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『グローバル時代の外国人労働者――どこから来てどこへ』

桑原 靖夫 編 20010208 東洋経済新報社,297p. 


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■桑原 靖夫 編 20010208 『グローバル時代の外国人労働者――どこから来てどこへ』,東洋経済新報社,297p. ISBN-10: 4492260595 ISBN-13: 978-4492260593 \3400 [amazon] w01 w0111 n09 0r/2003er

■出版社/著者からの内容紹介
少子高齢化社会に向かう日本経済では外国人労働者問題は産業構造面・雇用面から避けることはできない。経済面のみならず社会・政策面の課題に取り組んだ注目の研究内容

■内容(「BOOK」データベースより)
日米両国は外国人労働者問題にどう対応するのかグローバル・マイグレーション時代の日米比較研究。外国人労働者問題は、日本の国際化をはかる試金石であり、本格化する高齢化と労働力不足を目前にした日本が避けてとおることができない問題である。労働者・使用者に直接アプローチし、労働市場、地域・公共政策問題にも踏み込んだ日米共同研究の集大成。


■目次(〈人名〉はその項の著者)

まえがき 〈桑原靖夫〉
第T部 日本とアメリカに見る外国人労働者の実像 〈桑原靖夫〉
 第1章 検討の視点
1.1 日米比較の背景
1.2 検討課題
 第2章 日米比較・検討の枠組み
2.1 浜松・サンディエゴの外国人労働者
2.2 調査仮説
2.3 調査方法
 第3章 アメリカで働く外国人労働者
3.1 サンディエゴ調査の概況
3.2 外国人労働者への需要
3.3 景気循環の悪影響
3.4 公共政策の変化とその影響
3.5 外国人労働者への需要
3.6 永住の地となるアメリカ
3.7 展望
第U部 日本で働く外国人労働者:浜松調査
 第4章 浜松地域の産業と労働市場 〈桑原靖夫〉
4.1 浜松地域の産業
4.2 産業・企業の分布
4.3 労働市場の変化と外国人労働者
 第5章 外国人労働者の実像 〈梶田孝道〉
5.1 外国人労働者の特徴
5.2 出稼ぎへのインセンティブ
5.3 入国資格と在留期間
5.4 大きく異なる日系人と非日系人
 第6章 日本における労働生活 〈篠塚英子〉
6.1 はじめに
6.2 日本の職場
6.3 会社の背景
6.4 賃金報酬と労働時間
6.5 職場での差別感
6.6 景気循環と外国人労働
6.7 要約と政策的アプリケーション
 第7章 外国人労働者と地域社会、公共政策 〈梶田孝道〉
7.1 海外出稼ぎへの期待:計画と現実
7.2 帰国後の計画、家族への送金
7.3 将来の計画、子供の教育
7.4 外国人労働者と地域社会
7.5 外国人労働者政策との関連で
 第8章 外国人労働者の使用者 〈山越徳〉
8.1 誰が雇用しているか:外国人労働者に依存する使用者像
8.2 外国人労働者が働く企業:従業員の特徴、外国人労働者の職場での役割
8.3 外国人労働者の雇用状況
8.4 外国人労働者への見方
 第9章 なぜ外国人を雇用するのか:景気や業態との関係をもとに 〈今村肇〉
9.1 景気変動と外国人労働者
9.2 熟練から見た外国人労働者と国内労働者
9.3 労働者確保についての見通し
 第10章 外国人労働者に関する公共政策の評価 〈井口泰〉
10.1 はじめに
10.2 日米の移民・外国人労働者受入れシステムの相違
10.3 日米に共通する外国人政策の類型と具体的対応
10.4 結語
 第11章 展望:どこから来てどこへ 〈桑原靖夫〉
11.1 不透明な外国人労働者の未来
11.2 日本の政策:残された課題
あとがき 〈桑原靖夫〉


