『バイオエシックス入門――生命倫理入門(第三版)』
今井 道夫・香川 知晶 編 20010430 東信堂,286p.
last update:20111011
■今井 道夫・香川 知晶 編 20010430 『バイオエシックス入門――生命倫理入門(第三版)』,東信堂,286p. ISBN-10: 4887133960 ISBN-13: 978-4887133969 \2500 [amazon]/[kinokuniya] be
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初版:19920620>br>
第二版:19950415>br>
■内容(「BOOK」データベースより)
バイオエシックス(生命倫理学)は、今日の医療をめぐる問題に積極的に取り組んでいる。本書は、医学・看護学などの医療系の大学等での教科書として、丹念に論じながらもけっして学術論文を志向することなく、教科書としての丁寧さ、平明さによってまとめられている。
内容(「MARC」データベースより)
科学技術の進歩に伴う生命の意味と価値の変動に関わるバイオエシックスの様々な議論を解り易くコンパクトにまとめる。医学・看護学の医療系大学などの教科書。95年版に遺伝子医療技術、介護保険を新たに取り上げた第3版。
■目次
第三版まえがき iii
T バイオエシックスとは何か 3
1 バイオエシックスの誕生と展開 香川知晶 4
1.バイオエシックス――新しいタイプの倫理的研究の誕生 4
2.伝統的な医の倫理――無加害原則とパターナリズム 7
3.新しい医療のモデル――疾病構造の変化と消費者モデル 11
4.バイオエシックスの成立――原則の声 16
5.生命の選択の時代――神の死の後に 21
6.バイオエシックスの現状――原則主義と多様な方途の模索 24
7.討論のための手がかり 28
参考文献(28)
2 インフォームド・コンセント 鈴木恒夫 30
1.バイオエシックスとインフォームド・コンセント 30
2.インフォームド・コンセントの歴史 32
3.インフォームド・コンセントの意義 37
4.インフォームド・コンセントの諸問題 41
(1)医師の説明義務の範囲について(41)
(2)ガン告知をめぐって(43)
(3)治療拒否をめぐって(45)
5.討論のための手がかり 47
参考文献(48)
U バイオエシックスの諸問題 49
3 中絶と出生前診断 香川知晶 50
1.中絶問題の背景 50
2.中絶をめぐる三つの立場とその代表的見解 53
(1)保守的立場――カトリック、ヌーナン(54)
(2)リベラル派――トゥーリー、エンゲルハート(55)
(3)中間派――トムソン、イングリッシュ(58)
3.出生前診断と選択的中絶の問題 61
4.討論のための手がかり 64
参考文献(65)
4 生殖技術 小野滋男 66
1.生殖技術の歴史と背景 66
(1)人工授精(AIH、AID)artificial insemination(67)
(2)体外受精(in vitro fertilization)(68)
(3)受精卵移植embryo transfer(70)
(4)代理母(出産)surrogate mother(71)
(5)その他の最新技術(73)
2.生殖技術をめぐる倫理的問題――「ウォーノック報告」をめぐって 74
(1)胚を使っての研究(75)
(2)代理母(出産)(78)
3.生殖技術の現在と問題点 81
4.討論のための手がかり 85
参考文献(86)
5 脳死と臓器移植 鐸田愛子 88
1.脳死問題の背景――脳死は人の死か 88
2.脳死判定基準をめぐる問題――脳死の判定は確実にできるのか 92
(1)死の定義の法制化問題(95)
3.臓器移植の歴史的変遷とその倫理性 97
(1)歴史的変遷(97)
(2)臓器移植の倫理性(103)
4.臓器移植の現実的諸問題 104
(1)臓器提供における意思決定の問題(104)
(2)不足している臓器の供給問題(105)
(3)不足している臓器受容の優先権の問題(107)
(4)臓器売買の問題(107)
(5)臓器移植における高額経費の問題(108)
(6)インフォームド・コンセントの問題(108)
(7)術後管理の困難性の問題(109)
(8)その他の問題(110)
5.討論のための手がかり 110
参考文献(110)
6 安楽死と治療停止 嶋崎正躬 112
1.問題状況 112
(1)「安楽死」概念の問題点(113)
(2)「安楽死」をとりまくわが国の状況(116)
