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『女性労働と企業社会』

熊沢 誠 20001020 岩波書店,229p.

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last update:20170218

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熊沢 誠 20001020 『女性労働と企業社会』,岩波書店,229p. ISBN-10:4004306949 ISBN-13:978-4004306948 740+ [amazon][kinokuniya] ※ w01. w02.

■内容

[amazon]より

内容紹介

専門職,OL,増える派遣社員やフリーター,深夜勤やフルタイムの仕事までこなすパートタイマー…改正「均等法」の下,能力主義管理の進む中で,女性の働き方はますます多様化している.変らぬ職場の性別役割意識に不満をくすぶらせながらも,働き続ける彼女たち.その実像を豊富なデータで描き出し,性差別に対抗する戦略を提言する.

内容(「BOOK」データベースより)

専門職、OL、増える派遣社員やフリーター、深夜勤やフルタイムの仕事までこなすパートタイマー…改正「均等法」の下、能力主義管理の進む中で、女性の働き方はますます多様化している。変らぬ職場の性別役割意識に不満をくすぶらせながらも、働き続ける彼女たち。その実像を豊富なデータで描き出し、性差別に対抗する戦略を提言する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

熊沢 誠
1938年三重県に生まれる。1961年京都大学経済学部卒業。1969年経済学博士。専攻は労使関係論、社会政策論。現在、甲南大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

一章 女性労働を見る視点
 1 女性労働――到達の地点
 2 私の関心と方法

二章 企業社会のジェンダー状況
 1 女性労働者の分布
 2 五つのライフヒストリー
 3 職場のジェンダー・今日の特徴
 4 非正社員の状況
 5 正社員の界隈

三章 「男の仕事」・「女の仕事」
 1 「女性の特質・感性」とはなにか
 2 性別職務分離の職場
 3 性別職務分離の論理
 4 それはなぜ女性なのか

四章 女性たち自身の適応と選択
 1 ジェンダー意識の一般状況
 2 専門職とOL
 3 分岐の諸相
 4 ジェンダー意識の多様性と変化

五章 ジェンダー意識に対抗する営み
 1 職場の性差別に対抗する思想
 2 職場の性差別に対抗する手段
 3 女性が働き続けられる職場
 4 ペイ・エクイティの試み
 5 パートタイマーの明日

参考文献
あとがき
 

■引用

紹介:大橋三千(立命館大学政策科学部3回生)
掲載:20020718
紹介:吉浦梓(立命館大学政策科学部4回生)
掲載:20020721
紹介:村上和史(立命館大学政策科学部3回生)
掲載:20020721
紹介:伊藤智名美(立命館大学政策科学部3回生)
掲載:20020811
紹介:長谷川清の(立命館大学政策科学部2回生)


紹介:大橋三千(立命館大学政策科学部3回生)
掲載:20020718

目次
1章  女性労働を見る視点
1.  女性労働
2.  私の関心と方法
2章  企業社会のジェンダー状況
1.  女性労働者の分布
2.  5つのライフヒストリー
3.  職場のジェンダー・今日の特徴
4.  非社員の状況
5.  正社員の界隈
3章  「4章  男の仕事」5章  「6章  女の仕事」7章  
  1.「女性の特質・感性」とは何か
  2.性別職務分離の論理
  3.それはなぜ女性なのか
8章  女性たち自身の適応と選択
1.  ジモ驍ニいえる。このような差別にともなう裁判がおこされるなか、企業は現在でもなお、性差別的な労務管理というものを女性のありように関する社会的な「常識」によって正当化しようとしている。女性の方もまた、慣行的な規範と闘って職場生活を生き抜くことは、それなりの心の緊張と葛藤を強いられる。
 次に、女性労働者はますます多様化し、今では「恵まれている」程度も主体的な意識もかなり異なるいくつかの階層・グループとして存在すし、階層性を持つようになった。これらのグループは<職業>、<年齢>、<雇用形態>(正社員か非正社員か)が規定的な基準のように思われる。<職業>の差には<学歴>の差が溶け込んでいるといえる。また<年齢>をとると、総じて、女性労働者は、職場で若さを失うにつれ「損をする」といって過言ではない。<雇用形態>においては、この国において、正社員であるか否かは職業の差を越えてあまりにも決定的な差である。たとえ遂行している職務が同じであっても労働条件のすべてが異なる。しかも注目すべきことに、女性労働者の非社員化こそは今、ジェンダー差別再生産のもっとも中心的な途方となりつつある。筆者は、フェミニズムは「できる女の子」を「がんばればできる」と励ましこそすれ、家庭内の問題に悩みながらパートに出るような女性の支えにはなっていないという声に対して、ノンエリート女性たちの思いを声にしている。

2章  企業社会のジェンダー状況

1.女性労働者の分布
 女性管理職は女性雇用者の1%、しかし女性労働者のうち正社員は10%であり、しかも71%は小・零細企業に席をおく。全体で約760万人が事務るといえる。このような差別にともなう裁判がおこされるなか、企業は現在でもなお、性差別的な労務管理というものを女性のありように関する社会的な「常識」によって正当化しようとしている。女性の方もまた、慣行的な規範と闘って職場生活を生き抜くことは、それなりの心の緊張と葛藤を強いられる。
 次に、女性労働者はますます多様化し、今では「恵まれている」程度も主体的な意識もかなり異なるいくつかの階層・グループとして存在すし、階層性を持つようになった。これらのグループは<職業>、<年齢>、<雇用形態>(正社員か非正社員か)が規定的な基準のように思われる。<職業>の差には<学歴>の差が溶け込んでいるといえる。また<年齢>をとると、総じて、女性労働者は、職場で若さを失うにつれ「損をする」といって過言ではない。<雇用形態>においては、この国において、正社員であるか否かは職業の差を越えてあまりにも決定的な差である。たとえ遂行している職務が同じであっても労働条件のすべてが異なる。しかも注目すべきことに、女性労働者の非社員化こそは今、ジェンダー差別再生産のもっとも中心的な途方となりつつある。筆者は、フェミニズムは「できる女の子」を「がんばればできる」と励ましこそすれ、家庭内の問題に悩みながらパートに出るような女性の支えにはなっていないという声に対して、ノンエリート女性たちの思いを声にしている。

2章  企業社会のジェンダー状況

1.女性労働者の分布
 女性管理職は女性雇用者の1%、しかし女性労働者のうち正社員は10%であり、しかも71%は小・零細企業に席をおく。全体で約760万人が事務職、ついで約500万人がブルーカラー、その上、40,50代女性がその大半を占める。人数の点から言えば、@年齢を通じてわりあいと等質な専門・技術職(15%)、A20代事務職(12%)、B40,50代の事務職(13%)、そしてC同じ年齢層のブルーカラー(13%)という、女性労働者の代ヒュグループを認めることができる。

2.5つのライフヒストリー
 5人の女性の生き方を通して、女性労働者のおかれる厳しい現状を刻々と映し出している。一人は、新聞記者として長年働いてきたが、女性記者の担当できる記事の分野は「家庭欄」など慣例的に限られており、ここでも、政治面などは、時間的に不規則な取材が必要などの理由から、補足的・定型的な記事を書くことが恒例となっている。この業界でも、他と同じように、「女は記者になれない」といった偏見がある。というのは、深夜取材など、特殊な勤務状況のため、家事との両立が厳しいからである。
 二人目は、住友金属工業に3年勤務した女性が、やりがいのない雑用に日々に終止符をうち、退職したというものである。責任のある仕事を任せてもらえないだけでなく、毎日単純なルーティン業務の繰り返しで,また収入も低いうえに、公認のセクハラなど、やりがいを感じるどころか倦怠感さえ感じるようになり、退職に至った。
 三人目は、7年間勤めた大手の旅行代理店を、ノルマ達成の心労から退職した。男女雇用均等の裏側に、能力主義がかかげられ、育児の真っ最中の女性にも男性と同じノルマがかされるという厳しい環境のプレッシャーに心労がかさんだのだ。
 四人目は、住友工業で、経験も実績もあるが正当に評価されず、裁判を起こした女性グループの一人である。具体的な実績を残すべく、いろいろなことに挑戦しようとしても、その機会さえ与えられず、男女差別という名目では都合が悪いので、能力主義という名のもとで、このような女性たちを不当に評価している現状がある。
 五人目は、森田電工で、女性の工場労働パートの労働環境改善を求めて労働組合を結成に携わった女性が、リストラという名目で、会社から居場所を排除された結果、提訴をふむ決心に至ったというストーリーである。会社は使い勝手のよいパートを好み、かりに長年会社に貢献してきた労働者でも、都合が悪くなると、不当な理由で首を切るという会社の姿勢が浮き彫りにされた一件である。

3.  職場のジェンダー・今日の特徴
 企業のジェンダー状況は、男女雇用機会均等法および労働基準法の改正と、年功序列の外枠をようやく本格的に打ち壊しつつある日本的な能力主義管理の強化と、加速度的に進行する非正社員「活用」の雇用管理という、三者の出会いによってその今日的な特徴をあたえられている。98年春に、その前年に均等法が改正されて、募集、採用、配置、昇進の性差別がついに禁止になり、同時に労基法の女性保護条項も「もっと使いやすく」と望む企業と「もっとがんばれるように」と望む一定の女性の声が聞かれて、ほぼ完全に撤廃された。実際、男女平等の世界的な息吹をそれなりにうけとめて生まれた均等法や、その改正を、企業がしぶしぶ承認するにあたって立てた戦略は、女性保護の完全撤廃を前提とする能力主義選別の強化に他ならなかった。この日本の実績主義は普通の女性を働きやすくするほど「晴朗」なものにはならないだろうというのが筆者の意見である。このよう現状の中でも、なかには働く母親をサポートするさまざまの施策を始めている企業もある。しかし、多くの場合は、制度が確立していなし、また、かりに制度としては設けられていても、実質的にはそれらは、予算達成の責任をもつ直属の上司の判断によるといえる。
また、多くの女性は何らかの形で非正社員へと導いているが、周知のように結婚・出産退職した女性が正社員として再就職できる機会は乏しく、多くの企業は正社員の採用を34歳以下としている。育児休暇をとって働き続けようとする正社員には上司が非正社員への転換を勧める。この正社員と非正社員の間には処遇と保障の歴然たる差がある。「女だから低い処遇」は「非正社員のパートだから低い処遇」に置換されることで、実質上の性差別が生き残っているといってもよい。

4.  非正社員の状況
 まず、女性パートと正社員の賃金格差は長期的に見て拡大傾向にある。女性労働者の中で格差が拡大しているということもいえよう。次に、企業はパートタイマーにも能力主義を取りいれつつある。しかし、企業が非正社員待遇の大枠に執着しながらパートに能力主義的にがんばれというのは、「ギヴ」なき「テイク」の求めというほかはない。しかし一方では、従来は契約期間の定めがなかった長期間パートの一部分を、有期契約の、より短時間のパートに変えているという傾向にもみられる。いわば「パートのパート化」である。また、筆者は、今後はむしろ主婦パートよりは学生アルバイトおよびフリーターと派遣契約労働者の方がふえていくように思われる。契約社員については、改正派遣法は一年を越える派遣契約を禁じ、派遣労働者が一年以上働けなくなる危険性も潜んでいる。

5.  正社員の界隈
 今日の企業社会の性差別は女性の非正社員化というところに最大の領域をもつけれども、もちろん、正社員の界隈でも、それは潜在的、間接的なかたちをとって執拗である。今日では、従業員を選別する主要な基準が、性そのものから「能力」査定にかわっている。建前上は性には中立的な能力基準による選抜が「結果の差」を男女間にもたらしているとすれば、そこに「間接差別」の存在を認めざるを得ない。間接差別は、企業の従業員に対する性別の「期待格差」に彩られており、その「期待格差」の根には性別職務分離の論理と実態がある。

3章「男の仕事」・「女の仕事」

1.「女の特質・感性」とは何か
 経営者や男たちは「女性の特質・感性」とは、@補助的または定型的業務に適していることA男の顧客の気を惹き女の顧客を安心させるようなやさしくソフトな接遇ができること、と考えているとも思える。とはいえ、地方では近年、女性が新しい職域へめざましく進出し始めていることも事実である。しかし、この職域拡大によって直ちに女性の労働の質が高まったということではない。その最大の要因は、労働基準法の改正による女性の深夜労働の解禁といえる。職域拡大といえども、やはり女たちにとって仕事の二大領域は定型的、または補助的作業か、「女らしい対応」を求められる接遇や特定の営業といえる。

2.性別職務分離の職場
 ブルーカラーに分類される女性労働者は、定型的作業に限定されており、また事務系の職種につく女性も、昇格が遅い、給与が低い、お茶くみ、掃除当番などの雑用、責任ある仕事を任されない、業務範囲が狭いなどの違いが顕著にみられる。また、男性とまったく同じ労働条件で採用されても、実際は、地味な仕事を割り当てられ、表舞台ではなくスタッフ的な仕事に回されがちである。たとえ営業職についても、「庶務」仕事は排他的に女性社員に割り当てられる。
現代日本の企業社会ではジェンダーがより安定的な職務配分の基準として前面に現れているといえる。

3.性別職務分離の理論
 フィンランドの研究者メリヤ・キンヌネンの研究によると、ホワイトカラーの職場で女と男が仕事に関して抱くイメージの相違を次のように挙げている。<女>:人へのかかわり、確実性、思いやり、細部、ストレスに耐えること。<男>:事実への適応思考、責任、問題解決、包括性、身体的強靭さ。一方、彼女は経済社会的な地位(仕事)について、下位レベルと上位レベルの基準とされていうところを同様に対比する。<下位レベル>:作業遂行の責任、シンボルの取り扱い、手順に従う仕事など。<上位レベル>:全般的責任、意思決定、専門性、高域な知識、自立性など。

