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『「医療的ケア」ネットワーク――学齢期の療育と支援』


小西 行郎・高田 哲・杉本 健郎 編 20010228 クリエイツかもがわ,222p.


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■小西 行郎・高田 哲・杉本 健郎 編 20010228 『「医療的ケア」ネットワーク――学齢期の療育と支援』,クリエイツかもがわ,222p. ISBN-10:4876995818 ISBN-13:978-4876995813 \2310 [amazon] [kinokuniya] ※ m02a.

■内容
「BOOK」データベースより
学校保健体制のリメイクと医療と教育のネットワークづくりを!小児神経医を中心に養護学校教員、スウェーデンの専門家あわせて17人の編著者が、「医療的ケア」の問題店を解明。医療と教育の連携のもとに行われている先進事例を紹介するとともに、学校保健体制のリメイクとネットワークづくりを提言。

「MARC」データベースより
超重症児も学校に通うようになっているが、その「医療的ケア」を誰が学校で行うのか? その問題点を解明し、医療と教育の連携のもとに行われている先進事例を紹介。学校保健体制のリメイクとネットワークづくりを提言する。


■目次
はじめに  

第1章 療育支援の確立を願って
──養護学校からのメッセージ

1 医療的ケアの実践から見えてきたこと
  ──気管内吸引を必要とする事例より 佐々木 圭子 

2 子どもたちが安全に楽しく生活できるように
  ──養護学校の担任として思うこと 馬場 真由美 

3 専門医の支援と学校保健の充実を
  ──養護学校保健室からのメッセージ 北川 末幾子

4 障害の重い子どもの命と学校生活を輝かせるために
  ──専門医や関係者の支援に期待 津川 絢子

第2章 重症児の教育と医療的ケア──現状と医療・教育の専門性

1 医療的ケアが必要な重度の障害をもつ子どもの教育
  ──障害児教育に携わる小児神経医の立場から 郷間 英世 

2 子どもを中心に、直接ふれあう機会を
  ──教育系大学の専門医と養護学校の連携 小野 次朗 

3 医療的ケアで問われる養護学校教員の専門性 松木 健一 

第3章 病院から学校現場へ専門医の支援──医療的ケアと学校保健

1 医療的ケアが必要な子どもと学校保健
  ──養護学校医の専門性と支援 禹 満

2 医療と連携の要望に応えて
  ──専門医の学校巡回相談 奈良 隆寛 

3 医療チームによる巡回指導
  ──行政・地域医療の協力で医療的ケアを具体化 高田 哲 

第4章 豊かな学齢期をすごすための家族への支援──問題点と支援のあり方

1 家族の静かな叫びを聞こう
  ──障害児とその家族への支援 広川 律子 

2 豊かな学童期をすごすための家族関係
  ──保健所の療育相談と専門医の役割 荒井 洋 

第5章 学校保健と総合的な支援──医療・教育・関係機関との連携

1 ライフサイクルに応じて、地域で総合的に支援
  ──さまざまな事業と関係機関との連携 栗原 まな 

2 学校保健を越えた地域医療との連携
  ──障害児ドック 富和 清隆

3 明日を拓く喜びのある学童期療育
  ──学童期外来とチームアプローチ 北原 佶 

4 家族と個人を中心にしたハビリテーション
  ──スウェーデンの学齢期の療育 

1) 家族を中心にしたハビリテーリングプログラム
   マルガレータ・ニルソン 

2) 個人サービスプログラムと作業療法
   河本 佳子 

第6章 学齢期の療育支援を拓く──専門医は病院を飛びだそう!

提言 日本小児神経学会としての支援 杉本 健郎 

<資料> 日本小児神経学会総会「療育支援」に関する発表項目

あとがき 

■引用

 「1979年就学免除をなくし、訪問教育制度の立ち上げとともに養護学校義務制を国・文部省は宣言しました。遅ればせながら憲法26条にある通り、すべての子どもたちへの教育の保障、どんな重度の脳障害をもっていても教育を等しく受ける権利を保障したのです。
 ところが、その20年後の今、先にあげた障害児支援の三つの視点からみても、学齢期には十分な支援体制ができていません。
 医療側はこの間、新生児医療だけをみても急速に進歩してきました。乳児死亡率が世界一最低になりました。また人権思想が広まり、障害児も等しく医療を受けることができるようになってきました。多くの重度障害をもつ子どもたちが、成人を迎えるまで生き抜く条件が整えられてきたのです。ところが、残念なことに重度児の通学する学校保健体制のリメイクは行われていません。いろんな法律でしっかり保障されているにもかかわらず、十分な体制を整えることができず、学校現場での保健管理体制は混乱しています。 

[……]

