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『「アダルト・チルドレン」実践篇』

信田 さよ子 20010209 三五館,221p.


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信田 さよ子 20010209 『「アダルト・チルドレン」実践篇』,三語館,221p. ISBN-10:4883203186 1400 [amazon] ※ m.

■内容

(「BOOK」データベースより)
アダルト・チルドレン(AC)概念の第一人者が「家族」の最前線を読み解く。

(「MARC」データベースより)
暴力や抑圧などの明快な支配ではなく、むしろ美徳とされてきた家族愛、親の愛、母の愛に、真綿で首を絞めるような支配が潜んでいる。中高年世代の生きにくさはどこからくるのか。97年刊「コントロール・ドラマ」改題。

■目次

ACの時代――まえがき
第一章 問われる「家族」
第二章 なぜ今、「AC」が注目されるのか?
第三章 それは、家族の誰かを利用する病い
第四章 「心の外傷」では気味悪い
第五章 家族はワンダーランド
第六章 離婚のすすめ
第七章 炸裂していく家族
自由と孤独――あとがき

■引用

・「癖だ」と言うこと
 「私はその人たちに対して責めることはしません。キッチン・ドリンカーの主婦がアルコールに嗜癖するように、その人たちは子供を虐待することに嗜癖しているのでしょう。自分の行為を責めないで、嗜癖と捉えること、そして自分一人だけではないんだ、ということがわかれば、その女性は楽になれるでしょう」(信田[2001:42])

・ACは自己認知
 「客観的に人から見ておかしいというのは、ACではありません。客観性を持たないというのがACです。(…)「ACというのは、私のことかもしれない。ああ、私はACだったんだ」と思ったら、その人はACだと思ってかまわないということです。」(信田[2001:56])
 「共依存からの回復はACとしての自己認知なのです。ACという概念に気づくことによって、自分を見ることができるようになる、ということなのです。」(信田[2001:98])

・ACプライドと掘り下げること
 「ACプライドを持った人は、まやかしの家族の中で、自分で自分を作らざるを得なかった人たちなのです。自分を作ることは、とても自己内省的なことです。この自己内省は、これまで日本ではずっとあまりやらないで済ませてきたことなのです。自己内省をすることは、暗いことであり、むしろ自分の進歩を止めてしまうことと受け止められ、避けられてきました。」(信田[2001:42])p.81  「私たちに求められていることは、自己内省というもう一回自分を見ること、そして醒めることです」(信田[2001:42])p.82
 「私は自分を掘り下げることは意味がないと思います。自分を掘り下げるというのは、玉葱の皮をむいていくようなものです。それよりも、自分はどう行動したらいいだろうかとか、自分のいま置かれている関係を読み解いてもらうとか、自分の中にあるとてもいいものを評価してもらうとか、そういうことのほうがむしろ大事だと思います。」(信田[2001:42])p.143

・夫婦の支配・被支配が、末端の子供に影響する
 「自分勝手に結婚した夫の愚痴を子供に言うな――これは母親の原則です。いじめる、いじめられるという関係は、たしかに教育の問題も大きいですし、地域の力が衰退したことも関係します。でも、残念ながら私はやっぱり家族の問題だというふうに思ってしまいます。家族が悪いと言っているわけではありませんが、家族の中にいじめの一種が存在するのではないでしょうか。誰かが誰かをいじめる。」(信田[2001:42])p.77

・家族の支配を作り出してしまった女性が、変わること
 「今後のカギを握るのは、女性かもしれません。女性が自分の欲望に目覚め、欲望を肯定できたときに、家族は変わるかもしれません。なぜなら今まで、自分の人生を生きることを断念し、そのひきかえに主婦として経済的安定を得た女性たちが家族を支えてきたのです」(信田[2001:51])
 「日本では女の支配ということはあまり言いません。女性はやはり被害者でした。しかし、じつは女性だって支配しているわけです。むしろ、家族のコントロール・ドラマの主役は女性だったのです」(信田[2001:107])

・「トラウマ」とAC、帰属先の違い
 「「私が自立できないのは母親から受けたトラウマのせいだ」と主張することと、ACの人たちに「全部親のせいにしていいんだ」とアドバイスをすること――この二つは似ているようで違います。前者のように言われたとき、母親はもっと支配するようになるでしょう。(…)しかしACの人が親のせいだと言ったとき、それは「自分が悪い」と責めることをやめるための切り口なのです。自分が楽になるためのプロセスとしていったん親のせいにしてもいいということを、自分に許す必要があります」(信田[2001:115])
 「加害、被害という言葉は、苦しみを受けた人に対して「あなたは悪くない」と免責性を強調するために、加害者としての親を浮き立たせることはあります。しかし当の親に対して、「トラウマを与えた人」という加害性をあまりに強調すると、親が子どもから手を引くどころか、さらに子どもの面倒を見るようになってしまいます。「支配」を強化することになるのです」(信田[2001:116])

・カウンセリングのすすめ
 「カウンセリングに来る人は、心の悩みというよりも、何かはっきりしない問題を抱えてくるのです。(…)彼らはつき動かされる何かがあって来るのです。自分一人で抱え込めないと思ったことを誉めないといけません。なぜなら、人が自分の悩みをすべて自分で抱え込めるというのは傲慢なのです。人の助けを借りるのは、ちっとも恥ずかしいことではないし、借りたほうが勝ち。そのほうが賢明です」(信田[2001:141])

・我慢
 「我慢とは、我慢した先に保障される報酬が信じられた時代には意味を持ちました。そのことの意味・目的が明確であれば、人は我慢をします。耐えることも同じでしょう。しかしいまはその意味・目的がわからなくなっています。また我慢は必ず副作用があることもわかってきました。耐えて苦しむ母は、その苦しむ姿、不幸を、子どもの支配の小道具に使ってきました。」(信田[2001:208])

・ACとわかったあと
 「私はACだと認知することで、自分のこれまでの生の軌跡が、方程式を解くように、今の自分を肯定するひとつの物語としてかたちづくられること、それがすべてであると言っていいと思います。つまり、親の人生ではなく、他でもない「私の物語」をつくれることに尽きると。」(信田[2001])

■言及

◆立岩 真也 2008- 「身体の現代」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


*作成:山口真紀
UP:20080704 REV:20091030, 20140824
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