4.それはなぜ女性なのか
 今日でもなお、あるいは今日ではあらためて、多くの普通の女性たちは、経営の論理を体現する男たちによって下位職務のもっとも安定的な担い手として期待される。彼女らはそれなりの労働体験と経過的な職業志向から、「例外」は認められるとはしても、一般に男たちよりは仕事の中身の貧しさをそれほど苦にしない労働者とみなされているからだ。この男たちの「みなし」はむろん女性に対する偏見にはほかならないが、偏見にもそれなりの正当論がある。一つは、男と女にはそれぞれ適した仕事があるという適正論である。もう一つは、すでにその領域に一部は踏み込んでいるけれども、稼得労働の位置付けに関する男女の違いの指摘である。

4章 女性たち自身の適応と選択

1.  ジェンダー意識の一般状況
 女性は構造化されたジェンダーシステムの中で、願望をシステムと激突しないように「現実的なもの」に調節する。女性労働者の内部の階層性に注目すれば、性別に職務分離された仕事で働く女性ほどセクシズムに、パート化を媒介として肯定的になるという。階層化の累積の結果、欲求と期待、したがって満足と不満足の程度それ自体が階層化しているのだスコットは言う。「女性の特質」による性別職務分離は、ソフトな対応、思いやりといった、それが伝統的に「愛される女」の特質とみなされてきただけに、それを仕事に生かす男たちの発想はかなりの程度、女たちにも内面化されているかにみえる。また、現代日本における「女性の家事責任論」も他国に比べて未だに根強いものがある。

2.  専門職とOL
 専門職の女性たちは一般職よりはるかに、自分の仕事の進め方に関する裁量権を持っている。いわゆるOLとは異なり、仕事の内容を自己のアイデンティティーとできる余地も大きいといえる。専門職の女性たちは就業継続型志向が強く、昇進志向があまりみられない。その要因としてまず、専門職女性の相対的高学歴が彼女らの「初心」を就業継続型とさせる関係がある。次に、専門職は公務員比率が高く、その意義は、総じてノルマ達成の心労をまぬかれている、賃金の性別格差や査定による個人格差があまりない、育児休暇や介護休暇がとりやすいなどきわめて大きい。
一方、OLという用語は定義が曖昧なため、官庁統計など公的にはあまり使われないが、筆者自身は、仕事の内容ではなかなかアイデンティティーが表現できない彼女たちの企業におけるスタータスの曖昧さをよくあらわしていると考える。仕事内容、昇進機会、賃金などのすべての点で低い処遇のOLはそれだけに査定による選別もきつくなく、会社に貢献しなければならない必要性も、男性サラリーマンほど切実ではない。「マジギレ」したら辞めればいいと考えているOLも少なくないだろう。

3.  分岐の諸相
 30代前半は20代後半に始まる就業コースの分化がくっきりする、女子労働者の個人史における最大の転機である。職場内条件と職場外要因をあえて二極化して組み合わせると4つの「立場」が設定できる。@裁量権が与えられていえて仕事が面白く、かつ労働時間、休暇、ノルマなどにつてもしんどさもほどほどで「家庭責任」が両立できる場合は、女性が就業継続を選ぶのは当然である。Aその対極、仕事が定型的、または補助的なものに限定されたままでやりがいがないうえに、心身を消耗させるほどしんどくて「家庭責任」との両立が難しい場合は、生計費を稼ぐ必要性に迫られていない限り、結婚・出産退職を選ぶのはほぼ確実である。B仕事にやりがいはないけれど、家事・育児と両立できるほどの負担に留まっている場合は、「稼ぐ必要」に応じて、今の会社で就業継続を求めたり、転職の可能性を探ったりするだろう。C仕事にやりがいはあるけれど、心身ともにきつく、家庭生活との両立がかなり難しい場合である。

4.  ジェンダー意識の多様性と変化
 まず、性別職務分離についてはもとより、極めて一般的なレベルでは支持率の高い性別役割分業についても多様性がみられる。一方の極には心からの肯定・内面化があり、他方の極にはきっぱりとした拒否がある。しかし、おそらく多くの女たちの意識の位相は両者の中間にあるのではないか。日本の企業社会は2つの典型的な労働者像を析出する。一方の極には家事・育児をまぬかれ、キャリアを競争的に展開していく高収入の男性社員、そして他の極には家事・育児を一切に引き受けながら職場では下位ステイタスの労役を経過的に担う女性。この両者が相互に理解しあい、依存しあうことが、日本企業の効率的な稼動の条件であったが、現在はこのシステムはどれほど変革されているのでろうか。

5章 ジェンダー差別に抵抗する営み

1.  職場の性差別に対抗する思想
 まず、現在日本の女性労働者の処遇からいうと、経済的に夫、または男性に依存的な現状があり、女も男も労働によってシングルでも生きてゆけるようにしなけでばならないが、そのためには女性の経済的依存性を大きく枠づける「世帯単位」システムを見直して「シングル単位」システムにしなければならない。次に、女性の職場定着を進めなければならず、そのためには、性別職務分離の現状を克服しなければならない。また、職場において、「機会の平等」は制度化されたとはいえ、家事・育児の負担を背負った女性は男性と同じスタートラインにさえ立てていないという状況を改善せねばならない。

2.  職場の性差別に対抗する手段
 まず、法律制定はなんといっても性別処遇のなにが法的に許されないかを包括的に明らかにするという決定的な意義がある。法廷闘争は今のところ、職場の性差別に抵抗する最も中心的な手段であるかに見える。裁判は、日本の企業社会において、女はこのように振舞うのが「自然」だとする執拗な誘導が行われていることを広く社会に明らかにするという点から、訴状や陳述書や訊問記録は広く公開されるべきである。労働組合の可能性としては、多くの場合、男性がリーダーで、女性の性差別に対する声をはねのけるのが普通であったが、もっと敏速に労働者のニーズにこたえていく必要がある。最近では、既存の組合がこのような改革を拒むのならばと、女性たち自身でネットワークやユニオンを立ち上げ、一定の成果をあげている。

3.  女性が働きつづけられる職場
 まず、女性が働き続けられるような職場の制度と雰囲気を変えることが必要である。女性が働きやすい環境を作るためには、法的強制力をもつ公的規制を整えるとともに、男女共通の規制が、家庭における男女の協力体制を築くのに不可欠といえる。また、職場における上位ステイタス・下位ステイタスの格差そのものの是正が必要である。そのためには、下位職務レベルで働くノンエントリーたちの労働と職場に関する発言権・決定権の確保が絶対に必要である。

4.  ぺイ・エクイティの試み
 ペイ・エクイティの原則は、職務価値の差によるもの以外の賃金格差を拒むものである。ブルムによると、これはさしあたり、「性によって分離された女性職の賃金を上昇させるための戦略」であるとともに、長期的には「ジェンダーが階級構造に組み込まれる方法に挑戦」する途を示す考えかたであった。この新しい均等賃金論はアメリカ・カナダ・ヨーロッパ諸国で拡がりをみせているが、日本ではまだ根付いていないのが現状である。

5.  パートタイマーの明日
 ある意味では現時点で最も重視されるべき課題としてパートタイムの待遇改善がある。まず,パートタイマーの有期契約化を規制する緊急の必要性がある。次に、パートと正社員の賃金格差の適否をはかる際に、ペイ・エクイティの原則が適用されなければならない。そして男女労働者ともに、フルタイム・パートタイム間の転換が可能な制度獲得が挙げられる。

◇コメント

 日本における性別職務分離や性別役割分担は、日本の伝統的な男尊女卑の習慣を象徴するものであり、日本社会に深く根付いている。最近ようやく、女性の社会的立場の改善する動きが出てき、均等法施行に伴って、いっけん、職場内における男女間の格差は是正され始めたかのようにみえたが、能力主義の導入は、家事・子育ての負担を背負う女性労働者を男性と同じスタートラインに立たせないまま、評価をくだすという、形をかえて男女格差を助長するという弊害を生んでいる。企業は、いかに人件費を削るかという視点で企業経営を推し進めており、女性への処遇改善をどうにか避けて通ろうとしているが、これからの時代、男性が外で働き、女性が家事・育児をするという構造は時代遅れである。このシステムは、そもそも女性を経済的に男性に依存させ、自立させない枠組みであり、女性の働く意力や能力を無題にしないためにも、これからは男女ともに一人で生きてゆける時代になるべきであり、そのためには、法的整備だけではなく、男性、そして女性自身の意識改革が不可欠である。お互いに、今までとは違った、形式にとらわれない形での、男女間の強力がこれからの日本の企業社会、日本の家庭を変えていくのではないだらろうか。もちろん、日本社会に深く根付いた、男女差別は、それほど簡単には取り除けるわけではない。それを信じて疑わない人はたくさんいるのは事実である。しかし、これからの世代に、男女平等の教育を徹底することで、新しい世代における男女平等への意識は大きく変わるはずである。どうしようもないとあきらめるのではなく、一人一人が考え、認識し、動くことで、何らかの社会現象となり、社会の慣行であった構造を改革することは不可能ではないのである。


……以上。コメントは作成者の希望により略……

 

『女性労働と企業社会』
著者:熊沢 誠 2000.10.20 岩波新書

2002.7.15 吉浦 梓

一章 女性労働を見る視点
二章 企業社会のジェンダー状況
三章 「男の仕事」「女の仕事」
四章 女性達自身の適応と選択
五章 ジェンダー差別に対抗する営み
終わりに +コメント

◆一章 女性労働を見る視点◆

1.女性労働―到達の地点

〈「三位一体」のゆらぎ〉
 日本の女性達の多くは長らく、短い勤務、定型的または補助的な仕事、そして低賃金という、三要因の連動する職場の中を働き継いできた。
 「三位一体」はもちろん、職場では「ビジネスの成否を決める判断業務に携わる男」と「男の影で支えて作業する女」の共同、そして家庭では主要な稼ぎ手の夫と家事をやりながら補助的に稼ぎもする妻の協力という、相互補強しあうそれなりの男女共生システムがあった。(p.2-4)
 しかし、行動経済成長の終焉以降このシステムも揺らぎ始め、女性のなかで一人ででも生きていけるよう職業人として自立したいという要求がでるようになり、変化してきている。
 この結果、ここ30年間で女性労働における定型的・補助的な仕事、ブルーカラー労働者の割合は全体的に見ると減っている。だが、現時点でもなお男性は「総合職」、女性は「一般職」についているのがほとんど。(p.10-14)

2.私の関心と方法

〈現代日本における女性労働者〉
 @女性の下位職務への偏りや低賃金は、労務費コストを低く維持しながら経営しようという考えにある。これに対してもちろん女性からの反発があるだろうが、結局「ジェンダー化された慣行」によって受容された上で定着する。(p.15-16)
 A女性労働者は多様化し、「恵まれた」仕事についている人も存在するが、このなかでもまたいくつかの階層・グループに分けられる。これには職業・年齢・雇用形態が基準になる。(p.17-20)

◆二章 企業社会のジェンダー状況◆

1.女性労働者の分布

 「恵まれていない」程度の基準・・・非正社員比率と年収300万円未満比率と考えると、専門・技術職、事務職、販売職、サービス職、技能工・製造・建設作業者及び労務作業者という順番で「恵まれない」程度が高まっていくと考えられる。(p22-28)

2.五つのライフヒストリー

@飯田裕美子さんの場合・・・共同通信社に入社して以来、社会部記者として働いてきた。
女性記者の数は記者総数のうち約8%。女性の多くは「家庭欄」担当で、ホットなニュースを扱うのはほとどが男性。その理由として、朝刊の記事はその日の午前2時ごろまで起きた事件を対象とするため、必然的に夜の取材が重要になるため、家事をしなければならない結婚している女性には不可能だということが挙げられる。
 これは性別役割分担を前提として、「女は記者になれない」という偏見を生み、「男の仕事なのだ」という美学も派生させている。
 これらを打開するためには夫婦で家事の役割分担をし、どちらか一方に偏らないようにすることが必要である。
ABさんの場合・・・住友金属工業に入社し、4年目に退社。
 理由は「仕事をすることによって自分を成長させる、やりがいが感じられなかったから」だ。
 日常の仕事は頼まれた文章のワープロ、コピー、勤怠管理、会議の準備など補助業務と雑務に限定されていた。
BCさんの場合・・・大手旅行会社に入社し、結婚出産後も仕事を続けていたが、ノルマが重荷となり退社。
 この会社は、仕事の面で男女間で内容に大差がなかった。反対に言えば、女でも男と同等の仕事振りを要求される。彼女はこれが重荷となり退職した。
C矢谷庸子さんの場合・・・高校卒業後住友化学工業に入社したが、入社後どんなに仕事をがんばり、実績を上げたとしても「高卒だから」「残業をしないから」「女だから」などの理由で大きな仕事を任せてもらえない。住友系他社の人と性差別を告発する裁判を起こした。
DEさんの場合・・・「金の卵」として九州から大阪府の森田電工に集団就職で入社。
 結婚、出産のため一度は会社を辞め、落ち着いた後復職を申し出るが、25歳すぎの子持ちの女性は正社員として採用しないといわれる。同じ工場でパートタイマーとして働くが、正社員といくら同じ時間・内容の仕事をしたとしても処遇が違いすぎることに気づく。彼女らの呼びかけで、パート労働組合を結成し、色々なことを改善させたが、劣悪な環境の工場に隔離されるようないやがらせもうける。彼女らにとって青春時代から過ごしてきたこの会社は単なる「お金を稼ぐ場所」ではなく、「自分達の居場所=アイデンティティー」になっていた。彼女達はパートタイマーとして仕事をしながら働いていたが提訴をおこし、戦いに勝ち正社員としての採用を認めさせた。(p29-45)

3.職場のジェンダー・今日の特徴

 日本で男女平等の能力主義が浸透したとしても、女性にとって働きやすい職場になることはない。
 なぜなら、日本には実績評価の客観性を保証するような職務区分・職務記述の、そしておよそ作業量を連帯的に規制しようと試みるような労働組合機能がないからだ。また、女性の能力活用策の展開は、過度の残業を行う女達を輩出させてもいる。(p46-52)

 〈育児休業の取得をめぐって〉
 労働省の調査で、妊娠・出産による退職者の2割弱までの減少に育休の制度化が寄与していることが
わかった。
 しかし、既婚・妊娠中のそして子育てを担う女性が働きづらいという日本企業に伝統は、今なおつづいている。女性の28%が自分の会社に「結婚・出産退職慣行」があると感じている。その慣行に抗して働きつづけた場合いやがらせなどがあり働きにくいという現状がある。(p53-54)

