HOME > BOOK >

『エコノミスト 南の貧困と闘う』

Easterly, William 2001 The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics,MIT Press.
=20030724 小浜 裕久・織井 啓介・冨田 陽子 訳,東洋経済新報社, 462p.

last update:20111221

このHP経由で購入すると寄付されます

■Easterly, William 2001 The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics, MIT Press. =20030724 小浜 裕久・織井 啓介・冨田 陽子 訳 『エコノミスト 南の貧困と闘う』, 東洋経済新報社, 462p. ISBN-10:4492443045 ISBN-13:978-4492443040  \2940 [amazon][kinokuniya] ※ e05 p06

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
本書は、「なぜ貧困はなくならないのか」という開発経済学における一大テーマを、著者の世銀時代の経験をフルに生かしてわかりやすくひも解く。第1部、第2部では、エコノミストが過去50年間、いかに途上国経済の運営に失敗してきたかをみていく。第3部では、著者の新しい処方箋が語られる。すなわち、「貧しい人々には貧しさから抜け出すインセンティブがないことが多く、政府は貧困の罠から抜け出すインセンティブを提供してあげなくてはならない」のである。「…そして、多くの貧しい国が豊かになりますように」。本書を締めくくるこの著者の言葉と同じ思いを持つ読者に手にとっていただきたい一冊。

内容(「MARC」データベースより)
なぜ貧困はなくならないのか。援助も投資も教育も人口抑制も、そして債務救済も、貧困から抜け出す万能薬ではない。世銀での実務経験を活かして、一大テーマに取り組んだ魅力的な書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
イースタリー,ウィリアム
1957年、ウェスト・バージニア州に生まれる。1985年、MITで経済学博士号(Ph.D.)取得。世界銀行に入行。1985‐87年には西アフリカ、コロンビアの融資担当エコノミストとして、以降2001年まで調査局のシニアアドバイザーとして世界各地を飛び回り、数多くの会議やセミナーに出席し、多数の論文を書くなど、「経済成長分析」の専門家として精力的に活動。2001年世界銀行を退職。現在はニューヨーク大学経済学部教授。そのほかセンター・フォー・グローバル・デベロップメント(CGD)および国際経済研究所(IIE)の非常勤シニア・フェローも務める

小浜 裕久
1949年川崎市に生まれる。1972年慶応義塾大学経済学部卒業。1974年慶応義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了。現在、静岡県立大学国際関係学部教授

織井 啓介
1957年松本市に生まれる。1982年一橋大学経済学部卒業。1998年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。現在、国際協力銀行開発金融研究所専門調査員、一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程

冨田 陽子
1946年苫小牧市に生まれる。1969年慶応義塾大学経済学部卒業。現在、セーコロ21(翻訳・研究図書出版)所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

第T部 なぜ成長が重要なのか
 1章  貧しい人々を助ける
第U部 うまくいかなかった処方箋
 2章  投資に対する援助
 3章  ソローが与えた衝撃――投資は成長の主因にはならない
 4章  教育は成果をもたらしたか
 5章  コンドームへの資金援助は必要か
 6章  借金はしたが成長はしなかった
 7章  債務救済の功罪
第V部 人はインセンティブに反応する
 8章  規模に関する収穫逓増の物語――知識の波及、技能のマッチング、貧困の罠
 9章  創造的破壊――技術の力
 10章 不幸な星のもとに
 11章 政府は成長を殺すことがある
 12章 汚職と成長
 13章 分断された人々
 14章 結論――ラホールから

■引用

■書評・言及

◆Wacziarg, R. (2002) “Review of Easterly's The Elusive Quest for Growth,” Journal of Economic Literature, 40: 907-918.
◆もともとODAこと開発援助なんて、すぐ終わるはずだった。一時的に苦境を助けてあげれば、どの国も独り立ちしてぐんぐん成長できるはずだった。ところが実際は、開発援助はもうだらだらと五十年も続いているのに、飢えた人も貧乏人も、期待したほど減らない。現場の僕たちも半ばあきらめムードだ。何がいけなかったんだろう。
 著者はまずこれまでの援助の実績を振り返る。援助で道路やダムを造ってもだめ。教育援助もダメ。構造改革もダメ。債務放棄もだめ。一部NGOの非現実的なお題目だってろくな成果はあげてない。ちっとも途上国の豊かさに寄与しない。なぜだろう。それはこれまでの援助がバラバラで、その国全体が成長を目指したくなる仕組みを作ってこなかったからだ、と著者は言い、それを実現するための具体的な留意点をいろいろ指摘してくれる。
 多くの人にとって、教育投資が成長につながらない、といった指摘は意外なはずだ。U2のファンは、債務棒引きが無駄だなんて信じられないだろう。心優しい甘い援助こそが途上国をダメにするのであり、冷血な守銭奴に徹したほうが往々にして有益、という指摘もショッキングかもしれない。でもこれはまぎれもない事実だ。援助機関の自画自賛でもない、独善的なNGOの偏った近視眼的な批判でもない、きわめてフェアな開発援助の評価として本書は重要だ。
 そしてかれの提言は、実はもっと大きな問題をはらんでいる。成長を目指したくなる仕組みがないと著者はいうけど、そもそも本気で成長したがっていない国に、手取り足取り内政干渉まがいに「仕組み」を作ってやることがどこまで正当化できるのか? そもそもODAって、何をめざすべきなの? 本書は読者の一人一人に、そもそもの援助の根幹にかかわる問題までつきつけてくれるのだ。
 訳は正確だが生硬な学者訳なのは残念。原文の楽しいユーモアは全滅。それでも平明かつ率直な記述は、経済学の素人でも十分読みこなせるものだ。援助に少しでも関心のある人間は必読。
(コメント:これは援助関係者としては紹介しなくてはなりますまい。既存の援助を批判しつつ、馬鹿な NGO どもも罵倒。バランスとれてます。あと、訳者の小浜は日本の開発経済の大御所なんだからさぁ、あとがきで変なゴシップでない、日本の援助の特徴や問題とか、イースタリーの主張の評価とか、そういうのをきっちり書いてほしかった。) (朝日新聞書評、評者:山形 浩生
◆白井早由里 2003 「(私の推薦本)『エコノミスト 南の貧困と闘う』」,『時事評論』,2003年9月号,p.11.
◆黒崎卓 2003 「ウィリアム・イースタリー著『エコノミスト 南の貧困と闘う』」,『経済セミナー』2003年12月号.


坂本 徳仁 更新:樋口 也寸志
UP:20080802 REV:20111221
経済学 ◇貧困  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)