『自白の心理学』
浜田 寿美男(はまだ・すみお) 20010319 岩波書店,岩波新書,208p.
last update:20110927
■浜田 寿美男 20010319 『自白の心理学』,岩波書店,岩波新書,208p. ISBN-10:400430721X ISBN-13:978-4004307211 \756 [amazon]/[kinokuniya] ※ c01 c0111
■内容
出版社/著者からの内容紹介
身に覚えのない犯罪を自白する.そんなことはありうるのだろうか? 心理学の立場から冤罪事件に関わってきた著者が,甲山事件,仁保事件など,自白が大きな争点になった事件の取調べ過程を細かに分析し,「自分に不利なうそ」をつくに至る心のメカニズムを検証する.
内容(「BOOK」データベースより)
身に覚えのない犯罪を自白する。そんなことはありうるのだろうか?しかもいったんなされた自白は、司法の場で限りない重みを持つ。心理学の立場から冤罪事件に関わってきた著者が、甲山事件、仁保事件など、自白が大きな争点になった事件の取調べ過程を細かに分析し、「自分に不利なうそ」をつくに至る心のメカニズムを検証する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浜田 寿美男
1947年香川県に生まれる。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、花園大学社会福祉学部教授。専攻は発達心理学および法心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序 自白と冤罪
1 冤罪は遠い世界の話ではない
犯罪と冤罪
小さな窃盗詐欺事件から
突然の釈放
体験したものにしかわからない?
2 冤罪のひろがり
冤罪の発生件数
99.9%を越える有罪確定率の陰で
無罪判決を得る難しさ
3 解くべき謎
冤罪の不幸
うその自白
四つの問題
第一章 なぜ不利なうそをつくのか
1 宇和島事件と自白
頭のなかが真っ白になって
自白調書
真犯人あらわる
2 うそを引き寄せる磁場
疑惑、証拠、そして確信
うそを構成する要素
まるでほんとうのようなうそ
3 うその自白はどこで破綻するのか
秘密の暴露
無知の暴露
犯人になってつくうそ
4 うその現象の諸相
人の世界はつねにうそにつきまとわれている
うその個体モデルと関係モデル
あばかれるうそ、支えられるうそ
あるわいせつ事件
周囲の確信とうそ
確信の自己成就
第二章 うそに落ちていく心理
1 甲山事件の出発点
事件から四半世紀後の無罪確定
殺人事件だったのか
疑惑のきっかけ
疑惑から容疑へ
2 自白へ向かって
逮捕と拘留
記憶の混乱
自分を信じてくれる人が誰もいない
二つ目の自白
自白から否認へ
釈放、そしてその後二五年
3 うその自白へと落ちていく心理
うその自白の三型
取調べの場の圧力
弁解の空しさ
時間的見通し
否認することの不利益
いまの苦痛と遠いさきの悲劇
無実の人は刑罰に現実感をもてない
天秤ばかりが反転する
第三章 犯行ストーリーを展開していく心理
1 仁保事件
一家六人殺しの事件
難航する捜査
被疑者
取調べ、そして自白
裁判
2 録音テープと事件
三三巻の録音テープ
自白の任意性の証明としての録音テープ
説教的な取調べ
拷問と説教
3 「犯人になる」心理
「犯人に自白させる」という意識
幕間のためらい
無実の被疑者が「犯人になる」ということ
犯行供述のなりたち
認定された犯行筋書
母のもとを訪ねて
被疑者と取調官の合作
第四章 自白調書を読み解く
1 袴田事件
獄中三四年
事件
容疑
逮捕と取調べ
2 自白調書を読む(1)――うそ分析(変遷分析)
四五通の自白調書
初期自白の変遷とうそ
うそ分析
着衣のうそ
3 自白調書を読む(2)――「無知の暴露」の存在
無知の暴露
金の盗り方――「甚吉袋」供述
死体の位置
4 自白調書を読む(3)――誘導分析
変遷のない供述、証拠に合致する供述
確定した供述要素と犯行動機
第二、第三のストーリー
おわりに
ことばの世界は現実を離れ、現実を歪める
物の証拠とことばの証拠
捜査も裁判も人間の現象である
もっと見える世界に
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志