〈非正社員の活用とジェンダー〉
 今日非正社員化する女性が目立っている。これははじめから、終身雇用と年功序列の適用外におくことができることによって、人件費の節約、そしてキャリア展開の難しい定型的・補助的な労働の先端者確保、というまことに大きな利益を会社は得ることができる。形態もパートタイマー、アルバイト、派遣労働者、契約社員・・・・と多様化している。平成不況下とくに女性にとっては上手く利用できる就業コースでありほとんどが女性である。
 男性達は「非社員になるのは女達だ。なぜならこの日本的能力主義の選別に耐えてがんばれるのは家計所持者の男だ。既婚・子持ちの女は予算達成の迫力に欠け、顧客のニーズを満たす残業や、将来のキャリア展開に必要な転勤をいやがる。それというのも女性はあくまで家計補助のために収入を得ようとしているからだ。」と考える。
 とはいえ、少しづつ就業継続型の人々がふえつつある。
 そこで企業がとる女性管理対策としては@一般職のOLの採用を厳しくする。AこれまでのOLの仕事を、経験的知識とマニュアルに基づく処理の熟知が必要な作業と、極めて定型的・補助的な作業及び庶務的な雑務にわける。そしてB前者をヴェテランOLの主要職務とし、後者の専担者としてパート、アルバイト、派遣社員を低い人件費で活用することである。(p55-60)

4.非正社員の状況 

 〈パートタイマー〉
 近年あらわになった深刻な状況として@女性パートと正社員の賃金格差は長期的に見て拡大傾向にあること。A長時間パートを対象として能力や働き振りを査定して昇格・昇給わせる能力主義管理がつまよっている。ゆそれえに「やる気」や責任感もほどほどにという考えであるが、企業が非正社員待遇の大枠に執着しながらパートに能力主義的にがんばれというのは、「ギブ」なき「テイク」の求めというほかはない。B従来は契約期間の定めがなかったパートの一部分を、有期契約の、より短時間のパートに変えていくという傾向も見られる。このいわば「パートのパート化」パート労働法が「正社員と労働時間の変わらない従業員は通常の労働者として取り扱うよう求めた」ことなどが関わっている。本来は平等化に寄与するはずの法改正が企業の論理に媒介されてこのような状況を招いた。これにより、一定の収入を不可欠とするパート労働者は、パートの掛け持ちなどを要されることになった。Cこれからは、主婦パートよりはむしろ学生アルバイト・フリーターと派遣契約労働者の方が増えていくように思われる。とくに若さがなにかしらメリットになる職域にはアルバイトぁ
,、一定分野での専門技能や作業習熟の求められる職域では派遣労働者がいっそう活用されるであろう。(p61-69)

 〈派遣・契約労働者〉
 派遣・契約労働者の最大の問題は雇用保障と収入安定の見通しである。改正派遣法により、一年を超える派遣契約を禁じ、同じ業務でそれ以上働かせるならばその人は正規の直接雇用とすることを「努力義務」としている。同一業務のために別の派遣社員と契約することも違法である。
 企業は正社員の雇用の場合より、そう人件費が半分以上になるからこそ、派遣スタッフを活用しているので、努力義務としての正社員化を避けるため、「同一業務」を狭く解釈して、一年を過ぎれば別の部署で同種の仕事をさせるなどしている。
 この他45%という低し社会保険加入率はども問題点として挙げられる。
 派遣社員が軽やかなのは経済的に頼れる夫や親がいて、好きな時間に好きな仕事をしたい人だけである。(p70-73)

5.正社員の界隈

 今日の企業社会の性差別化は女性の非正社員化であり、正社員においては制そのものを直接基準とする差別は、改善に向かっている。。けれども、女性でも総合職などに応募はできるが、採用はされない、「企画・専門職」グレードへの昇格申請はできるが、実現はしないというところがいくらでもある。企業は男女を含む志願者の中から採用者、総合職配属者、昇格者を選別する。その選別基準は性のそものでなく、個人別の査定によって把握できるとされる能力、やる気、実績である。しかし、この基準は完全には性に中立的たりえないだろう。企業社会の有力な男達にはまず「これは男向き(女向き)の仕事」という観念がある。この観念として、日本的能力主義の特徴とする、職場外の生活のニーズをあまり気にせずに残業や転勤のできるような生活態度としての能力の要請があげられる。家庭責任を負う女たちには、特にこうした能力を求められる総合職や管理職につくことはふさわしくないとされる。このような性のバイアス(偏見)がかかっている。(p74-86)

◆三章 「男の仕事」「女の仕事」◆

1.「女性の特質・感性」とは何か

〈女性の配置に関する企業の方針〉
 女性の特質・感性とは、@補助的または定型的業務に適していることA男の顧客の気を惹き女の顧客を安心させるようなやさしくソフトな接客ができること、と考えられている。(p88-90)

〈いくつかの職域拡大〉
 女性医師はこの16年間で倍増し、全体の13、4%を占めるようになり、司法関係者や研究者、記者の中での女性比高まった。芸術・芸能、美容・ファッション関係の多様な専門職も増える。公務部門では、医療。福祉関係を中心に女性の専門職が増加。警察では大阪府下の主に性犯罪を扱う課や少女の関係する事件を担当する課での活躍も話題になった。銀行、証券会社、生命保険会社などでも定型的な業務でなく、創造的な仕事をできるような職域の拡大がみられる。
 また、ホワイトカラーだけでなくブルーカラー労働についても同様で、最大の要因は女性の深夜労働の解禁である。(p91-92)

〈二人の経営者と資格基準表〉
 女性は幅広い知識のいる企画や開発、「度胸」と決断のいる大きな取り引き、危機管理的な対応、予算必達の営業、そして個人的感情にとらわれてはならぬ人的管理などには「向かない」とみなされ、総合職的業務から除外されている。(p93-98)

2.性別職務分離の職場

〈工場の「古典的単純労働」・現時点の女性ブルーカラー〉
 女性ブルーカラーのうち、40代と50代は59%であり、その世代は全女性労働者にしめる比率44%をはるかに上回っている。女性ブルーカラーの中高年化は著しい。また、この職業の非正社員化率は62%で、年収300万円以下は94%に達している。
 大企業の職場で減少した定型的作業は、かなりの部分が海外の特に第三世界に移されている。かつては日本の女性が携わっていた業務が、80年代後半はアジアの女性達の労働に委ねられている。職場のジェンダーはこうしたグローバルな展開をとげている。(p99-103)

〈デパート、旅行代理店、銀行〉
 デパート:女性管理職の部下はすべて女性であることなどから、職域の中での性別分業はみられないものの、職域は、男性正社員、女性正社員、女性派遣社員という三者の間で明瞭に分かれている。
 銀行:コース別を大枠とした性別職務分離がよく見られる。例えば、融資部門では事務的な作業を女性が行い、男性がチェックを行うようになっており判断的な業務は女性には全く委ねられていない。(p104-107)

〈商社の性別職務分離〉
 価格の交渉、市場調査、採算データ分析などは男性が行う。営業部門のヴェテラン一般職はいう。「海外の客先から引き合いが入り、メーカーへ見積もりを依頼するのは私で、メーカーから値段をもらって客先へ戻すのは男性・・・。契約がきまればメーカーへ注文し、客先との契約書を作り、前金処理をするのは女性・・・。男性はメーカーへ行って値段を交渉し、海外の客先との均衡もありますが、私は電話で交渉します。」(ペイ・エクイティ研究会編1997)性別職務分離が鮮やかに語られている。(p109-113)

3.性別職務分離の論理

〈下位職務の専担者―条件と基準〉
 労務管理が上位職務と下位職務の担当者を選別する時の基準は、学歴、勤続、人種、国籍、そして性別がほとんどである。(p114-123)

4.それはなぜ女性なのか

〈セックス・タイピング・オブ・ジョブ〉
 なぜふつうの女たちが、定型的な業務などやりがいのない仕事にばかりつかされるのかと疑問に思うが、これは男達の偏見にほかならない。その偏見に対してそれなりの正当化論がある。@労務の実例として何度もあげたが、男と女にはそれぞれに適した仕事があるという適正論。A稼得労働の位置付けに関する男女の違い。女は家事・育児の責任を担っているため、定型的な「おもしろくない仕事」でも収入のためなら我慢してできるので、ふさわしい、という論。(p124-132)

◆四章 女性たち自身の適応と選択◆

 1、ジェンダー意識の一般状況

〈ジェンダーシステムとジェンダー化された慣行〉
 ジェンダーに対する女性主体の意識を考えようとするとき、私たちはしばしば、低く差別されている階層ほどより鋭くその差別状況を告発すると思っているが、実際はその逆の関係さえみとめられる。
 なぜなら定型的な仕事に対して不満を抱かない階層、個人を企業は選んでいるからである。また、「弱い立場の人たちはその現状を嘆きつづけているわけにはいかないしので、実際根絶し得ない逆境と上手く付き合い、小さな変化でもありがたく思うようにし、不可能やありえそうなことを望まない方が、生きていく為の戦略としてはよっぽど理にかなっている(アマルティア・セン)」とも言われており、これは第三世界の貧困層から引き出されている論であるが、現代の先進諸国のジェンダー論にも適用できる。(p134-136)

〈「女らしい仕事」の受容をめぐって〉
 「女性の特質」によるソフトな対応、思いやり、ケアに適した性格などについては、それが伝統的に愛される女の特質とみなされてきただけに、それを「仕事に活かす」男たちの発想はかなりの程度、女たちにも内面化されているかに見える、実際思いやりのまなざしと笑顔などで顧客の気を惹く、ボスの秘書に選ばれる、などはみずから女性の再確認であって、職場生活の中で女性(労働者)がそこにアイデンティティーを求めるとしても不思議ではない。
 OLが一般職にうずくまるのは、技能や知識の面で総合職の仕事はできないとうよりはむしろ、総合職の男のように時間とエネルギーのほぼすべてを会社の仕事を注げないと思うからである。それはやはり、家事・育児をめぐる性別役割分担のしがらみにふかく関わっている。(p137-138)

〈女性の就業コース選択〉
 アンケート調査によると、女性の50%近くが、結婚・出産後の再就職を希望している。これは、再就職の際は非正社員としての雇用になると認識してのことだろう。その種の雇用では労働条件が著しく不利になるという認識も定着しているだろう。にもかかわらず今の時点では、再就職型が望ましいと考えられているところに、女性が人生を通してフルタイムの正社員として働きつづけていくことのむづかしさが語られている。(p139-140)

〈性別役割分業論の今日〉
 女性の就業コース選択は、つねに「男は仕事・女は家庭」という伝統の性別役割分業論の存続程度と関連させて論じられてきた。「女性は仕事をもつのはよいが、家事・育児はきちんとすべきだ」とかんがいえている男性が90%近くもいる。(p141-145)

2.専門職とOL―若い女性たち

〈専門職の人々〉
 専門職の人々は、女性労働者のなかでは際立って就業継続志向が高く、それゆえ20代から60歳になるまではどの年齢層でも正社員比率が73%以上にのぼる。要因は日々の仕事の裁量権であって、それが管理者にならなくてもがんばってやっていけるという感覚を与えている。
 また、女性専門職は公務員比率が高く、ノルマ達成の心労を免れていたり、育児休暇などがとりやすいということも一要因である。 (p146-149)

〈職場の変化とOLの分化〉
 企業はOLを「戦力化」の対象として、OLの仕事を幾分個人別に特定化させ、作業管理につとめるようになった。OA機器操作、カウンター受付、書類作成といったそれぞれの主要作業の作業量が増えて残業が多くなり、スピードや「ノーミス」の要請も厳しくなっている。(p153-155)

3.分岐の諸相

〈30代前半の転換〉
 結婚後も仕事を続けたり、非婚で仕事をつづけている女性は30代に入り、ヴェテランOL、いわゆる「お局様」となる。「女らしい仕事」には若年層のほうが求められているという状況の中で、しばしば彼女たちは「OLの規範」にやかましい若手の「教導係」として事故の存在理由を確認しようとする。また、そうでない人たちは結婚・出産を契機に家庭に入っていく。(p156-158)

〈非婚・子なしの選択〉
 仕事にやりがいを感じている女性たちは、結婚を遅らせ、ひいては非婚を選んだりする。
 今では育休制度があるにせよ、幼子を抱えてばりばり仕事をするのは不可能ではないかという思いが、現場の上司や女性自身にもあるため育児と仕事の両立は不可能だと考えられている。
 ワーキングマザーであることの困難が、少子化の一因であることは間違えない。(p159-160)

〈中年世代―パートタイマー〉
 生活上の必要から働く彼女らは賃金を始めとする労働諸条件には不満をもつけれども、性別職務分離の一形態とも言うべきパート仕事の内容的な貧しさは、まずこれを受容せざるをえない。
 また、40代、50代のパートタイマーが「私は労働者というより主婦」という意識にうずくまることは、ある程度避けがたい。職場よりも家庭の方が「私個人」の存在意識を確認させるからだ。(p164-169)

4.ジェンダー意識の多様性と変化

〈性別職務分離は?〉
 「女に適した仕事がある」ということと、世帯の受容な稼ぎ手は男であり、女は補助的な稼ぎ手にはなってもよいがあくまで家事・育児の専担者であるべきだという通念がある。このことについては、一方の極には心からの肯定・内面化があり、他方の極にはきっぱりとした「拒否」がある。しかし、多くの女性の意識の位相は両者の中間にあるだろう。そこには現状に応じて欲求をコントロールした上での納得、その現実への妥協、あるいはジェンダーのしがらみを回避できるような個人的な立場を獲得する選択などが認められる。
 多くのOLは基本的に定型的な仕事のままで、男たちのように上位職務への脱出は願ってもかなわない。そんなとき彼女らは性別職務分離という確固たる現実に「妥協」するか、やりがいのある仕事への欲求を調整して納得するかを選ぶだろう。 (p170-174)

