『上野千鶴子が文学を社会学する』
上野 千鶴子 20001201 朝日新聞社,252p.
last update: 20111106
■上野 千鶴子 20001201 『上野千鶴子が文学を社会学する』,朝日新聞社,252p.
ISBN-10:402257562X
ISBN-13: 978-4022575623 \不明
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→20031130 『上野千鶴子が文学を社会学する』,朝日新聞社,朝日文庫,295p.
ISBN-10:4022643196
ISBN-13: 978-4022643193 \630
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■内容
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1992年に刊行された、著者と小倉千加子、富岡多惠子との鼎談(ていだん)『男流文学論』は、男性作家の作品が内包する性差別を暴きだし、文壇に賛否両論の渦を巻き起こした。本書は、明治期からの文体の変遷をジェンダーという視点からたどる「ことば」の章、有吉佐和子『恍惚の人』と佐江衆一『黄落』の2の老人介護をテーマとした作品から「介護をめぐるジェンダー規範」をあぶり出す「おい」の章、そして、『男流文学論』での発言を深化させ、江藤淳の『成熟と喪失』を軸に整理した「おんな」の章など、フェミニズムの旗手といわれる著者が再び文学に目を向けた評論集である。
印象深いところは、尾崎放哉の俳句に「表現に見離され、失語に陥りかけていた」ところを救われたと吐露し、また、歌人岡井隆の「男歌」に魅了されたと語る「うた」の章において、社会学者やフェミニストという立場を越えた、「文学」あるいは「言葉」と対峙する個人としての著者が立ちあらわれている点である。作家作品主義に阻まれた既存の文学評論や、男性中心社会を敵視する旧来のフェミニズム批評からも飛翔した本書は、『成熟と喪失』が著者の言うように「同時代の文学を論じて時代と社会の深みにとどく文明批評」であるのと同じ意味で、優れた文芸時評として成立している。
『男流文学論』は、著者が語るように「フェミニズム批評が『文壇』という池に投げた石」であった。本書はひとりの人間として上野千鶴子が文壇に投じた一石である。(中島正敏)
内容(「BOOK」データベースより)
社会学者にしては文学がわかる、と故江藤淳さんに言わせた上野千鶴子のあまりに社会学的な文学論。
■目次
平成言文一致体とジェンダー
おい
老人介護文学の誕生
おんな
女装した家父長制――「日本の母」の崩壊
江藤淳の戦後
「女」という「他者」の発見―『男流文学論』その後
連合赤軍とフェミニズム
うた
うたの悼み――『斎藤慎爾全句集』に寄せて
うたの極北―俳人尾崎放哉
男歌の快楽―岡井隆頌)
こころ
癒し手とは誰か――『霜山徳爾著作集』に寄せて
ベッドの中の戦場――河野貴代美『性幻想』
トラウマを旅する――斎藤学『封印された叫び』
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:八木 慎一