 1988年、東京都教育委員会が校内での吸引やチューブ栄養が、医療的ケアに相当するという声明を出して以来、「医療的ケア」は、今や全国的課題に発展しました。しかし、この問題も学校保健体制を十分討論し、現状にあった形でリメイクしえていないゆえの問題の一部にすぎません。
 重度の子どもたちに、先の障害児支援の三つの視点kら学校はまず、教育の一環としての保健管理に責任をもてる学校保健体制を早急につくらねばなりません。そのためには現制度の見直し・リメイクから始めねばなりません。」(p209)


 「(2)これまでの日本小児神経学会の全国学会発表
  ●療育支援への足跡
 毎年一回行われる全国規模の学術集会での「療育支援」と関連した演題数は、年ごとに増えてきました。また、年次学会とは別に行われ、1971年から始まった秋の小児神経学セミナーの講演でも「療育支援」に関連したテーマの講演が数多く行われてきました。(215ページ<資料>参照)。
 1980年はじめ欧州から始まったインテグレーション、脱施設化と「ノーマライゼーション」の流れを受けたこと、ボイタ、ボバース法による早期診断、早期訓練の流れ、そして大学会員を中心にした当学術学会は、純医学的な研究を中心に展開してきたため、1980年前半までは、「療育支援関連演題」はほとんどありませんでした。
 しかし、1984年の大阪での学会では、その後この分野のリーダーシップをとる北住映二、三宅捷太の療育支援の発表が行われています。1988年学会からは一般演題で10演題以上の発表になり、1999年からは20演題を超えるに至りました。
 学会主催者側の講演としては、1989年、北海道大学・松本脩三会長時の北九州総合医療センター高松鶴吉の教育講演、1990年の心身障害児総合療育センター・児玉和夫の教育講演に端を発し、1993年の京都での「障害児療育」のシンポジウムからは、「公開」シンポになり、療育などのように広く連携していく関連分野の支援者にも、参加を呼びかけるようになりました。それまではどちらかといえば、乳幼児の療育が中心でしたが、「医療的ケア」をはじめとする学齢期の演題が急速に増加してきました。
 1996年以降の演題数の多さをみると、専門医として学会員の「療育支援」が、小児神経学会活動の一つの柱として認知された結果と評価できます。2000年の公開シンポジウムでは、われわれ「学会が何をすべきか」という討論にまで到達することができました。21世紀は、学会組織として具体的かつ積極的に取り組むべき時期と考えます。

 3 小児神経学会への提言
 21世紀の小児神経学会活動の一つの柱として、障害児療育、療育に積極的に取り組むための方策について提言します。まずは学会内部の理事会で討議し、早急に討議の場を保障し、21世紀初頭から具体的な一歩を踏み出さねばなりません。

@学会として、連携のための連絡や専門医相談窓口をつくる
  
常時質疑応答ができるホームページを立ち上げる。
URL:http://www.yo.rim.or.jp/〜JSCN/(このHPは現在、質疑応答はできません)
地方会事務局の連絡先(上記HPに掲載)を公開し、相談や連携の窓口にする。
地方会のE-mailも開設する。

A理事会の下に、社会的支援・療育支援の専門委員会をつくる
  
大学の枠を超えた真の専門医集団として、社会的ニーズに対応する体制をつくる。
各地方会に関連委員をおき、日常的に対応する。

B小児神経専門医に対しての障害児医療の研修システム・セミナーを開催する
  
小児神経初期研修の「小児神経セミナー」とは別に障害児医療・療育についての実施 研修会をもち、新しく正しい知識・技術の獲得・普及をめざす。研修を受けた専門医  が地域連携スタッフの研修を積極的に受け持つ。

C厚生労働省、文部科学省、医師会、関連学会、関係諸団体との連絡を密にし、患者会 ・家族会とも定期的に連絡をとり、障害児者医療・教育・福祉の充実と発展のために、学会として積極的に協力していく
   
第二項で示した委員会がそれに当たる。地域では、地方会が主になって教育委員会や  地元医師会、福祉関連施設などとの密接な連携を保つ努力をしていく。

D養護学校校医会の活性化に地方会は協力する

学会地方会は、新校医の推薦はもとより、養護学校校医会の校医の研修に講師派遣を  したり、定期的な学校保健充実のための勉強会に積極的に協力する。

E年次学術集会には、その開催地域での療育支援ネットワークづくりを意図した公開シ ンポジウム、ワークショップ、夜間集会などの開催に努力する


F小児神経学会として、障害児者医学・医療の研究、発表を評価し、機関誌「脳と発  達」にも、その分野の研究を積極的に掲載していく」(pp211-4)

■書評・紹介

■言及


*作成:三野 宏治 
UP:20100113 REV:20100128
医療的ケア  ◇杉本 健郎  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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