〈それなりの男女共生〉
 家事・育児を免れ、「高度」な仕事に向かってキャリアを競争的に展開していく高収入の男性社員、そして他方の極には、家事・育児の一切を日受けながら、職場では不安定な雇用保障のもとで「下位ステータス」の労役を経過的に担う低収入の女性非正社員。この両者が相互に理解しあい、依存しあうことが、日本企業の効率的な稼動の条件である。 (p175-176)

◆五章 ジェンダー差別に抵抗する営み◆

〈三つの命題〉
 これからの男女共生社会が追求すべき方向性について。
@これからは女ももちろん男も、労働によってシングルででもいきていけるようにしなければならない。そのためには、女性の経済的依存性を大きくわくづける現在の「世帯単位」システムを見直して、賃金、租税、社会保障を「シングル単位」とするシステムに組み直すことが必要である。
A職場のジェンダー差別の改善にとって、女性労働者がともかく職場に定着することはすべての前提にほかならないが、その定着の為には女性が定型的または補助的な職務に緊縛される状況が克服されねばならない。「女には女の仕事が適している」という呪縛からの解放がついには必要になる。女性に割り当てられる仕事そのものの内容にも問題がある。また夫との家事の分担関係も妻の社会的労働のやりがいが彼女に注ぐ時間的、精神的エネルギーの程度によって否応なく変わるのである。
B多くの男女が支持している「女は仕事をもつのはよいが家事・育児はきちんとすべきである」という考え方は時代遅れ。これからは女性が社会労働においても自分を生かしうる、その人間的権利を絶対に要する立場にたつならば、私たちは両性による家事・育児の平等な分担というあり方に近づくほかならない。そしてそう思い定めて「男の規範」から自由になるならば、ノンエントリーの男たちの仕事も、顧みれば家事・育児に比べて格別に「やりがいのある」わけではないことに思い至るのである。 (p178-180)

〈ジェンダー「自然」観とフェミニズム〉
 企業社会のジェンダーに対する杭いは、働く女性自身の心の中に状況に反発する発条が用意されなければ、なにも始まらない。 (p183-185)

〈提起したい実践テーマ〉
@女性が働きつづけやすい職場、男女混同職場の制度と雰囲気をつくること
A性別職務分離の下にあっても女性賃金の著しい低落を防ぎうる、ペイ・エクティ(同一価値労働同一賃金)という枢要の実践
B非正社員の安易な「活用」の規制と右のペイ・エクティに基づく待遇の改善、そしてパートタイムという働き方のノーマル化
*また、雇用保険、年金、介護保険、生活保護におよぶ社会保障と租税のシステムを「シングル単位原則に基づいて組替えること。家事・育児労働の平等な責任分担やそれらの社会化・市場化を具体的に構想すること。執拗な性差別への抜け穴を完全に絶つような労働諸法の改正・制定を条文提案もふくめて提起することも必要。 (p186-187)

2.職場の性差別に対抗する手段

〈法律制定の意義と限界〉
 法律制定には、性別処遇のなにが法的に許されないかを包括的に明らかにするという決定的な意義があり、職場のジェンダーに杭う方法・手段として有効である。
 しかし、日本の均等法の場合、総合職と一般職、正社員と非正社員など「雇用管理区分」が異なれば両者間の処遇差を「差別」と認定できないというところにもっともよく現れている。さらに、「能力」の有無という制度上の選別基準の運用を通じて男女間に巨大な「結果の格差」が生まれる事態を、日本の雇用機会均等法は「問題にしない」のである。 (p188-189)

〈法廷闘争の成果〉
 塩野義製薬や、芝信用金庫、シャープライブエレクトロニクス販売のように裁判を通じて性的差別が法的に認められ、なくなりつつある。 (p190-191)

〈労働組合の可能性〉
 可能性としては、労働組合は職場に近いレベルで、直截に労働者のニーズに応じて経営側の専権を規制することのできる組織である。これが機能すれば法律や判決を待たずとも成果は協約となって法的保護を受ける。実際、育児休暇や授乳時間の確保などが組合により制度化されている例がある。
 こうした可能性を現実化させるためには、やはり「男は仕事」「女は家庭」という考えを打破しなければならない。
 また、男女合わせた組合員の多数決で意思決定を行うのではなく、男性と女性のそれぞれが要求づくりと代表選出できるようにすることが求められる。(p192-193)

〈ネットワークと新しいユニオン〉
 既存の労働組合の改革が無理なら、女性たちは自らが運営の主体になりうる新しい労働組合の形成が必要になる。現在、女性中心の労働組合や女性同士で相談し合えるネットワークが形成されてきており、女性に発現の自身を与えている。(p194-197)

3.女性が働きつづけられる職場

〈残業規制と職場の雰囲気、「男女混同職場」の意味するもの〉
@女性が結婚・出産後も働きつづけられるようにするためには、男女混同で仕事が行われるようになること(男・女の仕事の区別がないこと)が大切。その要因が女性の高学歴化や長勤続化であれ、労働意欲の高まりであれ、女性の残業や深夜勤の解禁であれ、職域拡大をほぼ無条件で肯定する。
 女ももっと「おもしろい仕事」を求め、家事の押し付けに対抗するべきだ。
Aまた、育児・介護などをしながら働きつづけられる制度や職場づくりも大切である。これは女性のみが仕事と家事・育児・介護を両立できるようにしようという意味でなく、欧米のように男性の協力がある家庭・職場づくりを目指そうという意味である。
B「上位ステータス」と「下位ステータス」の格差そのものを小さくすること、決定権の分布においてフラットな労働組織を追及するべきだ。 (p198-204)

4.ペイ・エクティの試み

〈ペイ・エクティの考え方〉
 いま男の仕事と、女の仕事の賃金格差は100対60としよう。しかし、それぞれの仕事に求められる技能・知識、精神的および肉体的な労苦、責任などを公平に秤量してみれば、両者の職務価値は100対80、あるいは100対100になるかもしれない。ペイ・エクティの原則は、職務価値の差によるもの以外の賃金格差を拒み、現状の賃金格差を前者の場合は100対80に、後者の場合はゼロにすることを求め、性によって分離された女性職の賃金を上昇させるためである。 (p205-206)

〈日本における実践〉
 日本の企業社会では、個人に割り当てられる仕事の範囲、ノルマ、責任が総じて流動的である。「一定の職務」に誰を配置するかという管理よりは、この人にどれだけの仕事をさせるかという管理が重視される。それゆえ、人事考課も、一定の職務の要件をその人がどれほど満たしているかの評価というよりは、その人の能力、成績、態度・性格を多面的にみる、どれほどフレキシブルに働けるかを基準とした「人」への評価になりがちである。これでは、「男のようには働けない」女性への低い評価が構造化されてしまう。(p207-209)

〈女の仕事の評価をめぐって〉
 女性の多くが上位職務で求められる要素をなかなか我が物にできないのは、性に中立な資質や努力の不足のゆえでなく、強制的にそこへ誘導されるジェンダー慣行のゆえである。 (p210-212)

5.パートタイマーの明日

〈ILO175号条約〉
 ヨーロッパのILO「パートタイム労働に関する条約」(175号)では、パートとは「通常の労働時間が比較可能なフルタイム労働者のそれよりも短い労働者」と定義し、フルタイマーと仕事が同じなら、同じ時間給、フルタイム・パートタイム相互の転換制、社会保障給付や休暇に関する同等の権利などを謳っている。
 日本政府はこれを批准していない。日本では、パートは労働時間が短いだけでなく「雇用管理区分」を異にする非正社員であり、すべての待遇が異なって当然であるという産業社会の通念がまだゆるぎないからである。 (p213-214)

〈パートタイマーが必要とする制度〉
@パートタイマーの有期契約化の規制。
Aペイ・エクティの原則が適用され、パートと正社員の間の賃金格差の不公平を改善しなければならない。両者の職域が大きく重なっているのに、派戸には正社員の固有の残業、配転、転勤の応諾や業務上の責任がないことなどを言い立て、企業がパートの低賃金をあくまで正当化しようとするケースは極めて多い。
B男女労働者とも、フルタイムがパートタイムに、パートタイムがフルタイムに転換できる制度の獲得が必要。このシステムにおいてこそ、男女労働者は家事・育児・老親介護の負担・健康状態と体力といったライフサイクル上のニーズに応じて勤務形態を選びうるようになるだろう。また、これにより失業多発期の時間短縮、ワークシェアリングも可能になるだろう。 (p215-218)

◆終わりに +コメント◆
 私は現在4回生でついこの間まで就職活動をしておりました。最終的には銀行の一般職に内定をいただき、就職活動を終了しましたが、それまで色々な会社(メーカー、商社、百貨店)を受けるに当たって何度も男女差別を感じました。
 @女性でも総合職の募集は一応あるが、この不況で採用人数が少ないなか誰を採用するかというと、結婚・出産などで辞めてしまう可能性の高い女性よりは、体力もあり、転勤なども当たり前のこととして受け止めている男性を採用している現状。
 A、@の考え方から転勤がなく、それほど残業もない一般職としての採用を両者(女性―企業)が好んでいるいう現状。
 B育児休暇など制度としては用意されているが、実際使いにくく、利用している女性は少ない、という現状。
 とくにこれらのことを強く感じました。
 実際に結婚・出産後働きつづける女性は少ないので、企業の言い分もわかる。しかし、考えてみれば「女性が家事・育児をしなければならない」というのは男社会で勝手にできあがった慣行であり、女性が好きで選んだ道ではないのだ。
 また、「女の特質」として、「女性が顧客を安心させるようなやさしくソフトな接客ができること」などがこの本で挙げられてきた。確かに男性に比べるとそういえるかもしれない。
 しかし、「結婚・出産後は仕事を辞めて育児に専念したい」「いつも笑顔でお客様に接する仕事がしたい」と思う女性が世の中に多いにせよ、そうでない女性もいるということを見落としてはいけないと思う。
 つまり、自分(女性)がどのように生きたいかは自分(女性)で決めることであって世間(慣行)に決められることではない、と私は声を大にして言いたい。
 女性自身が結婚後は家庭に入りたいと思うならそうすればいいし、自分(女性)は仕事をして夫が家事をするほうがお互い合っていると思うならそうすればいい。共働きなら、欧米のように家事・育児・介護などを夫婦で分担しお互いを尊重し合えるような関係を目指していくべきだと思う。
 そんな関係を実現させるためには、やはり本文で何度も出てきたように、企業が男女間の仕事の区別をなくすことが必要である。
 また、育児・介護などをしながら働きつづけられる制度や職場づくりも大切である。これは女性のみが仕事と家事・育児・介護を両立できるようにしようという意味でなく、先ほども述べたように男性の協力がある家庭・職場づくりを目指そうという意味である。
 最近は「主夫(しゅふ」)ということばをよく耳にするようになったが、まだこれに対しては世間の目は冷たい。その偏見がなかなか「主夫」を生みにくくしていると思う。これこそが男女差別の意味合いを持っていると思うが、早く「主夫」が当たり前の世の中になるようにするために、私たち世代の女性は、女としてのプライドを持って生きていこうと思う。

〈参考文献〉
◇『女性労働と企業社会』著者:熊沢 誠 2000.10.20 岩波新書
◇『OLの想像―意味世界としてのジェンダー』著者:金野 美奈子 2000.2.22 けい草書房

 

女性労働と企業社会
熊沢 誠著 岩波新書
紹介 村上和史(立命館大学政策科学部三回生)

目次
第一章 女性労働を見る視点
1女性労働―到達の地点
2私の関心と方法

第二章 企業社会のジェンダー状況
1女性労働者の分布
2五つのライフヒストリー
3職場のジェンダー・今日の特徴
 4非正社員の状況
 5正社員の界隈

第三章 「男の仕事」・「女の仕事」
1「女性の特質。感性」とはなにか
 2性別職務分離の職場
3性別職務分離の理論
4それはなぜ女性なのか

第四章 女性たち自身の適応と選択
1ジェンダー意識の一般状況
2専門職とOL―若い女性たち
3分岐の諸相
 4ジェンダー意識の多様性と変化

第五章 ジェンダー差別に対抗する試み
1職場の性差別に対抗する思想
 2職場の性差別に対抗する手段
 3女性が働きつづけられる職場
 4ペイ・エクイティの試み
5パートタイマーの明日


第一章 女性労働を見る視点
1女性労働―到達の地点
日本の女性の多くは長らく、短い勤続、定型的または補助的な仕事、そして低賃金という、それぞれが他の原因でも結果でもあるような三要因の連動する職場の中を働きついできた(P2)。
まずこの項目では女性労働は昔から「女の仕事」=ブルーカラー労働(技能職、製造、建設作業者)と「男の仕事」=専門、技術、事務職の価値観の「共生」によって続いてきたことを述べ、最近では性によって職務内容をキャリア展開につながる事務職の「総合職」を男性に、比較的簡単な事務を行う「一般職」とに分ける性別職務分離によって振り分けられていることを指摘。女性労働は男女機会均等法で若干の前進は見せたものの、まだ女性の労働者が差別を受けていることが述べられている。

2私の関心と方法
この本での筆者の私見は
その1、女性への下位職への重い偏りや低賃金は、まずは労務費コストを低く維持しながら企業内分業を安定的にルール化しようとする経営管理に始まる。そしてこの経営管理によって、女性はジェンダー化された慣行を自ら生み出してそれに自らを適用させている、(P15)
その2、女性労働は多様化しているため〈職業〉〈年齢〉〈雇用形態〉などによって分かれた階層を明瞭にしなくてはいけない(P17)、
というものである。

第二章 企業社会のジェンダー状況
1女性労働者の分布
掲載されている『平成九年版 就業構造基本調査』(P24、25)によると全体の正社員比で男性は81%で低賃金比率(この本では年収三百万と定義されていた)は25%なのに対して女性は相当する値が54%、74%となっている。このことは女性の労働が「恵まれていない」ことを示していて、女性労働者の代表的なグループを四つに分けて、「恵まれている」順序を@ABCとしている。
@年齢を通じて割合均質な専門・技術職(全体の15%)
A20代事務職(12%)
B40代と50代事務職(13%)
C40代50代のブルーカラー

