をしようとすると、「わたしは尊厳死協会入会しておりますので、無理な延命はしないで。輸血<0101<も点滴も結構です」と治療を拒否し続ける。しかし、いよいよ苦しくなってくると、「先生、苦しい。何とかしてください」と言う。また、少し楽になくと、「尊厳死、尊厳死」と念仏のように唱える。家族に来院してもらい、家族の意思を確認した上でやっと地域の総合病院に入院させることができた。その後、肺炎などの治療を受け、もとの元気な姿に戻ってホームに退院してきた。今は元通りの生活を楽しんでいる。しかし、その後もことあるごとに、「尊厳死、尊厳死」と言っている。
 最近は、以前に比べてよい治療法が出現しており、不治と思われた病気がずいぶん治るようになった。高齢者といえども、多くの場合治癒の可能性が残されており、そう簡単に尊厳死を考える状況になどならない。
 このケースの場合は、家族が協力的で、総合病院への入院が可能となり、事なきを得た。それにしても、尊厳死宣言をしている人のうち、その内容を本当に理解している人がどれだけいるのであろろうか。」(横内[2001:101-102])


UP:20061229 REV:20080329
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