(3)最近のわが国の論議――日本学術会議報告『尊厳死について』(1994)(118)
2.安楽死をめぐる外国の動向と問題点 119
(1)最近の動向――概観(118)
(2)自律原則――治療拒否権・自己決定権(122)
(3)恩恵原則――「本人の最大利益のために」(125)
3.討論のための手がかり 128
参考文献(128)
7 エイズ 澤田愛子 130
1.問題の背景――歴史的概観 130
2.エイズと社会問題 133
(1)エイズの医学(133)
(2)エイズと社会問題(136)
(3)わが国の動きと薬害エイズ裁判(137)
3.エイズの倫理的諸問題 142
(1)隔離(142)
(2)患者・感染者に対するさまざまな差別的手段(143)
(3)告知と秘密の暴露(143)
(4)罰則の適用(145)
(5)強制的なスクリーニング(145)
(6)官庁への報告義務(147)
(7)治療薬およびワクチンに関する問題(147)
(8)エイズ教育(148)
4.まとめ――倫理的展望 148
5.討論のための手がかり 150
参考文献(150)
8 遺伝子解読・医療問題 大林雅之 151
1.はじめに 151
2.遺伝子研究の発展・遺伝子の解明 152
(1)組換えDNA技術の誕生(152)
(2)塩基配列決定技術の発展とヒトゲノム計画の起源(155)
3.ヒトゲノム計画の倫理的・法的・社会的問題 156
4.遺伝子研究と治療 158
(1)遺伝子診断(159)
(2)遺伝子治療(160)
5.人間にとって遺伝子とは何か 161
6.まとめ 162
7.討論のための手がかり 163
参考文献(163)
9 患者――医療者関係 田中伸司 164
1.問題の背景――医療における権威主義的構造 164
(1)知的権威(sapiential authority)(165)
(2)道徳的権威(moral authority)(165)
(3)カリスマ的権威(charismatic authority)(165)
2.患者――医療者関係の基本問題――医師患者関係モデルを通じて 166
(1)「対人関係における自律性」――サスとホレンダーによるモデル(166)
(2)「専門家対素人」――ヴィーチによるモデル (169)
3.医療空間の基本図式の変化 174
(1)「忠誠から擁護へ」――看護職から見た医療空間(174)
(2)「患者中心の医療」――日本の医療事故をめぐって(178)
4.討論のための手がかり 180
参考文献(180)
10 医療の役割 今井道夫 182
1.健康と病気 182
2.医療の論理 186
3.医学の進歩と医学研究 188
4.医学・医療批判の視点 192
5.医学・医療と環境問題 195
6.討論のための手がかり 198
参考文献(198)
11 看護と介護――高齢者の長期ケアの課題 山崎摩耶 199
1.はじめに 199
2.保健・医療・福祉制度のビッグバン 201
3.高齢者介護の実態と問題の所在 203
4.介護保険制度の理念と概容 204
(1)介護保険制度の理念(204)
(2)介護保険制度の概要(206)
5.福祉のスティグマから「消費者」への転換と意識改革 207
6.ケアマネジャーのジレンマ 209
7.身体拘束ゼロ作戦にみる人権擁護 211
8.高齢者の長期ケアの展望と課題 213
9.討論のための手がかり 216
参考文献(216)
V バイオエシックスの課題 217
12 パーソン論と差別の問題 竹内洋一郎 218
1.生命の尊厳から生命の質へ 218
2.パーソン論の成立 219
3.パーソン論の展開 228
4.シンガー事件とパーソン論の問題 231
5.討論のための手がかり 235
参考文献(235)
13 医療と正義 坂井昭宏 236
1.問題の背景 236
2.疾病の予防と患者の医療 238
3.ミクロ配分の代表的見解 241
(1)静寂主義あるいは裏返しの英雄主義(241)
(2)功績主義(242)
(3)平等主義(244)
(4)功利主義(246)
4.医療に対する権利 249
5.討論のための手がかり 253
参考文献(253)
14 バイオエシックスの枠組と方法――その歩みと今後の課題―― 谷田信一 255
1.「世俗化」の流れとバイオエシックスの歩み 255
2.原則的なバイオエシックスの理論 260
3.カズイストリ的方法の再興 265
4.むすび――課題と展望 270
5.討論のための手がかり 274
参考文献(275)
あとがき 277
人名索引 279
事項索引 281
執筆者紹介 288
*作成:植村 要