2五つのライフヒストリー
この部分では前節でのグループの代表的な女性労働者の体験談が掲載されている。
一人目は共同通信社で社会部の記者をしている女性で@のグループにあたる。新聞社の社会部のデスクは一般に男の領域のようである(p30)。
二人目はAのグループにあたる住友金属工業の事務女性社員である。彼女は職場の状況が長く勤めても給料は上がらず、やり応えのある仕事も与えてもらえないためにわずか4年で退職をした。
三人目は大手の旅行代理店勤務の女性でグループとしては前と同じくAにあたる。彼女は厳しいノルマに対するプレッシャーに耐え切れずに入社七年後に退職をしている。
四人目はグループBにあたる女性で住友化学工業の事務職である。彼女は自身の昇給の遅さに対して同世代の女性とともに会社の性差別を告発した。
五人目は女性パートタイマーでグループCにあたる女性である。彼女はパート労働組合で会社に対してパートの待遇改善を訴えつづけてきたが1998年に経営不振のための人員削減を理由に不当解雇された。

3職場のジェンダー・今日の特徴
 今日における企業社会のジェンダー状況の特徴は、男女機会均等法および労働基準法の改正と、年功制の外枠をようやく本格的に打ち壊しつつある日本的な能力主義管理の強化と加速度的に進行する非正社員「活用」の雇用管理という、三者の出会いにある(P46)。男女機会均等法は1998年に改定され、募集、採用、配置、昇進の性差別が禁止となった。同時に労基法の女性保護条項もほぼ完全に撤廃された、そのために個人の能力や業績が新しい基準となった。能力主義による雇用の選別によって女性は厳しいノルマに耐えることを覚悟すれば昇給のスピードを上げること可能になること、高収入を求めるために残業をすることも可能になった。だがいまだ育休を取るとほかの社員への負担がかかるためにとりにくいという職場の実情などがあり、女性は家庭に対する責任があるという点ではいまだに差別は残っているだろうし第三要素である正社員の限定と非正社員の動員による人事管理は多くの女性を非正社員(p56)として、「女だから低い処遇」を「非正社員だから低い処遇」に転換することで実質上の性差別が生き残るといってもよい(p59)。さらに本福
8中には女性は「家庭責任」を持っているから、パートでも満足するのだ(p57)がかかれているのだが、私はこの考えが男女の両方の考えとなっているために女性労働の差別がなくならないのだと思う。

4非正社員の状況
 非正社員の職場での状況の例がいくつか述べられている(61〜62)。例えばあるチェーンスーパーが例としてでていて、正社員が男性2300人、女性1300人で残り13500人はすべて非正社員でアルバイト5000人を除く全人員のうち女性比率は81%である。このことからわかることは今日の女性非社員は総じて、正社員の職務から外された定型的な労働すべてを引き受ける傾向にあるけど、それだけに常用の基幹労働者にもなりつつあるという事実(P63)である。このことは、女性非正社員はいまの会社になくてはならない存在であるということである。次にこの節ではパートタイマー、派遣・契約社員のついての状況を数字とともに紹介している。パートやアルバイトを契約社員に変える傾向がでている(p68)ことは、さらに収入が低く、不安定で、専門性がない労働者を作るということになるので最大に懸念すべき問題である、しかも派遣社員は男女雇用機会均等法や労働基本法の制約すら受けないのである。

5正社員の界隈
 今の昇給は能力主義に立っているために「家庭的責任」を持つ女性には総合職や管理職につくことができない性の偏見がかかっている(p75)。この問題こそ労働の機会差別に変わって近年持ち上がっている新しい職場女性の差別である。この能力のなさは女性には家庭があるために仕事に全力を注ぐことができないという想定に基づいているのだ。しかしこの想定は企業が勝って意に作り出したもので、企業は女性に昇進コースを閉ざすことで差別する「直接差別」ではなく女性は先ほど述べた企業の想定と、下位の仕事に向いているという強力な誘導によって「間接差別」を受けているのである。これは女性が上位の仕事につく能力が一般的にないという能力主義に基づいていて、特にその不公平さを感じているのは長年会社に勤めていて同期の男性と違って昇給できてないベテランの女性労働者に多い。この「間接差別」のことこそ現時点でのジェンダー運動のターゲットだと筆者は述べている。

第三章 「男の仕事」・「女の仕事」

1「女性の特質。感性」とはなにか
 女性の配置についての企業の考え方は昔に比べて男性と同じ業務への配置の可能性の増化を建て前としては表明している、そしてブルーカラー労働者や専門職の分野でも女性は深夜労働の解禁による女性労働者の深夜勤への参加であり、女性の管理職の増加である。しかしその増加とともに増えているのが「女性の特質・感性を生かせる職場」へ配置させる考えである(p89)。この「女性の特質・感性」を経営者は補助的・定型的業務とソフトな接客への適正としている。これらの仕事への女性の適正は女性が「ノルマ達成の迫力に欠ける」「統率力がない」「飛躍的な発想が苦手」(p94)であるために総合職的業務にむいていないために、上司から言われた仕事をこなすほうが向いているとされているのだ。

2性別職務分離の職場
現在の女性ブルーカラーは製造業において基幹労働者となるほどの数を占めていてその業務は主に40~50代の女性によって担われている、これは膨大な繰り返しの業務が若い女性が働かない中高年のパートタイマーに適しているとみなされているからである。しかも最近ではこの業務は第三世界の女性へとゆだねられつつある(p101~103)。ブルーカラーと同じく女性労働の大職業グループとなっている広義OLの場合は三十代の女性は半数以上が職場での男女差別を感じている。これは、長い間継続して勤務しても責任のある仕事を任せられずに補助的な実務(社内通達のメール発信、お茶組み、書類保管、庶務の仕事)しか与えられていない実態があるためである。そしてその背後には「女の仕事」を排他的に割り当てる牢固な伝統があることで、OLを育てることを会社がしようとしないことがある。日本のオフィスでは職務によってジェンダー問題の管理を取ろうとはしていないことが、イギリスの職務による管理を見ることでよくわかる(p113)。

3性別職務分離の理論
 日本の性別職務分離は間接差別の基礎になっている。これは女性の職務が特定の分野に偏る「水平的(性別)職務分離」によって分けられることは、男性が上位の仕事で女性が下位の仕事に振り分けられている現状から無意識的に「垂直的職務分離」へとつながる(p114)。この下位の仕事へのニーズは「安定条件」=(下位の仕事を経過的なものとしてみている、仕事内容は関係なく、働ければいいと考え、または考えさせられている時)に適合するときに発生する(p120)。この「安定条件」の基準は学歴、勤続、人種、国籍、そして性であって時代とともに変化してきている。そして現代日本の企業社会ではジェンダーが最も安定的な職務分離の基準として前面にでていて、執拗にいきつづけていることは容易に納得できるのである。
フィンランド研究者のメリヤ・キンヌネンの考察(男性の仕事に関するイメージ=事実への適応思考・責任・問題解決・包括性・身体的強靭さ、女性のイメージ=人へのかかわり・確実性・思いやり・細部・ストレスに耐えること)によると女性と男性は容易に上位・下位の仕事の基準に関連付けられると示している。これらは主観的なイメージであるがゆえに「文化」に基づいている性別職務分離の探求には有効である。

4それはなぜ女性なのか
 女性が広義の流れ作業に対して適正であるという偏見は適正論「仕事の性タイプ分け=sex-typing of job」と稼得労働の位置づけによる男女の違いの指摘つまり主要な稼ぎ手を男性で女性は家事担当という論によって正当化されている(p125~128)。前者は男性がよく選ぶ仕事がたまたま女性がよく選ぶ仕事より条件がいいだけという経営者側の論理によって正当化されており、後者は家事を自ら担おうとする女性は男性より仕事に対して仕事に対する満足の基準が低いため経過的な仕事(パートタイム)が適しているとなっているのだ。これらの偏見は企業の経営合理性と重なって性別職務分離へとつながって、分けられた仕事の内容の評価で女性の労働は低賃金にされる。「女性の仕事だから賃金が低い」という認識はペイ・エクイティの運動へとつながる(p132)。

第四章 女性たち自身の適応と選択
1ジェンダー意識の一般状況
 企業社会のジェンダーに対する女性の主体意識を考えるとき、女性が主体的に差別を告発しないことが認められる(p134)。ジェンダー差別のある企業社会で働くことによって生まれる女性の願望を主体的に叶えようとせずにジェンダーシステムとの「激突」を防ぐために「現実的」なものに調整されること。これによって女らしい規範に沿うジェンダー化された日々の慣行が生み出され、女性労働者はその規範に従うことになる、このことは[強制された自発性]となり名のとおり女性に本当の選択を与えない。しかしこのジェンダー化された慣行も状況に応じて再生産されて変化することを否定することはできない(p135〜136)ので、時代的な変化を理解することは大切である。そのために内面化(考え方の受容)をめぐる日本女性の意識状況の概観を調べることが必要である。代表的な意見として女性は家事・育児のしがらみがあるために「総合職」につこうとするエネルギーをもてないのである(p138)。この意見は性別職務分離の労働者への内面化と同じくして女性にシステムへの順応を進めていく。概観の結果、ジェンダー化され!
た慣行への順応と反発の形は職務の階層によって異なること(p145)が明らかになった。

2専門職とOL―若い女性たち
 この節の趣旨は職場のジェンダーシステムが、それにふさわしくジェンダー化された働き方の慣行に女性(ここでは若い女性について)を誘うことの受容の階層ごとによる変化を見ることである。専門職の女性はスペシャリスト志向を持っていて、また職場も一般よりは裁量権に恵まれているのとフラットな関係であるために仕事に対するやりがいと自分の仕事に対するアイデンティティを持つことは容易である。そして彼女らはその仕事に対する誇りから家庭との両立を難しくさせているのにもかかわらず、就業継続指向が高い。これは管理職にならなくても仕事に誇りがもてるからであり、この考えが生み出す3つの条件{@専門的教育と相対的学歴による自立の「初心」の高さAノルマによる心労のなさB恵まれているために性差別を重視して捕らえない}により彼女らはジェンダーによる不満を感じほとんど感じないのである。
 次にOLについてだが彼女らは特に性別職務分離の影響を受けているために自己の仕事には誇りを持てずにいた。しかし80年代から女性の学歴水準の増加とともにこの関係は徐々に変化しだし、「反ジェンダー」ではなくそれを逆手にとる「レジスタンス」をするようになった。この「レジスタンス」は男性に対するサービスを全員で差別的に不親切にするものである。さらにこの傾向も現代では変化していき企業が一般OLを「戦力化」し始めたために仕事への管理が厳しくなり彼女らの仕事はしんどいものへと変貌していった。このしんどさゆえにOL達は「結婚・出産」により退職する道を選び出す。なぜならこの条件をクリアして働きつづけるにはジェンダーシステムと近年の労働強化にあがなう連帯的な営みが必要なためである(p154)。そしてそれを克服していき今の企業社会の中に活躍できる場をもとめ努力するOLの中に「スペシャリスト志向」の台頭を見ることができるようにもなってきた。
3分岐の諸相
 30代前半は就業コース分離がはっきりする時期であり職場内要因と職場外要因によって四つの立場から重要な決定によって就業コースが選択される。@仕事にも満足で「家庭責任」とも両立が可能な場合は、ほぼ就業継続を選ぶであろうA仕事が単純でやりがいがなく「家庭責任」との両立が難しい場合は、裁量権を発揮できる場(家庭の仕事)と進むであろう。@Aは迷いがのこらないタイプであるがB仕事にやりがいがなくしかし家庭が負担にならなう場合は、「稼ぐ必要性」のためにしばらく働きつづけ、不満をもちながら遅れて家庭へと入っていくのである。C仕事にやりがいがあって家庭との両立がしんどい場合は、彼女らにとっては仕事も家事も魅力的なためあえて負担を作らないように「非婚」であったり少子家庭への道に進むことになる。
 さらに上の世代(40〜50代)になると正社員の女性は長年の労働のために基幹労働者となっているが企画・開発・管理の男性の領域に進出せずにいる。または彼女らは女の規範に長い間従順だったために「企業社会のジェンダーへの鋭い告発者」となる(p163〜164)。パートタイマーは生活者としての賃金へのニーズが切実で、労働者としてより技能と資格を生かした仕事への欲求が積極的なため「パートすなわち正社員」という待遇への不満が強い。

4ジェンダー意識の多様性と変化
 第一に、経営組織上の下位職務にほぼ平行移動できるような「女に適した仕事」があるという幾重もの正当化、第二に、世態の主要な稼ぎ手は男であり、女は補助的な稼ぎ手には「なってもいいがあくまで家事・育児の専担者であるべきだという通念。この二つに女性の主体的な意識には、第一の性別職務分離論についてはもとより、きわめて一般的なレベルでは支持率の高い性別役割分業論についても多様性が見られる(p170)。多くの女性は肯定と拒否の中間にいて、欲求への「納得」現実への「妥協」そしてジェンダーのしがらみからの回避できる立場の「獲得」を選択する。そして今では「納得」や「妥協」を超えて「抗う」人も出てきた。しかしこの「抗う」ことは「女の規範」「女らしさ」なくした「特殊な人」として好奇で不寛容な目で職場から見られ、「抗う」事を止めたときに現れる「親切」さによって「それなりの共生」が生まれまた女性は「納得」「妥協」してしまうのだ。そして「高度な」仕事にむかう高収入の男性正社員と育児を請負いながら会の仕事を行う低収入の女性非正社員による、一応の相互理解と仕事の依存関係が日本企業の効率的な稼動の条件であ!
る。

第五章 ジェンダー差別に対抗する試み
1職場の性差別に対抗する思想
 「男女共生社会」が追求すべき方向性として、ひとつは能力主義的選別によって男性が女性を養うライフスタイルは維持できなくなってきて「世帯単位」システムを見直して、伊田広行によって提起されてきた「シングル単位」論(賃金、租税、社会保障をシングル単位とする)がある。二つ目は「女には女の仕事が適している」ではなく女性もジェンダー慣行にとらわれずにやりがいある仕事をしたいと求めること。三つ目は家事・育児を女性の仕事と考えずに両性による家事・育児の平等な分担をすること(p178〜180)。そしてこれらの意識改善とともに能力主義とジェンダーの関係論との分析からの具体的な提起は女性と男性がともに働きやすい職場の制度と雰囲気(女性が家事・育児をしなくてはいけないという偏見などがない職場)をつくり、またペイ・エクイティ(同一価値労働同一賃金)によって「高度」でないとされている労働賃金などを高めることで、さらにパートタイムの働き方をノーマル化にしてペイ・エクイティとともに非正社員の安易な活用を禁止すること(p186)。
 