■要約
第1章 検討の視点(p.3〜p.26)
@日本の外国人労働者の現状・歴史等の紹介→日本に多数の外国人労働者が流入するようになったのは、1980年代半ばから。当時は、労働市場の逼迫という背景があったが、戦後最悪といわれる厳しい不況の今日でも、推定で67万人近い外国人労働者がさまざまな分野で就労。うちわけとして、約25万人(2000年1月1日現在)が、いわゆる不法残留者、合法的な在留資格を取得している者が約11万人、日系人が約23万人である。総労働力人口に占める外国人労働者の比率は、ほぼ1%であり、この数字は92年ごろからほぼ一定している。
Aなぜ、「日米比較」かについての背景紹介→比較調査対象であるアメリカは、移民により今日の国家を形成した国家であり、当然に長い移民の歴史を持つ。対して日本は、戦前および戦中の一時期を通じて移民の送り出し国であったことはあるが、受入国としての経験は浅い。戦後の復興・発展過程において、ほとんど移民労働者を受け入れることなく、経済活動を発展させてきた。
このような大きな歴史的・地理的条件、出入国管理政策、労働市場の構造の違いなどから、調査結果は当然差異が大きい。一見比較することすら困難な両者ではあるが、外国人労働問題については、とりわけ受入れ国の入国管理政策が重要である。日本とアメリカという世界経済に大きな影響力を持つ国の実態を調査、分析することで、今後の外国人労働者(国際労働力移動)問題への指針を得られることを期待するものである。
B調査方法→この日米調査の最大の特徴は、両国の研究者がほとんど同一のフォーマットによる質問表を使用し、ほぼ同時期に同一の方法で外国人労働者および使用者のインタビュー調査を実地したことにある。調査地域は、日本:静岡県浜松市およびその周辺地域、アメリカ:カリフォルニア州南部サンディエゴ郡を対象とした。両地域とも外国人労働者のきわめて多い産業地域である。可能な限り、不法就労者を含める包括的な調査を目指した。

第2章 日米比較・検討の枠組み(p.27〜p.43)
現代の国家間の労働力移動の領域では、関係国の間で移動のあり方にさまざまな制限がつけられている。外国人労働者をめぐる議論では、「世界は開放の方向に向かっており、受入れ国は外国人労働者、移民、難民などに対する制限を撤廃あるいは緩和する方向にある」との議論が見られた。しかし、逆にグローバル化が進行する反面、外国人労働者に対する制限は、むしろ強化されている場合が多い。
それがなぜかについて、代替性の高低などの視点から、(a)景気循環の影響→外国人労働者は、景気の上昇期に増加し、下降期には降下するのか、(b)構造化仮説→外国人労働者の滞在長期化により、彼(女)らが支配的に就業する仕事の領域が形成されているか否か、(c)分断的労働市場仮説→外国人労働者が「代替的」であれ「補完的」であれ、関係国両国の市場役割が分断されるか否かなどを検討する(2.2調査仮説より)。

第3章 アメリカで働く外国人労働者(p.45〜p.78)
サンディエゴの概況→メキシコとアメリカの国境を境に、サンディエゴの1人当たり所得は約25,000ドルであるのに対して、メキシコのティフアナでは約3,200ドルという激しいコントラストを示している。国境管理の強化が実施される前までは、昼間は国境を越えてアメリカで働き、夜はメキシコの自宅へ戻るという労働者も少なくなかった。
サンディエゴ地域は、農業および園芸業というきわめて労働集約的な産業構成の特徴を持ち、今日も成長を続けている。
外国人労働者に依存する企業、「構造化」した外国人労働者→標本におけるサンディエゴ企業の約3分の2は、経営の状況はまずまず、あるいは非常に利益が上がっていると回答している。浜松地域の81%もほぼ同様な回答である。サンディエゴでは、たんに「外国人労働者を使っている」という段階を超えて、すっかり外国人労働者に依存しきっている企業もあった。5社に1社は、現場の労働力の90%以上は外国生まれの労働者であると回答している。10社に1社は、生産工程労働者についてみると100%外国人労働者であった。
浜松との両地域においてこのような高依存型企業は、外国人労働者が雇用できなくなるというような状況が生まれると、厳しい事態に追い込まれると回答している。浜松の場合で、高依存型企業の56%は外国人労働者の雇用ができなくなったり、困難になると、操業を切り詰めたり。企業閉鎖しなければならなくなると答えている。低依存型企業の場合は、11%がそうした事態に追い込まれると回答した。回答結果から高依存型企業では、外国人労働者に代わる現実的な大害手段を持たないことがわかってくる。
分断化進む労働市場→外国人労働者はいかなる手段でその職を探すのか。サンディエゴ調査の使用者、労働者の70%は、今働いている企業に同様に雇用されている親戚、友人の紹介といった社会的ネットワークであることが明らかとなった。企業への直接応募で雇用されているのは、わずかに16%である。使用者の観点から見るとこうした労働者の社会的ネットワークの存在はたいへん好都合である。コストのかかる広告も、エージェントに依頼する必要もない。仕事に空きができると、ほとんど充足される。こうした社会的ネットワークの形成は、次第に国内労働者に代わる外国人労働者の定着を深めることになる。
それに加え、外国人労働者は時間外労働をいとわず、国内労働者がやりたがらない夜勤なども引き受けることが雇用主に好まれることと、国内労働者は外国人労働者が支配的な企業や産業で進んで働こうとしないことから、さらに労働市場の分断化が進んでくる。
景気循環の影響→浜松、サンディエゴ両地域ともに1990年代の不況の前に外国人労働者を雇用している企業は、景況が良くないにもかかわらず、できるだけ外国人労働者を維持したいと考えていたことも判明した。
ここで両地域における差異が見られるのは、不況期でもサンディエゴでは国内労働者を雇用することは容易ではないと回答したのが、80%だったのに対して、浜松では63%の企業が、国内労働者を雇用することが容易になったと回答した。浜松のほうが、労働市場の「構造化」の程度が明らかに低いといえる。
しかし全体的な数字からは、景気循環は外国人労働者の需要にあまり影響(とりわけマイナスの効果)を及ぼさなかったことがわかった。

