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『自由論――現在性の系譜学』

酒井 隆史 20010723 青土社,452p.


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酒井 隆史 20010723 『自由論――現在性の系譜学』,青土社,452p. ISBN-10:4791758986 ISBN-13:978-4791758982 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ l03

■内容(「BOOK」データベースより)
本書は、いまなにが起きているのか、という大それた問いをめぐって、権力論のアプローチから考えてみようとする試みである。

■内容(「MARC」データベースより)
私たちはいま、ほんとうに自由なのか。「自由」の名の下にはびこる「人権侵害」という「人間性」の剥奪、それに対する沈黙や称賛、「能力」による階級格差を促進させるエリートたちの姿を指摘、警鐘を投げかける。

■目次

はじめに

序章  新しい権力地図が生まれるとき―“運動”以降
1.<運動>以降
2.労働の拒否と衰退と新しい権力のテクノロジー
3.非物質的労働と大衆知性
4.multitudesのエクソダス

T フーコーと自由の現在
第1章 リベラリズムの差異と反復―統治論
1.権力のマクロ物理学
2.アンチ・ポリツァイとしての古典リベラリズム
3.リベラリズムの回帰

第2章 生に折り畳まれる死―権力論
1.処罰とはなにか?
2.危険性の転位?
3.生命の空間への死の折り畳み
4.セキュリティの上昇
5.行為・快楽・欲望

第3章 敵対の転位―法・ノルム論
1.敵対の転位―社会体の解体と近代
2.アンチ・ポリツァイの思考―行為・快楽・欲望

U セキュリティと自由
第4章 <セキュリティ>の上昇―現代都市隔離論
1.セキュリティと分解する「市民社会」
2.コミュニティの「自発的ゲットー化」
3.「アンダークラス」とその<隔離>
3.ポスト・ノワールの時代?

第5章 恐怖と秘密の政治学
1.A Sanner Darkly
2.<管理支配の収益率の低下>
3.秘密と欺瞞―秘密捜査員
4.「捏造の世界化と世界の捏造化」―内―植民地化と統合されたスペクタクル
5.パノプティシズム再考―人工衛星と恐怖のエコロジー

最終章 現在性の系譜学へむけて―「犬」と例外状態
1.幽霊犬
2.ゼロ・トレランス政策
3.<法と秩序>―危機と批判
4.イヌの例外状態
5.「あなた方は現在を軽蔑する権利はない」―批判と自由
6.自由の新しい地平へ

参考文献
あとがき

■引用
 本書におさめららて文章は大きくいうと、いまあなにが起きているのか、という大それた問いをめぐって、権力論のアプローチから考えてみようとする試みである。本書はほんの端緒にたどりついただけにすぎないけれども。いまの私たちを構成し、諸々の経験を自明なものとして定着させている力とはいかなるものだろうか? あるいはもっと絞るとこうなる。私たちはどうしてつい最近まで自明ではなかったかくかくのことを自明のものとしてしまったのだろうか? この問いをめぐる考察は、本書では(これも大ざっぱにまとめれば)「ニューライト」「ネオリベラリズム」、あるいは「ポストフォーディズム」といったテーマをめぐるものとなった。ミシェル・フーコーの言葉を借りれば、現在の「資本の蓄積」と「人間の蓄積」の各々の仕組み、そしてそれらのあいだの関連のあり方を考えようとしたのである。(p10)

 権力の戦略の転換はそれゆえ、同時に新しい自由の編成と奴隷の編成をともにはらんでいるのである。たとえば日本における学校の自由化はいわゆる「格差の拡大」と市場の論理へのかつてないど奴属をもたらしているが、他方で、私たちの教育における自由の領分を拡大する潜在的可能性もはらんでいる。経済同友会の「合校論」を、ポストフォーディズムの(過剰)搾取とフレキシビリティを通したきわめつきの服従から、解放と自由の構成の集団的実践へと転換することも十分に可能だろう。問題は、この自由と奴属のゲームの地図を描くことであり、性急に対案を提示したり、あるいは行動を指導することではない。(p132)

■書評・紹介

■言及



*作成:櫻井 浩子 
UP:20080819 REV:
自由・自由主義 リベラリズム  ◇身体×世界:関連書籍 2000-2004  ◇BOOK
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