2職場の性差別に対抗する手段
 職場の性差別に対抗する手段は、ごく一般的に労働法の制定や改定、労働委員会、機会均等調整委員会、裁判所などへの提訴、そして労働組合運動などである(p188)。法制定は性別処遇の何が法的に許されないかを明らかにする決定的な意義があるが反面、労均法のように制度上の抜け道を探して性別職務分離を利用して「結果の格差」が生まれることもある。提訴は職場の性差別に抗う営みの最も中心の手段のように見えるが、訴えが認められても企業への「勧告」にとどまる。しかしこのジェンダー差別が間接的に企業に存在することを認めさせ、企業社会の人々に常識の変革を迫るという成果も見せている。企業内労働組合は男性のリーダーによって運営されていることもあって有力な方法とならなそうであるが、「男社会」労働組合の変革(男性と女性それぞれの代表を均等に選出することなど)があれば、女性組合員の提訴のサポートや、経営側の専権を規制することもできるのである。そしてパートタイマーなどの非正社員のサポート体制として企業を超えた新しいネットワーク(ユニオン)作りも新しい可能性として広がっている(p196)

3女性が働きつづけられる職場
 職場のジェンダーを批判する気力は職場に定着することから得られるが、そのためには職場の制度と雰囲気を変えることによって女性が働きつづけられるようにしなくてはいけない。必要となることは女性が従来の男の「やりがいのある」仕事に乗り込んでいくことと、家事・育児をしながら働きつづけられる制度を作ることである(p198)。日本の女性の「働きやすさ指数」はOECD23カ国中19位である(p199)。これは日本の職場では残業を能力のひとつとしてみること、育休を取りにくい環境があるからであり、仕事以外の生活領域を極小化できる男中心のゆがんだ能力主義なのである。そしてこの能力主義社会を乗り越えて「男女共生社会」へ向かうには、下に滞る女性たちが発言を強め、面白い仕事へと進み、労働条件もましな水準になるような連帯の考えと営みを探らなくてはいけない(p203)。
これは「会社人間化」を求められている男性にとっても日本能力主義を規制のために女性たちと共同する営みによって、より合理的な結果になるだろう。
4ペイ・エクイティの試み
 日本の労働組合は「同一労働同一賃金」論を長らく掲げてきた。これは同じ仕事をしている労働者には性別を問わずに同じ賃金を与えるものであった(p205)。しかし、この要求原則は、明瞭な性別職務分離の元で「女の仕事」に就く女性の低賃金を改善することができなくなっていた。この原則は、アメリカ、カナダでは「ペイ・エクイティ」、ヨーロッパでは総じて「コンパラブルワース」と呼ばれていて特にイギリスでは地方公務員を対象にペイ・エクイティの賃金システム、女性職への低い評価を見直した職務評価性の導入などを規定する統一協約を獲得するなど運動が広まっている(p207)。ペイ・エクイティはさしあたり「性によって分離された女性職の賃金を上昇させるための戦略」であるとともに「ジェンダーが階級構造に組み込まれる方法に挑戦」する途を示す考え方であった。またペイ・エクイティの要求には、従来の職務評価方式をジェンダー的な先入観の批判を通して修正させる意義も担っている。ヨーロッパのコンパラブルワース運動の中には日本では男の仕事の「問題解決能力」「統括責任」のように女の仕事に見られる細部に気配りする責任、ストレス!
に耐える力など「見えない熟練」を評価する営みが息づいている(p210)。日本のペイ・エクイティ協会も日本のOLが負うしんどさを汲もうとする考えもあるが、日本の労働行政担当者や、経営者、ユニオンリーダーにはまだ女性労働者の全階層がもっとも必要としているこの考え方が根付いてはいない(p212)。

5パートタイマーの明日
 最後に最も重視される課題として〈三位一体〉システムの牙城となっている女性パートタイマーの待遇改善についてのテーマだが、いまや正社員以上に労働組合作り土壌に恵まれているが、その待遇改善はしかるべき法改正(パートタイマーの有期契約の規制、パートと正社員の間の賃金格差における適応について考えるにしても必要となるペイ・エクイティ原則の適応、パートとフルタイムが転換できる制度)が中心的な手段となるだろう(p213~p217)。労働三件の保障、フルタイムと同じ時間給、フルタイムとパートの相互の転換制などは「ILO94年条約のパートタイム労働に関する条約(175条)」において謳われているが日本はこの175条を批准もしていない、このことからも日本産業界のすべての待遇が異なるのは当然という理念がゆるぎないのがわかる。スウェーデンの医療・福祉部門では時間比例の収入災害に処遇差別のないパート勤務の「正社員」「公務員」はあたりまえであるのに。パート勤務はノーマルな働き方と認められるべきである。

コメント
 まずこの本を読んで単純に思ったことは、自分のジェンダーに関する視野が広まったということでした。私はこの本を読むまでは今の企業内での女性差別は男女雇用機会均等法がきちんと守られてないからだと思っていました。しかし、実態はその均等法の抜け道を利用していまだに女性差別が残っているということでした。だからといって私はこの均等法がまったくの無意味なこととは思いません。なぜなら、均等法が制定されたからこそ職場で未だに残っている差別、つまり性別役割分離が今までの社会に伝統的に存在していることが知られていくようになったからです。また、社会に長い間存在してきた差別をなくすことは容易でないこと、社会の考え方そのものを変えなくてはいけないこともわかりました。そして均等法の制定が多くの変化を企業の職場へと与えてきたことによって、今、少しずつ日本のジェンダー問題が改善されつつあるのです。しかし、改善が進む一方で不況のせいで職場の状況が悪化しているのが今日の日本の状況だと思います。サービス残業を強要される職場、また有給が取れないだけでなく休みすらほとんどなく働かされて過労死まで起こっていてその上安月給しか払ってもらえない状況、それらは、不況による就職難の影響によるものがほとんどで、仕事の評価が能力によるから来ている状況だと思います。この職場の状況について書かれていないのは、単にジェンダーにかかわらないだけだとは思いますが、それでも女性も男性も苦しんでいる昨今の状況について一言も触れていないのが不思議には思いました。そしてこのような日本の状況を考えてみると、ペイ・エクイティは女性だけの問題ではなく、今の日本の職場に求められているものだと思います。特に今のような男性も女性も職場で苦しんでいえる状況では。
 これから働くことになる日本の職場におけるジェンダー差別の状況を知ることは、この本でできるとは思いましたが、日本の職場の状況そのものを知ることはできないとも思います。けど、日本における問題のひとつの状況を知ることができたとは思います。日本の状況を知ることはこれから日本の社会で生きる私たちにとって重要なことです。そういう意味では読んで損はなかったです。

 

紹介:伊藤智名美(立命館大学政策科学部3回生)
掲載:20020811

女性労働と企業社会 熊沢 誠著  岩波新書 777円

2000年10月20日 第1刷発行
2002年4月24日 第3刷発行

目次

一章 女性労働を見る視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
    1 女性労働    到達地点 2
        <三位一体>のゆらぎ/変わったこと・変わらなかったこと/性別職務分離への注目  
    2 私の関心と方法  15
        企業の要請と女性たちの適応/女性のなかの階層性
二章 企業社会のジェンダー状況・・・・・・・・・・・・・・・21
    1 女性労働者の分布  22
        「恵まれていない」程度の基準/職業別の考察
    2 五つのライフヒストリー  29
        通信社の記者として/あるOLの退職/ノルマ達成の心労/性差別の大企業に抗して/工場パートの労働者像
    3 職場のジェンダー・今日の特徴  46
        雇用機会均等法・労働基準法改正と能力主義/求められる能力主義的な働き方/育児休業の取得をめぐって/非正社員の「活用」とジェンダー/さまざまの非正社員化
    4 非正社員の状況  61
        職場の従業員構成/パートタイマー/パートタイマーにとって深刻なこと/派遣・契約労働者/「契約期限一年」の明暗
    5 正社員の界  74
        応募の機会と選別のはざま/昇格・賃金差別裁判の示すもの/性別賃金格差の大いさ/間接差別の時代
三章 「男の仕事」・「女の仕事」・・・・・・・・・・・・・・・・87
    1 「女性の特質・感性」とはなにか  88
        女性の配置に関する企業の方針/いくつかの職域拡大/二人の経営者と資格基準表/「女性に適した仕事」
    2 性別職務分離の職場  99
        工場の「古典的単純労働」/現時点の女性ブルーカラー/デパート、旅行代理店、銀行/システムエンジニアのケース/商社の性別職務分離
    3 性別職務分離の論理  114
        水平的分離と垂直的分離/分業と配置/下位職務の専担者   条件と基準
    4 それはなぜ女性なのか  124
        セックスータイピング・オブ・ジョブ/稼得責任と家事責任/二つの可変性
四章  女性たち自身の適応と選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・133
    1 ジェンダー意識の一般状況  134
        ジェンダーシステムとジェンダー化された慣行/「女らしい仕事」の受容をめぐって/女性の就業コース選択/性別役割分業論の今日/階層ごとの相違
    2 専門職とOL    若い女性たち  146
        専門職の人々/OLとその「レジスタンス」/職場の変化とOLの分化
    3 分岐の諸相  156
        三〇代前半の転機/非婚・子なしの選択/中年世代   正社員/中年世代    パートタイマー
    4 ジェンダー意識の多様性と変化  170
        性別職務分離は?/性別役割分業について/それなりの男女共生
五章 ジェンダー差別に対抗する営み・・・・・・・・・・・・・・・・177
    1 職場の性差別に対抗する思想  178
        三つの命題/ジェンダーと能力主義/ジェンダー「自然」観とフェミニズム/提起したい実践テーマ
    2 職場の性差別に対抗する手段  188
        法律制定の意義と限界/法廷闘争の成果/労働組合の可能性/ネットワークと新しいユニオン
    3 女性が働き続けられる職場  198
        残業規制と職場の雰囲気/「男女混合職場」の意味するもの
    4 ペイ・エクイティの試み 205
        ペイ・エクイティの考え方/日本における実践/「女の仕事」の評価をめぐって
    5 パートタイマーの明日  213
        ILO175号条約/パートタイマーが必要とする制度/エピローグ
        二章2節の女性たち・その後
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・221
あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・227



一章 女性労働をみる視点

1 女性労働    到達の地点
 日本の女性たちの多くは短い勤続・定期的または補助的な仕事・そして低賃金という職場で働いてきた。この仕組みには、まぎれもなく社会的・文化的な意味でのジェンダーによる差別がある。今日この仕組みには、はっきりとゆらぎを見ることができる。
 しかし、実際多くの女性たちは「いつになっても男は男、女は女」という考え方が強く、日本を特徴づけるM字型供給線はなお健在である。昔に比べれば、考え方・雇用労働者比率・性別職務分離は変化してきたが、今もなお差別は存在している。
 
2 私の関心と方法
 現代日本における女性労働者の実像を立ち上げるに際して有効と思われる視点と方法について、著者の意見をいくつか述べる。
 その一。女性の下位職務への重い偏りや低賃金は、まず労務費コストを低く維持しながら企業内分業を安定的にルール化しようとする経営管理にはじまる。しかしその経営管理は、女性たちの反発や抵抗によって修正を受けるとはいえ、しばしば女性たちのなにがしかの主体的選択がこめられた「ジェンダー化された慣行」によって受容された上で定着する。このようなことから、職場のジェンダー差別に関する課題の一つは、どのような条件で客観的な状況が女たち自身によって告発されるかの解明である。
 その二。女性労働者はますます多様化し、いくつかの階層・グループとして存在する。階層・グループは、職業・年齢・雇用形態を基準にして生まれていて、女性労働者の非正社員は、ジェンダー差別再生産のもっとも中心的なものである。現在、女性労働者を一括する直接的な性差別の存立の余地を狭めながら、他方では女性労働者を顕著な業績を示した小数のエリートと、普通に働く多数のノンエリートに鋭く分化されつつある。

 二章 企業社会のジェンダー状況

1 女性労働者の分布
 非正社員比率と年収300万円未満比率(低賃金率)を見比べ「恵まれていない」程度を考える。すると職業別の違いを見ると、専門・技術職、事務職、販売職、サービス職、「技能工、採掘・製造・建設作業者及び労務作業者」(ブルーカラー)という順番で「恵まれていない」程度が高まっている。
 事務職女性労働者の最大勢力である。そのうちでは、正社員比率は80%近いとはいえ75%は年収300万円未満の20代が272万人で、この若い事務職、いわゆるOLは現代日本の女性労働者の一典型といえる。女性ブルーカラーは、年齢計で正社員比率が38%にすぎず、低賃金率が93%にものぼるもっとも「恵まれない」人々である。
 人数の点から言えば・年齢を通じてわりあい等質な専門・技術職(全体の15%)、・20代事務職(12%)、・40代と50代の事務職(13%)、そして・同じ年齢層のブルーカラー(13%)という、女性労働者の代表的グループを認めることができる。「恵まれている」順序は・・・・である。グループ間に共通する女性労働者の試練はむろんある。しかし性差別職務分離の存否、その度合いと形態、労働生活のなかでの主な関心、就業コースなどは、グループ間でかなり違う。