第4章 浜松地域の産業と労働市場(p.81〜p.89)
浜松地域の概況→浜松地域の特徴は、日本の他の産業集積と比較して、製造業(第2次産業)の比重が大きいこと、地域の産業の集積が相乗効果を生み、地域の内部から内発的な発展を呼び起こしてきた点などがある。この地域に外国人労働者が集中した理由として、産業の規模が大きく雇用需要が大きいこと、高い生産性と競争力を背景に、相対的に高賃金を支払う事業所が多いこと、残業時間も多いことなどがあげられる。仕事がきつくとも短期間に多くの賃金を得たいという外国人労働者の行動様式に合致したのだろう。

第5章 外国人労働者の実像(p.91〜p.121)
浜松地域の外国人労働者の特徴→夫婦ないしは家族でにほんにきているケースがおおく、男女比は、男性56.7%、女性43.3%で、比較的バランスがとれている。全体の91.1%は「合法」就労者で、残る8.9%が「非合法」であると推測される。日系人が多く、そのコミュニティーが形成されているのも大きな特徴のひとつである(日本においては同じ外国籍でも、日系人と非日系人とによって入国条件、在留期間、就業の可否等が大きく異なってくる)。日系人のリピーターと、10代、20代を主体とした若い層の日系人参入が多い。
日系人は、賃金面および労働環境面で有利な製造業へ集中している。そして、その大半(73.5%)が、業務請負等のブローカーを利用しており、直接雇用の形態が少ない。非日系人の場合は、ブローカーを介さず、直接雇用を結ぶケースがほとんどである。門が狭い非日系人の職探しは、自分で探さざるを得ないと言い換えることもできる。
しかし、日本入国時の日本語能力についてみてみると、むしろ非日系人のほうが、日系人よりもその能力があることがわかった。日本人にとって、「日系人」といえば、日本語が自由に話せ、みた目にも通常の日本人と区別できないと考えるのは、大きな間違いである。

第6章 日本における労働生活(p.123〜p.148)
雇用における契約→驚くべきことに外国人労働者は契約書にサインしていないものの方が多い。日系人の場合でも8割弱もが契約書を取り交わしていない。非日系人も同様の傾向であるが、相対的に契約をしている場合は多い(44%)。契約を交わしていないということは、実は不安定な雇用状態を示唆している。
日本での失業経験→上記のような不安定な雇用形態の割には、日本において解雇された経験を持つ者は以外に少なく、1〜2割である。しかし、解雇ではない失業経験は、男性が3割、女性が4割とある。再び職につくまで、日系人で6〜7割の者が仕事を見つけているのに対し、非日系人ではバラツキがあり、3ヶ月以上経過しても見つからないケースもある。
労働時間・収入格差、差別感→総じて、日系人のほうが非日系人より、男性のほうが女性より高収入である。これは、残業時間の多寡と正比例している。いちばん収入の高い日系人男性の収入を100とすると、いちばん低い非日系人女性は40となる。
日本人に対する非日系人の賃金格差は6〜7割になるが、日本人には、事務労働者や高学歴者を含むことなどを考慮すると、不当な差とまではいえない。
景気循環と外国人労働者→サンディエゴの場合と同じで、日本社会の中でも外国人労働者の位置づけが、「日本人がやらない仕事をする人たち」として定着してしまったと見てよい。日本人がやりたがらない仕事を拒否せず甘受するかぎり、不況になっても彼(女)らは、解雇や職探しで苦労することは少ない。実際の数値もそれを示している。こういった意味で、日本もいよいよ外国人労働者に依存しなければ成り立たなくなった社会になったようである。

