『公的扶助の展開――公的扶助研究運動と生活保護行政の歩み』

戦後、生活保護行政はいかにダイナミックに展開されたか!生活保護行政改善への研究と実践はどのように行われたかを実証的に追求。生活保護法施行50周年に記念すべき一書。

はしがき

第1部 公的扶助研究運動の成立と歩み――公的扶助研究運動史
はじめに

第1章 公的扶助研究運動草創期
第1節 公扶研運動の成立
1. 「準備会」の発足とニュースの発行
2. 第1回全国セミナーの特徴
第2節 『生活と福祉』と公扶研運動の成立
1. 公的扶助専門誌『生活と福祉』
2. 『生活と福祉』の影響力
第3節 公扶研連準備会と公扶研連の発足
1. 公扶研連組織の性格づけ
2. 「自主路線」グループの特徴
3. 「幅広路線」グループの特徴
4. 第2回全国セミナーの意義と内容

第2章 公的扶助研究全国連絡会の結成と組織整備期
第1節 公扶研連の結成時の状況
1. 第3回全国セミナーの開催
2. セミナー参加者の特徴とセミナーへの期待
第2節 企扶研連の結成総会
第3節 全国セミナーと組織運営の特徴
1. 第4回全国セミナーの開催と組織運営の問題点
2. 第5回全国セミナーに向けての課題
第4節 組織整備と転機になった第6回セミナー
1. 第5回全国セミナー開催準備
2. 第5回全国セミナーの内容

第3章 公的扶助研究全国連絡会再編期
第1節 公扶研連運営体制の転換
1. 都現協の債権と第6回全国セミナー開催準備
2. 第6回全国セミナーの内容
3. 公扶研連の活動
第2節 公扶研運営体制の再編
1. 第7回全国セミナーの開催準備とその内容
2. 公扶研連の再編と職員の「配転」
第3節 地域ブロックセミナーの重視と研究運動の拡大
1. 地域ブロックセミナーの開催
2. 研究事業の拡大と第8回全国セミナー

第4章 公的扶助研究全国連絡会の停滞と地域ブロックセミナー高揚期
第1節 地域ブロックセミナーの広がりと全国セミナ開催の危機
1. 公扶研連の新たな課題
2. 第9回全国セミナー開催の危機
第2節 転機にたつ第10回全国セミナー
1. 公扶研連組織運営の停滞
2. オイルショックと大会準備
第3節 公扶研連の活動停止と新たな胎動
1. 組織停止期間の公扶研運動活動
2. 公扶研セミナー参加者の特徴
3. 第11回全国セミナーの開催
第4節 『公扶研の10年』発刊記念講演と第11回全国セミナー
1. 中村優一の記念講演
2. 「公的扶助研究通信」の発行
第5節 トンネルからの脱出へ
1. 「公的扶助論」学習会
2. 第12回全国セミナー「基調報告」

第5章 全国セミナーの再評価と機関誌発行の確立期
第1節 「赤パンフ」の意義と役割
第2節 新たな方向を切り拓いた第13回全国セミナー
1. 第13回全国セミナー開催と基調報告
2. 公扶研運動の新しい方向
第3節 全国セミナー安定化への努力と事務局再編構想
1. 第14回全国セミナーの開催
2. これからの公扶研のあり方
3. 組織体系の再編
第4節 機関紙活動の定着と全国セミナー開催への努力
1. 第15回全国セミナーの開催
2. 機関誌活動の定着
第5節 第16回全国セミナーと埼玉県ケースワーカー協会
1. 第16回全国セミナーの開催
2. 第16回全国セミナーの社会的背景
3. 公的扶助運動と配転問題
第6節 公扶研連事務局の交代と現業員白書
1. 公扶研連事務局長の交代
2. 『いのちの重みを背負って』発行

第6章 全国セミナーの定着と公扶研連組織整備への努力
第1節 全国セミナーの定着と第17回全国セミナー
1. 第17回全国セミナーの新しい方向
2. 全国セミナーの定着化
第2節 「大砲かバターか」、研究と交流の第18回全国セミナー
1. 第18回全国セミナー大会テーマ
2. 公扶研20年の歩み
3. 第18回全国セミナー運営の特徴
4. 公扶研連の新しい取組み
第3節 生活保護行政「適正化」の波と第19回全国セミナー
1. 第19回全国セミナーの特徴
2. 基礎講座「生活保護の理念と生かし方」
3. 公扶研連の到達点
4. 公扶研連組織の運営方針
第4節 第20回全国セミナーと社会福祉補助金10％カット
1. 第20回全国セミナーの開催と「公的扶助緊急シンポジウム」
2. 発行されなかった第2号『現業員白書』
3. 第20回全国セミナーの特徴