2 5つのライフヒストリー
★飯田裕美子さんのライフヒストリー★
飯田さんは通信社に入社し、ごくわずかしかいない女性社会部記者として働いている。社会部記者は夜の取材が多いので、1986年春施行の改正労働基準法が専門職の女性保護を撤廃するまでは、飯田さんも「夜討ち朝駆け」を「もぐり」でやるほかなかった。飯田さんは出産後も仕事を続けている。仕事を続けることが出来たのは、同じ通信社に勤める夫と、夫の連れ子が家事を手伝ってくれるなどの条件に恵まれていたからである。
★高村由美(仮名)さんのライフヒストリー★
 高村さんは高校卒業後、住友金属工業に入社した。しかし、入社4年目に入るとすぐに退社してしまった。それは「より高度な課題に挑戦しやりとげ、自分の成長を実感する喜び」が職場生活の中になかったからである。職場では能力や意欲にかかわらず、男性社員の補助業務とお茶汲みなどの雑務を笑顔でこなすことが女性社員に求められる役割であった。やりがいのない仕事への緊縛だけでなく、収入の低いことも退社の理由の一つである。
★田代真弓(仮名)さんのライフヒストリー★
 田代さんは大学を卒業後、大手の旅行会社に就職した。しかし、入社してから7年で退社してしまった。その理由は性別職務分離が明瞭で女性の仕事が補助業務限定されていたということや、低賃金であるからとかいうことではない。本当の理由は勤続とともにますます重くなる「目標」(ノルマ)を果たすことの心労であった。数字を考えると胃が痛んだ。それにどこまで耐えてゆけるか自信が持てなかったのである。
★矢谷康子さんのライフヒストリー★
 矢谷さんは高校卒業後、地元のトップ企業住友化学工業に就職した。住友化学工業では、どんなに仕事ができても勤続年数を重ねても、矢谷さんのする仕事は男性のする「企画開発職・専門職」とは峻別された「主務職・基幹職」にすぎないと低く格付け、昇格を認めなかった。それでも矢谷さんは退社することなく働きつづけたが、昇格と賃金の女性差別を告発する闘いに入っていき、在職しながら住友化学工業の性差別を告発する裁判の原告となり、裁判闘争に踏み込ませた。
★西川明子(仮名)さんのライフヒストリー★
 西川さんは中学卒業後、集団就職で大阪の森田電工に就職した。8年間勤続したのち、結婚して出産をし、子供を預かってくれるところがなかったので森田電工を退職した。その後、子供が大きくなり西川さんはまた働きたいと申し出たが、森田電工は西川さんを正社員として採用しなかった。しかし西川さんはパートとして森田電工で働くことにした。パートと正社員では、仕事内容も労働時間も同じなのに処遇が全く違った。そんな中、西川さんはパート組合に入ったが、結局最後には会社に疎まれリストラされてしまった。しかし、会社の言うがままにならないと1999年の時点で闘いは続いている。

3 職場のジェンダー・今日の特徴
 企業社会のジェンダー状況は、男女雇用機会均等法および労働基準法の改正と、年功序列の外枠をようやく本格的にうちこわしつつある日本的な能力主義管理の強化と、加速度的に進行する非正社員「活用」の雇用管理という、三者の出会いによってその今日的な特徴を与えられている。
 均等法や労基法の改正により、募集、採用、配置、昇進の性差別が禁止となり、日本的な能力主義管理の強化により、女性もノルマの厳しい仕事に就くことができるようになり、非正社員「活用」の雇用管理により、多くの働く女性が非正社員化する傾向がでてきた。非正社員化することで、「女だから低い処遇」が「非正社員のパートだから低い処遇」に置換されることで、実質上の性差別が生き残るといってもよい。

4 非正社員の状況
 非正社員の中には「パートタイマー」「派遣労働者」「契約労働者」などがある。今日の女性非正社員は総じて、正社員の職務から外された定型的な労働すべてを引き受ける傾向にあるけれども、それだけに常用の基幹労働者にもなりつつある。
 パートタイマーにとって、女性パートにと正社員の賃金格差は長期的にみて拡大傾向にあることや、長時間パートを主対象として能力や働きぶりを査定して昇格・昇進させる能力主義管理が強まっていることや、従来は契約期間の定めがなかった長時間パートの一定部分を、有期契約の、より短時間のパートに変えてゆく傾向や、これからは、主婦パートよりは学生アルバイトおよびフリーターと派遣契約労働者のほうが増えてゆくなどの問題がある。
 派遣契約労働者にとっては、賃金が減少してきていることや、賃金、労働時間、休暇などの労働条件が全般にわたって多少とも約束や契約と食い違っていることや、雇用保障と収入安定の見通しが問題である。

5 正社員の界隈
 パートタイムなどの非正社員でない正社員の女性でも応募はできるが採用はされない、総合職を志望はできるが配属はされない、「企画・専門職」グレードへの昇格申請はできるが実現はしないや賃金の面でも性差別がある。しかし、それらの差別は直接的ではなく、間接的に行われている。
 以前のように従業員の選別する主要な基準が性そのものから「能力」査定に変わっているので、建前上は性に中立的な能力基準による選別を行ってはいるが、女性は「家庭責任」を負っており、長時間の残業や、頻繁な転勤ができないや、定型的または補助的な仕事をするキャリア展開の乏しいコースに適しているとみなされ、そこに強力に誘導されている。

 三章 「男の仕事」・「女の仕事」

1 「女性の特質・感性」とはなにか
 均等法や労基法の改正により女性の職域はいくらか拡大した。しかし、それらは女性の深夜業が解禁になったことが多いに関係しており、企業は「女性の特質・感性」とは、・補助的または定型的業務に適していること、・男の顧客の気を惹き女の顧客を安心させるようなやさしくソフトな接遇ができること、と考えているので決して女性が管理職に就いたり、総合職に就くといった職域拡大ではない。企業社会の内なる女性は今でも総じて幅広い知識のいる企画や開発、「度胸」と決断のいる大きな取引き、危機管理的な対応、予算必達の営業、そして個人的感情にとらわれてはならぬ人的管理などには「向かない」とみなされ、これらの「総合職的」業務から排除されているということができる。

2 性別職務分野の職場
 ブルーカラーは女性労働者の第2の大職業グループである。ブルーカラーの中高年化が進んでいる。それは若い女性があまり工場で働かないということが関係している。そのため中高年主婦のパートタイマーが中心である。以前はブルーカラーの特徴である「古典的単純作業」は国内の女性の仕事であったが、最近ではその仕事は海外の女性のものになり、職場のジェンダーはグローバルな展開をとげている。ブルーカラー以外の職務においても女性の仕事は限定されており、男性社員との賃金格差もみられた。

3 性別職務分離の論理
 性別職務分離こそ間接差別の基礎になっている。性別職務分離の原因は、産業社会における労働力の需要と管理のニーズというものが果す役割を出発点とする。より具体的には分業と配置に関する経営の論理をみつめることにはじまる。
 人々が分業と配置に関する経営のニーズを満たすような下位職務の専担者として労働市場に登場するには、次の2つの条件がある。・長年の貧困や失業の体験、あるいは高度な仕事の無経験などによって、就業さえできれば仕事の内容はさして重要ではないと考えている、または考えさせられているとき・下位職務の遂行がただ経過的なものと意識されているときである。


4 それはなぜ女性なのか
 今日でもなお、あるいは今日ではあらためて、多くの女性たちは、経営の論理を体現する男たちによって下位職務のもっとも安定的な担い手と期待されている。彼女らはそれなりの労働体験と経過的な就業志向から、一般に男たちよりは仕事のなかみの貧しさをそれほどは苦にしない労働者とみなされているからだ。これらは女性に対する偏見であるが、偏見にもそれなりの正当化論がある。1つは男と女にはそれぞれに適した仕事があるという適性論である。適性論では職場のジェンダー論も結局は慣行・文化のジェンダーは避けて通れないことである。もう1つの正当化論は稼得労働の位置づけに関する男女の違いの指摘である。男性が主要な稼ぎ手、女性は家事の責任者という考えから、家事を担う女性は男性よりも、稼得労働においても経過的であり、したがって低位・低賃金の仕事にもそれなりに満足できるはずであるという考えがでてくる。

 四章 女性たち自身の適応と選択

1 ジェンダー意識の一般状況
 ジェンダー意識は一般的にみて、職務の性タイプわけ、性別役割分業論、女の望ましい就業コース論などを、現代日本の女性がどれほど受容しているかの秤量である。
 一般的に昔よりは、これは女の仕事、これは男の仕事というような考え方は薄れてきており、家事も女だけがするものでないという考えも増えてきてはいるが、まだまだそういった考えを持っている人も多数いるというのが現状である。また、総合職を希望するような女性も少なく、女性が総合職は残業や転勤があり、家事の時間がなくなる等の理由で募集しても、人が集まらないという現実がある。

2  専門職とOL―若い女性たち
 専門職の女性の働く組織はふつう一般のオフィスよりははるかにフラットな構造であり、彼女らは事務職の一般職よりははるかに、自分の仕事の進め方に関する裁量権に恵まれているといったように、ジェンダー差別を比較的まぬかれた働き方ができるのに対し、事務職の一般職であるOLたちは、ジェンダー差別を受けている。そこでOLたちはジェンダー差別を逆手にとるかたちの「レジスタンス」を試みることにした。企業が一般職のOLをも戦力化の対象として、OLの仕事をいくぶんか個人別に特化させ、作業管理をつよめるようになるといったような、職場の変化にともないOLも分化してきた。

3  分岐の諸相
 30代前半は女性労働の個人史における最大の転機である。仕事の質や量が個人間で多様化し、また家事と育児の負担がもっとも重くなる時期であるからである。この時結婚していることや子供がいるといったことで、その後の仕事の続け方に違いが見られ、結婚していたり、子供がいる方が仕事を続けていくことが困難であるため、結婚をしない女性や子供を出産しない女性労働者が増えている。
 中年世代では正社員とパートに分けて考える。まず中年世代の正社員は男性職務につきたいと考える人は少なく、性別職務分離はどうしても動かしがたいという認識がある。中年世代のパートタイマーは性別職務分離だけではなく、正社員とパートの処遇の違いなどに対しても強く不満を持っている。

4  ジェンダー意識の多様性と変化
 性別職務分離は第1に、経営組織上の下位職務にほぼ平行移動できるような「女に適した仕事があるということへの幾重もの正当化、第2に、世帯の主要な稼ぎ手は男であり、女は補助的な稼ぎ手になってもよいがあくまで家事・育児の専担者であるべきだという通念には多様性がみられる。
 男女の共生は難しいものがあるが、女性のジェンダーの論理と現実に対する妥協と、欲求を調節した上での納得があって始めて実現する。

五章 ジェンダー差別に対抗する営み

1  職場の性差別に対抗する思想
 企業社会に対する抗いは、働く女性自身の心のなかに状況に反発する発条が用意されなければ、なにもはじまりはしない。企業ジェンダーに対抗するいくつかの営みを提起する。・女性が働き続けやすい職場、男女混合職場の制度と雰囲気をつくること、・性別職務分離の下にあっても女性賃金の著しい低落を防ぎうる、ペイ・エクイティという枢要の実践、・非正社員の安易な活用の規則とペイ・エクイティにもとづく待遇の改善、そしてパートタイムという働き方のノーマル化である。

2  職場の性差別に対抗する手段
 ごく一般的にいって、職場のジェンダーに抗う方法・手段として、私達はとりあえず、労働法の制定または改正、労働委員会、機会均等調停委員会、裁判所などへの提訴、そして女性労働者の悩みを話し合うことのできる自治的なネットワーク形成を基礎とした労働組合運動の3つを思い浮かべることができる。それぞれには強みも弱味も存在する。

3  女性が働き続けられる職場
 男女混合職場の続出こそがあらゆる可能性の源となる。男女混合職場が増えることで、男性もいままでは女性ばかりに押し付けていた家事や育児の大変さを知ることができ、家事や育児に協力的になることで女性は今まで以上に働くことができ、またそういった職場が増えることで、性差別や正社員・非正社員の差別が薄れていく。そうなることで女性は働き続けることができるようになる。

4  ペイ・エクイティの試み
 ペイ・エクイティとは同一労働同一賃金ということであり、この要求原則は明瞭な性別職務分離のもとで女の仕事につく女性の賃金が非常に低くなる状況を改善することはできないものであった。ペイ・エクイティこそは、いま女性労働者の全階層がもっとも共通のニーズとする賃金政策である。現時点では男の仕事と女の仕事の賃金格差は100対60とする。しかしそれぞれの仕事に求められる技能・知識、精神的および肉体的な労苦、責任などは公平に秤量してみれば、両者の職務価値の差は100対80あるいは100対100になるかもしれない。ペイ・エクイティが浸透することで男女の賃金格差はなくなっていく。

5 パートタイマーの明日
 パートタイマーが必要としている制度は、・進行しつつあるパートタイマーの有期契約化を規制する緊急の必要性。・パートと正社員の間の賃金格差の適否をはるかに際しても、ペイ・エクイティの原則が適用されなければならない。・男女労働者ともに、フルタイムがパートに、パートがフルタイムに転換できる制度の獲得である。

コメント:略

 

紹介:長谷川清の(立命館大学政策科学部2回生)

1章 女性労働を見る視点
1.  女性労働
2.  私の関心と方法
2章  企業社会のジェンダー状況
1.  女性労働者の分布
2.  5つのライフヒストリー
3.  職場のジェンダー・今日の特徴
4.  非社員の状況
5.  正社員の界隈
3章  「4章  男の仕事」5章  「6章  女の仕事」7章  
1.「女性の特質・感性」とは何か
2.性別職務分離の論理
3.それはなぜ女性なのか
4章  女性たち自身の適応と選択
1.  ジェンダー意識の一般状況
2.  専門職とOL
3.  分岐の諸相
4.  ジェンダー意識の多様化と変化
5章  ジェンダー差別に対抗する営み
1.  職場の性差別に対する思想
2.  職場の性差別に対抗する手段
3.  女性が働き続けられる職場
4.  ペイ・エクイティの試み
5.  パートタイマーの明日