第7章 外国人労働者と地域社会、公共政策(p.149〜p.184)
(日本のケース)リピーター、家族同伴者の増加、長期化する日本滞在→「今回が何回目の来日であるか」との問いに、1回目との答えが56.5%であり、残りがリピーターということになる。こうした人々の来日の理由は、35.8%が「もっと貯金が必要になった」と答えているが、「家族友人と会うため」(21.1%)、「母国で地域社会にとけ込めなかったので」(8.9%)というように、むしろ母国より日本社会とのきずなが強化され、これが再度、再々度の来日に結びついている場合も多い。リピーター率は日系人(45.5%)のほうが、非日系人(39.1%)よりも若干高い。
「今回、最初に予期していたより日本に長く滞在していますか」の問いに、63.2%が「はい」と答えている。
(日本のケース)帰国後の計画→帰国後「自分でビジネスを始めたい」とする回答者が59.6%と最も多いが、日本に来ることによって期待水準も高まり、出身国で働く意欲が低下したり、消費志向が強まったりといった理由からか、再び日本にやってくるケースが多い。「リピーター」とはいえ、生活拠点は出身国よりもむしろ日本へと移行している傾向がうかがえる。
(日本のケース)家族への送金・貯金→本国への送金は、59.9%が「規則的に送る」、13.9%が「ときどき送る」と答えている。滞在期間が長くなればなるほど、家族の実態が日本へ移送しているので、送金している人の割合は減少している。貯金の目標平気金が約1,000万弱であるのに対し、実際の貯蓄額が少ないのも日本滞在長期化の一因だと思われる。
入国管理政策との関連(日米比較)→改めて、日米両国の事例を比較すると、大きく異なるのは、国境をはさんだ隣接性の有無と、入国規制の有無(厳しさの度合い)の2点である。
入国規制に関していえば、それがある場合、外国人たちに頻繁な行き来を断念させ、結果として、ホスト国への定住化を促進するという「意図せざる結果」を生みやすい。
(日本のケース)今後の予想→外国人の日本での就労が、景気循環にもとづく一時的な現象ではなく、日本の産業にビルトイン(構造化)されたものである。いまは、相対的にみて特権的ともいえる日系人であるが、今後、その他の外国人の受入れ規制が緩和される可能性が高い。法務省が2000年3月に発表した第2次出入国管理基本計画においても特定分野でのその可能性を示唆し、他国との比較から見てもそうせざるを得ない状況になる可能性は高いだろう。

第8章 外国人労働者の使用者(p.185〜p.207)
外国人労働者の役割→外国人労働者は、最初バブル期の労働力不足状況に対応して、臨時雇いあるいは縁辺部分を担うものとして受け入れられてきた。その活用を通して、その利用範囲を広げるとともに、常用化する部分、日本人労働者を代替する部分が増えてきた。まだ、割合的にはあまり高くないものの、限界的な労働力から、基幹的、主要な労働力まで多様な形態が浸透してきている。まだ、外国人労働者を雇用し始めてからそれほどの期間が過ぎていない企業もあり、その対応に悩んでいる状況もうかがえる。
ブローカーを介在させるケースが多いことから、日本における外国人労働者雇用は、日本における人材派遣業の感覚と非常に近いのかもしれない。外国人と日本人との仕事内容も、「基本的に差がない」としている企業が3分の4にのぼる。

第9章 なぜ外国人を雇用するのか:景気や業態との関係をもとに(p.209〜p.225)
なぜ外国人を雇用するのか→これまでもみてきたように、その一番の理由は国内ではその職種への労働供給がまかなえないことにある。特に好況期にこの傾向が強い。外国人労働者雇用について、65.4%の企業が「不況でなければ、もっと厳しいだろう」と答えている。それに続いて、不況期でも単純作業の日本人採用は楽にはならなかったと答えた企業も32.7%あった。それでも、不況期において日本人の雇用が楽になった結果、外国人労働の雇用が削減されたかというとそうでもない。景気の変動にかかわりなく、外国人労働者の雇用が継続して行われている(詳しくは第3、第6章参照。代替性の有無、外国人労働者の労働思考など)。日本人外国人といった枠組みにとらわれず、「3K」分野の労働者の雇用について、常に悩みを抱える経営者の姿が浮かび上がってきている。しかし日本においては、やはり今後の見通しとして、外国人労働者への依存割合が高まるという傾向は、まだ見られない。現状維持との見通しである。
労働力確保についての見通し→不況が終われば必要な雇用者確保を「それほど難しくない」+「全然難しくない」の合計で、46.1%となっている。それに対して、「非常に難しい」+「かなり難しい」の合計は46.3%と、両者はほぼ拮抗している。他の数字を考慮すると、労働者の供給という「量」の問題ではなく、必要な職種への供給という「質」の問題が影響しているのである。
労働力確保についての手段として日本人に対しては、「昇給」(11.5%)、「労働条件の改善」(12.5%)が上位を占めるのに対し、外国人に対しては、設問がマルチプル・アンサーなのに対し、「福利厚生を増やした」のが、4.8%で最大となっている。外国人労働者の引止めには、企業はほとんど手段を講じていないことが示されている。
日本の政策をどう考えているか→これについては、調査企業からきわめて前向きな回答があった。単純労働の受入れについて「将来日本は単純労働者の入国を許可すべきか」との問いに、ほぼ半数の49.0%が「熟練の程度に関係なく外国人労働者を受け入れるべき」と答え、「受け入れるべきでない」の27.9%を大きく上回った。
外国人労働者の永住許可について尋ねた「外国人労働者は一時的雇用だけを許可すべきか、永住を許可すべきか」との問いに、「永住を許可すべき」がやはり51.0%と半数を占め、「一時的雇用だけ許可すべき」と答えた24.0%をはるかに上回っている。
今回の質問に関しては、日本語教育などインテグレーションのためのコスト負担を前提とした聞き方はしていないことに注意すべきだが、やはり外国人をすでにやとった経験のある企業が、彼(女)らに前向きな姿勢を持っていることは注目すべき点である。

