『パウロの言語哲学』
清水 哲郎 20010207 岩波書店,291p.
■清水 哲郎 20010207 『パウロの言語哲学』,岩波書店,291p. ISBN-10: 4000265814 ISBN-13: 978-4000265812 \3360 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
2000年にわたる歴史の礎となった、初期キリスト教の言語戦略―哲学的言語分析の手法をもって、パウロと原始キリスト教団の文書に迫る。
伝統的教説によって覆い隠されてきた、原パウロの活力あるオリジナルな思想とは。
■目次
まえがき
第1章 イエスの信(ピスティス)
1・1 問題の所在
1・2 積み重ね表現法
1・3 ローマ人への手紙3章21-26の解釈
1・4 〈イエスの信〉理解の検討
1・5 ピスティスとヒュパコエー――用法の検討
(補論) 日本の新約学界における最近の論争をめぐって
第2章 〈ディカイオス〉の言語ゲーム
2・1 問題の所在
2・2 「よい」と「ただしい」の言語ゲーム
2・3 〈ディカイオス〉――用法の推定
律法による儀を求める立場から考えられた〈儀〉
アブラハムの事例分析
2・4 ピスティス→ディカイオス
2・5 「信による義」を律法から全く切り離して理解する
第3章 イエスの信からイエスを信じる信へ
3・1 ローマ人への手紙九章30節――一〇章21節
躓きの石を信じる
主イエスを告白する――神を信じる
〈誰から・何を〉聞き、〈誰を・何を〉信じるのか
3・2 パウロ書簡における「信」
3・3 擬パウロ書簡における「信」
3・4 使徒行伝における「信」
3・5 まとめ
第4章 イエスは何者か
4・1 神の子とその先在
4・2 神のエイコーン
パウロ思想におけるエイコーンの位置
フィロンの創世記解釈とエイコーン
パウロの創世記解釈
4・3 アルケーであるキリスト
4・4 私たちの神にして主なるイエス・キリスト
第5章 復活と終末(ここは死生学の視点からも、私のルーツとして重要)
5・1 復活という希望
5・2 イエス・キリストにおける霊と肉
「肉によれば」と「霊によれば」
死者たちの復活
「復活」と「霊による」
「聖さの霊」
5・3 復活後の先取りとしてのキリスト者の生
第6章 使徒行伝のパウロ像
6・1 パウロの活動はどう語られているか――使徒行伝の構造
6・2 パウロの思想はどう描かれているか
第7章 アテネのパウロとギリシア哲学
7・1 取引き−探求
パウロはギリシアの宗教をどのように批判しているか
探求という態度の提示
神にホモイオスなものである人間
7・2 アテネのパウロとソクラテス
ユスティノスのソクラテス像
ソクラテスの罪状および『弁明』とアテネのパウロ
7・3 ピスティスの提示――ディカイオシュネーにおける裁き
従来の解釈とその問題点
31節文章構造の検討
30−31節の解釈
第8章 アルケー論と無からの創造
8・1 アルケーの問い
タレス-アナクシマンドロスの哲学
アルケーの問いの性格
8・2 神から・神へ
8・3 無からの創造
8・4 アウグスティヌス
注
参考文献
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治