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Philosophies of Exclusion: Liberal Political Theory & Immigration

Phillip, Cole 2001 Edinburgh Univ Pr.



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作成:能勢桂介(立命館大学大学院先端総合学術研究科
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/g/nk01.htm

■Phillip, Cole 2001 Philosophies of Exclusion: Liberal Political Theory & Immigration, Edinburgh Univ Pr.

アマゾン・comより Book Description
The mass movement of people across the globe constitutes a major feature of world politics today. The first comprehensive overview of various positions within political philosophy on immigration, this original text offers a radical critique of these positions. Cole argues that there is a serious gap between the legal and social practices of immigration and naturalization in liberal democratic states and theoretical justification for such practices within the tradition of liberal political philosophy. How can liberal states develop institutions of democratic citizenship and at the same time justifiably exclude "outsiders" from participating in those institutions? The book examines various responses to this contradiction within the liberal tradition, and finds none of them satisfactory, arguing that this has serious implications both for liberal practice and theory.

About the Author
Phillip Cole is lecturer in applied philosophy at Middlesex University.

以下、一章と9章に絞って、とくに重要だと思われる点をまとめ、訳出(意訳あり)した。
1章:導入:リベラル哲学と移民

S1導入
「メンバーシップの問題がおもてに出されると、リベラルな理論の外見上の普遍主義と隠れた特殊主義のあいだの解き難い矛盾が明らかになる。」2
S2:平等の原則とメンバーシップの必要性
S3:排除的な市民権
S4:結論
「リベラル理論のディレンマというのは、リベラル理論が国境のウチソトの一貫性をどう達成することが出来るかということである。(内とは、自国の市民を統治する原則。外とは、非‐市民を統治する原則。)」11
●この解決法は次の4つ。
解決1.全面解放(著者の立場)
以下は、国境のウチソトの区別を認める立場
解決法2.平等原則は限定されており、ローカルな原則(ナショナルな)原則が優先するとの立場。
解決法3.平等論的リベラリズムから内を優先させる立場。
解決法4.国家主権の絶対性を守るべき(ホッブス主義)。解決法2(ナショナリズム)であろうと解決法3(平等論)であろうと、全面解放を拒否すると、これに帰着する。

 ホッブス主義仮定への疑問1.万人の闘争としてホッブス状態への疑問。2.絶対的主権への疑問→もしこれを認めると、国際正義を掘り崩す。
 だが、国際人権規則や国際司法の基本的枠組がすでにある。「国家は道徳的原則にしたがって、「外人」を扱う義務があると考えられる。」14
ホッブス主義の結論を離れる道は、国際正義と同時に、歴史を認識することだ。
「リベラルな哲学は、よく植民地的搾取は決して起こらなかったとの空想的な背景のもと、書かれている。・・・我々はポストコロニアルな視点、コロニアルな力と搾取が世界を根本的に形成したと認識する視点を前進させなければならない。」14

2章:移民という「危機」

3章:国際移動の自由

S1はじめに
リベラル入国は制限し、出国は自由だという。
だが、この非対称性、歴史短く、正当化できず。           
S2帰結へのアピール
S2権利へのアピール
S4非対称的な議論
S5一貫した反論
S6結論 内外に差をつける倫理的理由は何だろうか?

4章:メンバーと異人:ウォルツァーの移民論

5章:国民を「包囲すること」

6章:国民的価値

7章:リベラルな議論

8章:ホッブス派の応答

S1哲学の終わり
 強・弱あれどホッブス主義だと、国境のそとに正義なし166
S2破局的予測
S3ホッブスと国際関係
S4主権原則(Beits)
・主権=国家の自律説から移民コントロール、だが国は個人と同じではない。181
国家は個人を防御するもので、逆ではない182
・民主主義から移民コントロール→民主主義、囲われた境界必要。
              ↓↓
民族自己決定権の行使は、自発的な結社なら許容できる。だが、自発的にグループを形成出来るか?
疑問:1.全員納得するか?2.フツー自発的結社に領土ない3境界を決める結社は自由で自発的なのか?
まとめ:民主主義、メンバーシップないと機能しない→間違い
    自己決定、メンバーを決定する権利あり→リベラルな考えと調停出来ない。

9章:境界の哲学にむかって

S1:導入

S2:哲学的境界

 「我々はリベラル理論が伝統的に境界について何も言わないのをみてきた。そしてこのことが、リベラルな原則や価値は全人類に(少なくとも道徳的主体には)当てはまるという普遍性への主張と関係するのである。」193
 だが、この想定は間違っている。実際には境界があり、それが差別を隠蔽することになる。
 これを、解決しようとする「リベラル・ナショナリズム」は、由来を問わずに、所与として内外の境界を持ち出す。

S3:ポストコロニアルの条件

 「特定の政治コミュニティとメンバー間の関係は、コミュ二ティと他者の間の関係によって作られうる。」「植民地の中心での政治的、社会権の拡大によって、植民地での自由と自律の衰退が伴ったのである。」200

 「もしわれわれがポストコロニアルな視点をとるならば、内と構成された外の関係が政治理論にとって中心的な問題になる。これは、移民によって提起されたものだ。つまり市民権、国民的アイデンティティ、国民国家の観念が問題になるのだ。ありうる一つの応答は、問題の焦点をより流動的で柔軟なものに移行していくことである。そして、市民権と国家の観念に付属する厳格な境界なしでも、共同体は維持しうることが分かる。」201

 「前進する道は、第一に厳格なメンバーシップの実施の必要性から政治的コミュニティを解放するように政治的コミュニティを再構成すること、第二に国民的な目的と権力より国際的な目的と権力、国民とその権利より人間という規範を増大させること。すなわち、人権に基づいた国際的な立憲秩序の出現を増大させることである。」201


UP:20050615 REV:0922
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