第10章 外国人労働者に関する公共政策の評価(p.227〜p.247)
日本の公共政策の評価→日本の法務、労働および警察の3省庁の連携は、先進諸国の中でも進んだ取り組みと評価できるが、周辺諸国やNGOとの連携がまだまだ十分ではない。将来的な人口減が予測される中、有能な外国人の受入れは、東アジアとの長期的な経済発展のためにも不可欠であろう。
アメリカの公共政策の評価→アメリカ国内には、高度に発達した先進国の労働市場と、開発途上国の労働市場の2種類が共存している。移民と非移民それぞれに対する制度に整合性を持たせ、総括的な視点で外国人政策を改善させていかなければならない。
外国人労働者に対する公共政策の評価→これまで外国人労働者に関する公共政策の評価は、ほとんど実施されたことがない。このような新たな課題については、これから国際的な議論・研究がもっと促進されなければならない。

第11章からあとがき 展望:どこから来てどこへ(p.249〜p.270)
第1〜10章までのまとめ。国際労働力移動は、次代とともに劇的に変化しているが、外国人労働者の今後は、きわめて不透明であるといえる。比較対照のアメリカが長らく目指してきた新旧移民の「メルティング・ポット」という国家形成の目標は大きく後退し、「サラダ・ボウル」社会に変化しつつある。日系人社会が各地で形成されつつある日本も、このままでは同じ道をたどるだろう。
(玉寄麻衣)

■書評
 著者が数人に分かれていることから、内容の重複や掘り下げの浅さが気になったが、その調査内容には、今後の国際労働力移動を考える上で、着目すべき点が多々あった。一般市民から見た外国人労働者ではなく、外国人労働者本人、その雇用者へのアンケートという内容から、彼(女)らの有用性もはっきりとわかりやすかった。
以下の参考文献にある『外国人労働者をみる眼』などと、対照させながら読むと、今後の課題、対応すべき問題がよりはっきりと見えてくる。(玉寄麻衣)


■参考文献
・『シリーズ外国人労働者@ 出稼ぎ日系外国人労働者』 著者:藤崎康夫(244p) 発行:明石書店(1991.3.31)←労働法改正により現在と違う点も多いが、日本がこれまで行ってきた海外への移民政策、その後の彼らへの対応など、外国人労働者に対しての根本的な日本の考え方の問題などが良くわかる。
・『外国人労働者をみる眼』 著者:駒井洋(274p) 発行:明石書店(1990.12.30)←今回取り上げた本には見られなかった「一般市民から見た外国人労働者」への差別や偏見等が良くわかる1冊。
・『外国人労働者の人権と地域社会』 編者:鐘ヶ江晴彦(310p) 発行:明石書店(2001.8.10)→日本国内でも、地域によって各国の外国人労働者に対する考えや興味の示し具合が大きく違うことなどを、詳細な調査により明らかにしている。その違いに特筆すべき点も多かったので、最初この本を取り上げようと思ったが、統計学的な用語の解説が少なく断念。必ずリベンジしたい(玉寄麻衣)


*作成:玉寄麻衣(立命館大学政策科学部5回生) 更新:石田 智恵
UP:20040216 REV:20080801
労働  ◇外国人労働者/移民  ◇「日系人」/日系人労働者  ◇2003年度受講者作成ファイル  ◇2003年度受講者宛eMAILs  ◇BOOK
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