『サラリーマン税制に異議あり!』
斎藤 貴男 20010209 NTT出版,226p.
■斎藤 貴男 20010209 『サラリーマン税制に異議あり!』,NTT出版,226p. ISBN-10: 4757120540 ISBN-13: 978-4757120549 1200 [amazon] ※ t07.
■説明
ブックレビュー社
サラリーマン税制に異議あり!
源泉徴収と年末調整が連動した“サラリーマン税制”は日本に根づいた独特の税制である。国税当局にとっては労働人口の8割以上から確実かつ効率的に徴税できる仕組みである一方、サラリーマンにとっては、独立心や創造性、個人の自由や尊厳を奪う制度でもあった。著者は終身雇用、年功序列を特徴とした日本的経営が崩壊する中、サラリーマン税制の解体についても議論されるべきだと主張する。
そもそも、源泉徴収は1940年、日中戦争のための戦時増税を目的に、年末調整は戦後間もない47年、徴税能力を補うために始まった「異常な時代の産物」。サラリーマン税制の違法性を訴えて争った事例もあるが、いずれも原告側の完敗・国側の圧勝に終わっている。サラリーマン税制を支える仕組みとして給与所得控除が機能したことも見逃せない。サラリーマン税制への世論の批判が高まると、国税当局は給与所得控除の金額を引き上げたり、新しい制度を作って不満を和らげ、本質的な問題から目をそらしてきた。
史実や判例、関係者の証言などを豊富に盛り込みながら、サラリーマン税制が市民生活や社会に及ぼした影響について考察する。
(日経ビジネス 2001/3/19 Copyrightc2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)
内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦中、手っ取り早く戦費を調達するために考え出されたイレギュラーな税制が、なぜ戦後もサラリーマン税制として残されたのか?それは戦後民主主義にどのようなダメージを与えたのか。綿密な取材とデータで謎と問題点に迫った本書は、具体的な政策提言であると同時に巧まざる歴史ノンフィクションともなっている。
■目次
序章 いま改めて税制を語るわけ
第1章 それは戦時増税の手段として
第2章 源泉徴収・年末調整の意義と仕組み
第3章 政府のメリット国民のデメリット
第4章 源泉徴収制度は憲法違反ではないのか
第5章 給与所得控除が抱えるその他の矛盾
第6章 サラリーマンは「税痴」でいいのか
■言及
◆立岩 真也 編 2009 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社