第7章 国の補助金見直し政策と公的扶助研究運動
第1節 国の補助金見直しの動向と生活保護行政「適正化」の進行
1. 補助金見直しの動向
2. 生活保護行政「適正化」の進行
第2節 第2回公的扶助・社会福祉シンポジウム
1. シンポジウム、2つのレポート
2. 「生活分科会」の内容
3. 「扶養分科会」の内容
第3節 1980年代後半における全国セミナーと生活保護行政「適正化」
第21回全国セミナー（1986年）の特徴
第22回全国セミナー（1987年）の特徴と「母親餓死事件」
第23回全国セミナー（1988年）と最低生活保障水準体験
第24回全国セミナー（1989年）と福祉改革の動向

第8章 福祉改革と公的扶助研究運動
第1節 福祉改革と第25回全国セミナー（1990年）
1. 福祉改革の実施と「適正化」の変化
2. 第25回全国セミナーの開催
3. 「適正化」への対応と分科会
第2節 福祉のまちづくりと全国セミナー
第26回全国セミナー（1991年）の特徴
第27回全国セミナー（1992年）の特徴
第3節 機関誌「公的扶助研究」と「福祉川柳事件」

おわりに――公的扶助研究運動の歩みと意義

第2部 生活保護行政の展開
はじめに

第1章 生活保護行政の歩み――第三次「適正化」準備期まで
第1節 生活保護行政の時期区分と「適正化」
1. 生活保護行政の時期区分
2. 生活保護行政「適正化」の特徴
第2節 1951年度監査要綱
1. 第1回監査要綱の作成
2. 第2回監査要綱の背景
第3節 1953年度監査要綱
1. 第2回監査要綱
2. 生活保護行政第一次「適正化」
3. 公的扶助サービス論争
第4節 1960年度監査要綱
1. 第3回監査要綱
2. 生活保護行政第二次「適正化」
第5節 1970年代の生活保護行政
1. 1970年代前半の生活保護行政
2. 「要看護ケース」の処遇充実
3. 自主的内部点検
4. 実験福祉事務所
5. 1970年代後半の保護行政
第6節 生活保護行政第三次「適正化」準備期
1. 第三次「適正化」準備の進行
2. エスカレートする生活保護行政第三次「適正化」

第2章 「123号通知」と生活保護行政第三次「適正化」――第三次「適正化」緩和期まで
第1節 「123号通知」と生活保護行政第三次「適正化」前期
1. 「123号通知」の特徴
2. 123号通知をめぐる機関・団体の動向
3. 第三次「適正化」前期の特徴
第2節 生活保護行政第三次「適正化」後期
1. 第三次「適正化」後期の特徴
2. 生活保護行政第三次「適正化」における面接業務と保護申請
3. 生活保護行政第三次「適正化」と枚方市福祉事務所
第3節 生活保護行政第三次「適正化」緩和期
1. 第三次「適正化」緩和期の特徴
2. 生活保護行政第三次「適正化」緩和期における京都市監査
3. おわりに――生活保護行政「適正化」の教訓と課題

第3部 母子世帯調査――被保護母子世帯調査を中心にして
はじめに

第1章 調査目的と調査方法
1. 調査の意義と目的
2. 調査方法・対象・期間
3. 母子世帯問題と生活保護行政

第2章 調査結果の分析と考察
1. 調査世帯の概要
2. 離別・死別の理由
3. 結婚の仕方・結婚観
4. 社会階層と育ち方
5. 社会階層と職業歴
6. 結婚後の生活の仕方・生活条件
7. 離別・死別後の生活内容と生活困難
8. 生活関係と社会資源の利用状況

第3章 母子世帯の生活史事例
（事例1）働かないで借金をくり返す夫に愛想をつかして協議離婚したケース
（事例2）夫がギャンブルからサラ金を借りまくり、真冬にはだしで夜逃げをしたケース
（事例3）被保護二世で、夫のアルコール依存、暴力、女性関係から離婚したケース
（事例4）性格の不一致から別居後に子どもの怪我を契機に離婚した（させられた）ケース
（事例5）会社倒産後家庭崩壊したケース

おわりに――生活保護への落層過程と今後の課題