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『エコノミスト 南の貧困と闘う』

Easterly, William 2001 The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics, MIT Press.
= 20030724 小浜 裕久・織井 啓介・冨田 陽子訳 東洋経済新報社, 462p.


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■Easterly, William 2001 The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics, MIT Press. = 20030724 小浜 裕久・織井 啓介・冨田 陽子訳 『エコノミスト 南の貧困と闘う』, 東洋経済新報社, 462p.  ISBN-10: 4492443045 ISBN-13: 978-4492443040  \2940 [amazon]

■内容(「BOOK」データベースより)
本書は、「なぜ貧困はなくならないのか」という開発経済学における一大テーマを、著者の世銀時代の経験をフルに生かして わかりやすくひも解く。第1部、第2部では、エコノミストが過去50年間、いかに途上国経済の運営に失敗してきたかをみていく。 第3部では、著者の新しい処方箋が語られる。すなわち、「貧しい人々には貧しさから抜け出すインセンティブがないことが多く、 政府は貧困の罠から抜け出すインセンティブを提供してあげなくてはならない」のである。「…そして、多くの貧しい国が豊かになりますように」。 本書を締めくくるこの著者の言葉と同じ思いを持つ読者に手にとっていただきたい一冊。

■目次
第T部 なぜ成長が重要なのか
 1章  貧しい人々を助ける
第U部 うまくいかなかった処方箋
 2章  投資に対する援助
 3章  ソローが与えた衝撃――投資は成長の主因にはならない
 4章  教育は成果をもたらしたか
 5章  コンドームへの資金援助は必要か
 6章  借金はしたが成長はしなかった
 7章  債務救済の功罪
第V部 人はインセンティブに反応する
 8章  規模に関する収穫逓増の物語――知識の波及、技能のマッチング、貧困の罠
 9章  創造的破壊――技術の力
 10章 不幸な星のもとに
 11章 政府は成長を殺すことがある
 12章 汚職と成長
 13章 分断された人々
 14章 結論――ラホールから

■書評・言及
◆Wacziarg, R. (2002) “Review of Easterly's The Elusive Quest for Growth,” Journal of Economic Literature, 40: 907-918.
◆もともとODAこと開発援助なんて、すぐ終わるはずだった。一時的に苦境を助けてあげれば、どの国も独り立ちしてぐんぐん成長できるはずだった。ところが実際は、開発援助はもうだらだらと五十年も続いているのに、飢えた人も貧乏人も、期待したほど減らない。現場の僕たちも半ばあきらめムードだ。何がいけなかったんだろう。
 著者はまずこれまでの援助の実績を振り返る。援助で道路やダムを造ってもだめ。教育援助もダメ。構造改革もダメ。債務放棄もだめ。一部NGOの非現実的なお題目だってろくな成果はあげてない。ちっとも途上国の豊かさに寄与しない。なぜだろう。それはこれまでの援助がバラバラで、その国全体が成長を目指したくなる仕組みを作ってこなかったからだ、と著者は言い、それを実現するための具体的な留意点をいろいろ指摘してくれる。
 多くの人にとって、教育投資が成長につながらない、といった指摘は意外なはずだ。U2のファンは、債務棒引きが無駄だなんて信じられないだろう。心優しい甘い援助こそが途上国をダメにするのであり、冷血な守銭奴に徹したほうが往々にして有益、という指摘もショッキングかもしれない。でもこれはまぎれもない事実だ。援助機関の自画自賛でもない、独善的なNGOの偏った近視眼的な批判でもない、きわめてフェアな開発援助の評価として本書は重要だ。
 そしてかれの提言は、実はもっと大きな問題をはらんでいる。成長を目指したくなる仕組みがないと著者はいうけど、そもそも本気で成長したがっていない国に、手取り足取り内政干渉まがいに「仕組み」を作ってやることがどこまで正当化できるのか? そもそもODAって、何をめざすべきなの? 本書は読者の一人一人に、そもそもの援助の根幹にかかわる問題までつきつけてくれるのだ。
 訳は正確だが生硬な学者訳なのは残念。原文の楽しいユーモアは全滅。それでも平明かつ率直な記述は、経済学の素人でも十分読みこなせるものだ。援助に少しでも関心のある人間は必読。
(コメント:これは援助関係者としては紹介しなくてはなりますまい。既存の援助を批判しつつ、馬鹿な NGO どもも罵倒。バランスとれてます。あと、訳者の小浜は日本の開発経済の大御所なんだからさぁ、あとがきで変なゴシップでない、日本の援助の特徴や問題とか、イースタリーの主張の評価とか、そういうのをきっちり書いてほしかった。) (朝日新聞書評、評者:山形 浩生
◆白井早由里 2003 「(私の推薦本)『エコノミスト 南の貧困と闘う』」,『時事評論』,2003年9月号,p.11.
◆黒崎卓 2003 「ウィリアム・イースタリー著『エコノミスト 南の貧困と闘う』」,『経済セミナー』2003年12月号.



*作成:坂本 徳仁
UP:20080802
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