1章  女性労働を見る視点

1. 女性労働
  「三位一体」という日本の女性達の多くは長らく、短い勤務、定型的または補助的な仕事、そして低賃金という、三要因の連動する職場の中を働き継いできた。「三位一体」はもちろん、職場では「ビジネスの成否を決める判断業務に携わる男」と「男の影で支えて作業する女」の共同という、男は専門的、女は補助的な仕事という枠ができている。女性労働は男女機会均等法で若干の前進は見せたが、まだ女性の労働者が差別を受けて過去と変わっていないことが挙げられている。
2.私の関心と方法
  女性の下位職務への偏りや低賃金は、労費コストを低く維持しながら企業内を安定的する経営管理である。しかし、これは女性労働者から反発があっても、結局「ジェンダー化された慣行」によって受容され定着する。次に女性労働者は多様化し、「恵まれた」仕事についている人も存在するが、このなかでもまたいくつかの階層・グループに分けられている。これらのグループは職業、年齢、雇用形態(正社員あるいは非正社員)が規定的な基準のように思われる。

2章  企業社会のジェンダー状況

1.女性労働者の分布
  「恵まれていない」程度の基準・・・非正社員比率と年収300万円未満比率と考えると、専門・技術職、事務職、販売職、サービス職、技能工・製造・建設作業者及び労務作業者という順番で「恵まれない」程度が高まっていくと考えられる。
A:年齢を通じて割合均質な専門・技術職(全体の15%)
B:20代事務職(12%)
C:40代と50代事務職(13%)
D:40代50代のブルーカラー

2. 5つのライフヒストリー
  前節でのグループの代表的な女性労働者の体験談が掲載されている。一人目は共同通信社で社会部の記者をしている女性でのAグループにあたる。共同通信社に入社して以来、社会部記者として働いてきた。女性記者の数は記者総数のうち約8%。新聞社の社会部のデスクは一般に男の領域のようである(p30)。二人目はBのグループにあたる住友金属工業の事務女性社員である。彼女は職場の状況が長く勤めても給料は上がらず、やり応えのある仕事も与えてもらえないためにわずか4年で退職をした。日常の仕事は頼まれた文章のワープロ、コピー、勤怠管理、会議の準備など補助業務と雑務に限定されていた。三人目は大手の旅行代理店勤務の女性でグループとしては前と同じくBにあたる。彼女は厳しいノルマに対するプレッシャーに耐え切れずに入社七年後に退職をしている。この会社は、仕事の面で男女間で内容に大差がなかった。四人目はグループCにあたる女性で住友化学工業の事務職である。彼女は自身の昇給の遅さに対して住友系他社の人と性差別を告発する裁判を起こし告発した。五人目は女性パートタイマーでグループDにあたる女性である。彼女はパート労働組合で会社に対してパートの待遇改善を訴えつづけてきたが1998年に経営不振のための人員削減を理由に不当解雇された。彼女達はパートタイマーとして仕事をしながら働いていたが提訴をおこし、戦いに勝ち正社員としての採用を認めさせた。

3. 職場のジェンダー・今日の特
  企業社会のジェンダー状況は、男女雇用機会均等法および労働基準法の改正と、日本的な能力主義管理の強化と、加速度的に進行する非正社員「活用」の雇用管理という、三者の出会いによってその今日を見返っている。 均等法や労基法の改正により、募集、採用、配置、昇進の性差別が禁止となる。また、日本的な能力主義管理の強化により、女性もノルマの厳しい仕事に就くことができ、非正社員「活用」の雇用管理により、多くの働く女性が非正社員化する傾向がでてきた。

4. 非社員の状況
  非正社員の中には「パートタイマー」「派遣労働者」「契約労働者」などがある。パートタイマーにとって、女性パートにと正社員の賃金格差は長期的にみて拡大傾向にある。長時間パートを主対象として能力や働きぶりを査定して昇格・昇進させる能力主義管理が強まる。契約期間の定めがなかった長時間パートの一定部分を、有期契約で短時間のパートに変えてゆく傾向に向かう。これからは、主婦パートよりは学生アルバイトおよびフリーターと派遣契約労働者のほうが増えてゆくなどの問題がある。派遣契約労働者にとっては、賃金が減少してきていることや、賃金、労働時間、休暇などの労働条件が全般にわたって多少、約束や契約と食い違っていることや、雇用保障と収入安定の見通しが問題である。

5. 正社員の界隈
  パートタイムなどの非正社員でない正社員の女性でも応募はできるが採用はされない、総合職を志望はできるが配属はされない、「企画・専門職」グレードへの昇格申請はできるが実現はしないや賃金の面でも性差別がある。以前のように従業員の選別する主要な基準が性そのものから「能力」査定に変わっているが、女性は「家庭責任」を負っており、長時間の残業や、頻繁な転勤ができないや、定型的または補助的な仕事をするキャリア展開の乏しいコースに適しているとみなされ、そこに強力に誘導されている。

3章  「男の仕事」・「女の仕事」

1.「女性の特質・感性」とは何か
  均等法や労基法の改正により女性の職域はいくらか拡大した。しかしその増加とともに増えているのが「女性の特質・感性を生かせる職場」へ配置させる考えである(p89)。この「女性の特質・感性」を経営者は補助的・定型的業務とソフトな接客への適正としている。これらの仕事への女性の適正は女性が「ノルマ達成の迫力に欠ける」「統率力がない」「飛躍的な発想が苦手」(p94)であるためにこれらの「総合職的」業務から排除されているということである。

2 性別職務分野の職場
  現在の女性ブルーカラーは製造業において基幹労働者となるほどの数を占めていてその業務は主に40~50代の女性によって担われている、これは膨大な繰り返しの業務が若い女性が働かない中高年のパートタイマーに適しているとみなされているからである。それは若い女性があまり工場で働かないということが関係している。そのため中高年主婦のパートタイマーが中心である。以前はブルーカラーの特徴である「古典的単純作業」は国内の女性の仕事であったが、最近ではその仕事は海外の女性のものになり、職場のジェンダーはグローバルな展開をとげている。ブルーカラー以外の職務においても女性の仕事は限定されており、男性社員との賃金格差もみられた。しかも最近ではこの業務は第三世界の女性へとゆだねられつつある(p101~103)。ブルーカラーと同じく女性労働の大職業グループとなっている広義OLの場合は三十代の女性は半数以上が職場での男女差別を感じている。これは、長い間継続して勤務しても責任のある仕事を任せられずに補助的な実務などの社内通達のメール発信、お茶組み、書類保管、庶務の仕事しか与えられていない実態があるためである。そしてその背後には「女の仕事」を排他的に割り当てる牢固な伝統があることで、OLを育てることを会社がしようとしないことがある。日本のオフィスでは職務によってジェンダー問題の管理を取ろうとはしていないことが、イギリスの職務による管理を見ることでよくわかる(p113)。

3.性別職務分離の論理
  性別職務分離こそ間接差別の基礎になっている。性別職務分離の原因は、産業社会における労働力の需要と管理のニーズというものが果す役割を出発点とする。より具体的には分業と配置に関する経営の論理をみつめることにはじまる。下位の仕事へのニーズは「安定条件」=下位の仕事を経過的なものとしてみている、仕事内容は関係なく、働ければいいと考えている時に適合するときに発生する(p120)。この「安定条件」の基準は学歴、勤続、人種、国籍、そして性であって時代とともに変化してきている。人々が分業と配置に関する経営のニーズを満たすような下位職務の専担者として労働市場に登場するには、長年の貧困や失業の体験、あるいは高度な仕事の無経験などによって、就業さえできれば仕事の内容はさして重要ではないと考えている、または考えさせられているとき・下位職務の遂行がただ経過的なものと意識されているときである。

4.それはなぜ女性なのか
  多くの女性たちは、経営の論理を体現する男たちによって下位職務のもっとも安定的な担い手と期待されている。彼女らはそれなりの労働体験と経過的な就業志向から、一般に男たちよりは仕事のなかみの貧しさをそれほどは苦にしない労働者とみなされているからだ。1つは男と女にはそれぞれに適した仕事があるという適性論である。適性論では職場のジェンダー論も結局は慣行・文化のジェンダーは避けて通れないことである。もう1つの正当化論は稼得労働の位置づけに関する男女の違いの指摘である。男性が主要な稼ぎ手、女性は家事の責任者という考えから、家事を担う女性は男性よりも、稼得労働においても経過的であり、したがって低位・低賃金の仕事にもそれなりに満足できるはずであるという考えがでてくる。

4章 女性たち自身の適応と選択

1.ジェンダー意識の一般状況
  ジェンダー意識は一般的にみて、職務の性タイプわけ、性別役割分業論、女の望ましい就業コース論などである。一般的に昔よりは、これは女の仕事、これは男の仕事というような考え方は薄れてきている。しかし、家事も女だけがするものでないという考えも増えてきてはいるが、まだそういった考えを持っている人も多数いるというのが現状である。また、総合職を希望するような女性も少なく、女性が総合職は残業や転勤があり、家事の時間がなくなる等の理由で募集しても、人が集まらないという現実がある。

2. 専門職とOL
  専門職の女性の働く組織はふつう一般のオフィスよりははるかにフラットな構造であり、彼女らは事務職の一般職よりははるかに、自分の仕事の進め方に関する裁量権に恵まれているといったように、ジェンダー差別を比較的まぬかれた働き方ができる。逆に事務職の一般職であるOLたちは、ジェンダー差別を受けている。そこでOLたちはジェンダー差別を逆手にとるかたちの「レジスタンス」を試みる。企業が一般職のOLをも戦力化の対象として、OLの仕事を少しでも個人別に特化させ、作業管理をつよめるようになるといったような、職場の変化にともないOLも分化した。

3.分岐の諸相
  30代前半は女性労働における最大の転機である。仕事の質や量が個人間で多様化し、また家事と育児の負担がもっとも重くなる時期であるからである。この時結婚していることや子供がいるといったことで、その後の仕事の続け方に違いが見られ、結婚していたり、子供がいると仕事を続けていくことが困難であるため、結婚をしない女性や子供を出産しない女性労働者が増えている。中年世代では正社員とパートに分けて考える。

4.ジェンダー意識の多様化と変化
  性別職務分離は経営組織上の下位職務にほぼ平行移動できるような女に適した仕事があるということへの幾重もの正当化であり世帯の主要な稼ぎ手は男であり、女は補助的な稼ぎ手になってもよいがあくまで家事・育児の専担者であるべきだという通念には多様性がみられる。

5章 ジェンダー差別に対抗する営み

1.職場の性差別に対する思想
  企業社会に対する抗いは、働く女性自身の心のなかに状況に反発する心があるから反発してしまう。企業ジェンダーに対抗するいくつかの営みを提起する。女性が働き続けやすい職場、男女混合職場の制度と雰囲気をつくること、性別職務分離の下にあっても女性賃金の著しい低落を防ぎうる、ペイ・エクイティという枢要の実践、非正社員の安易な活用の規則とペイ・エクイティにもとづく待遇の改善、そしてパートタイムという働き方のノーマル化である。

2.職場の性差別に対抗する手段
  ごく一般的にいって、職場のジェンダーに抗う方法・手段として、私達はとりあえず、労働法の制定または改正、労働委員会、機会均等調停委員会、裁判所などへの提訴、そして女性労働者の悩みを話し合うことのできる自治的なネットワーク形成を基礎とした労働組合運動の3つがある。それぞれには良い悪いが存在する。

3.女性が働き続けられる職場
  男女混合職場の続出こそがあらゆる可能性の源である。男女混合職場が増えることで、男性もいままでは女性ばかりに押し付けていた家事や育児の大変さを知り、家事や育児に協力的になることで女性は今まで以上に働くことができ、またそういった職場が増えることで、性差別や正社員・非正社員の差別がなくなっていく。そうなることで女性は働き続け、仕事に楽しさを増してくる。

4.ペイ・エクイティの試み
  ペイ・エクイティとは同一労働同一賃金ということであり、この要求原則は明瞭な性別職務分離のもとで女の仕事につく女性の賃金が非常に低くなる状況を改善することはできないものである。ペイ・エクイティは、いま女性労働者の全階層がもっとも共通のニーズとする賃金政策である。現時点では男の仕事と女の仕事の賃金格差は100対60。しかしそれぞれの仕事に求められる技能・知識、精神的および肉体的な労苦、責任などは公平に秤量してみれば、両者の職務価値の差は100対80あるいは100対100になるかもしれない。ペイ・エクティの原則は、職務価値の差によるもの以外の賃金格差を拒み、現状の賃金格差を前者の場合は100対80に、後者の場合はゼロにすることを求め、性によって分離された女性職の賃金を上昇させるためである。

5.パートタイマーの明日
  パートタイマーが必要としている制度は、進行しつつあるパートタイマーの有期契約化を規制する緊急の必要性。パートと正社員の間の賃金格差の適否をはるかに際しても、ペイ・エクイティの原則が適用されなければならない。日本では、パートは労働時間が短いだけでなく「雇用管理区分」を異にする非正社員であり、すべての待遇が異なって当然であるという産業社会の通念がまだゆるぎないからである。男女労働者ともに、フルタイムがパートに、パートがフルタイムに転換できる制度の獲得である。

『女性労働と企業社会』著者:熊沢 誠 2000.10.20 岩波新書

コメント:私の中では仕事の中の女性差別はあってもしょうがないことだと感じていた。なぜならば、育児休暇などどうしても仕事から離れなくてはならないこともあるからである。しかし、現在は大手企業でも育児休暇を得た後でも職場復帰できるように現状の職場の状態や様子をメールやネットを通じて休暇中の女性に配信するという設備も行われている。そのような中で、やはり差別と感じてしまうことは昔ながらの働きの差別だと思っていた。しかし、日本の雇用状態も変わりつつある。パートタイマーの人や登録社員が増える中で女性差別は少なくなってきていると改めて感じた。男女混合職場が増えることで、男性もいままでは女性ばかりに押し付けていた家事や育児の大変さを知り、家事や育児に協力的になることで女性は今まで以上に働くことができる。そういった環境作りも大切である。また、欧米諸国のように男女差の育児などの比率を減らせれるような状態も作っていくことが大切であろう。

■書評・紹介

■言及



*作成:大橋 三千(立命館大学政策科学部3回生:当時)
UP:20020718(大橋 三千) REV:20020721(吉浦 梓・村上 和史), 20020811(伊藤 智名美・長谷川 清の), 20040205, 20170218(岩ア 弘泰).
労働 女性の労働・家事労働・性別分業  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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