HOME > BOOK >

『日本の税制――グローバル時代の「公平」と「活力」』

森信 茂樹 20010129 PHP新書,203p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■森信 茂樹 20010129 『日本の税制――グローバル時代の「公平」と「活力」』,PHP新書,203p. ISBN-10: 4569614612 ISBN-13: 978-4569614618 693 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

■広告

出版社/著者からの内容紹介
クロヨン、益税、世代間の格差……このような問題はなぜ起きるのか。
「税率は下げるが、課税ベースは広げない」という現在の景気考慮の中途半端な税制改革にこそ問題があると著者は指摘。「税率を下げ課税ベースを広げる」、「所得課税から消費課税へ」という二つの国際的税理論の導入が、「公平」で「活力」ある社会を生み出すと主張する。
「所得税――グローバルスタンダードに近づくために」「ベンチャー企業と税制――エンジェル税制とその検証」「法人税――外形標準課税をどう考えるか」「消費税――制度の信頼性向上にむけて」「相続税――ストック経済化の中で考える」等、税制を考えていく視点を提示。
さらに本書では「納税者番号制度とは何か」「電子申告で納税がどう変わるか」「国際間における電子商取引でいかに課税するか」「環境税にはどういう役割があるか」等にも言及。
税制の基本的な理論から今日的な課題まで解説した「税制の教科書」。

内容(「MARC」データベースより)
「税率を下げて課税ベースを広げる」「所得課税から消費課税へ」という国際的税理論の導入が、公平で活力ある社会を生み出すと主張。税制の基本的な理論から、納税者番号制度、電子申告、環境税など今日的な課題まで解説する。

■目次

第1章 何のための税金か 
第2章 所得税1――グローバルスタンダードに近づくために 
第3章 所得税2――ジャパニーズ・ドリームは実現可能か 
第4章 法人税――外形標準課税をどう考えるか 
第5章 消費税――制度の信頼性向上にむけて 
第6章 相続税――ストック経済化の中で考える 
第7章 IT時代の税制 
第8章 インターネットと税金――国際的な電子商取引と課税問題 
第9章 環境税――二十一世紀税制の課題

■引用

第1章 何のための税金か 
 「税の第二番目の機能は、所得の再分配である。つまり、累進課税と社会保障の組み合わせにより所得の再分配が行われ、所得格差が少なく、福祉の行き届いた活力のある国家が建設されることが目的である。しかし現実は、累進税率や社会保障が進みすぎると「社会の活力をそぐ」との指摘が多い。バブル経済崩壊後のわが国においては、経済・社会の「活力」を取り戻すことが最優先の政策課題となり、累進税率の緩和により、労働のインセンティブを向上させるという政策がとられてきた。また「結果の平等」より「機会の平等」が重視され、所得の再分配の持つ社会的意義は相対的に小さくなっている。」(森信[2001:19])
 「公平が課税を考える場合の最大の原則であることは変わらない。公平な税制であるからこそ、近代民主主義の中で国家が課税権をもつことの正当性が与えられるといってよい。しかし、何が公平かということになると、人によりさまさまであるというのが今日の税制を巡る状況である。<0022<
 公平でまず考えられるのは、より大きな経済力を持つ人はより多く負担すべきであるという「垂直的公平」である。次に、経済力が等しい人は等しく負担すべきであるという「水平的公平」である。国民全体の経済状況が改善されていき、人々が豊かになっていくにしたがって、「垂直的公平」から「水平的公平」へと公平の重点がシフトしていく。」(森信[2001:22-23])
 「しばしば、レーガン税制が米国経済を活性化し、それが現下の財政黒字につながったという見解が、あたかも実証済みかのように論じられるが、税収に関する限り誤りである。孤高所得者の税負担を軽減すれば貯蓄が増加し、それが投資に回り経済成長につながるというサプライサイドの理論社は、米国でも必ずも実証されていない。レーガン政権のもとで作り上げられた財政赤字は、米国経済の土台を揺るがすほどの規模、問題になり、ブッシュ、クリントンという二代の大統領によって、大幅な歳出カットとともに、所得税を中心とする増税、それも最高税率を引き上げる形での増税が行われた。そして規制緩和とIT革命のもとでの経済好調とあいまって、今日の財政均衡に結びついているのである。」(森信[2001:34])


UP:20081110 REV:20081215
  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME(http://www.arsvi.com)