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『気持ちのいい看護』

宮古 あずさ 20000915 医学書院,シリーズ・ケアをひらく,214p.


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宮古 あずさ 20000915 『気持ちのいい看護』, 医学書院,シリーズ・ケアをひらく,214p. ISBN-10: 4260330888 ISBN-13: 978-4260330886 2100 [amazon][kinokuniya] ※ n04.
 http://www.igaku-shoin.co.jp

1 ケアの語りにくさを語る言葉
 1 『ライフサポート』への違和感から
 2 働くほどわからなくなる看護の価値
 3 看護を語らせない圧力
 4 趣味としてのケア、義務としてのケア
 5 私流「ケア論」の読み方
 6 「ケアする自分」にとっての書くこと
2 ケアを仕事とすることの困難
 1 看護/それは自責との闘い
 2 なぜ話を聞くのがつらいか
 3 ケアされながらケアする
 4 デフォルメ化された専門性
 5 専門職と制服
 6 専門教育はコンパクトに
    完成品をつくる発想のあやうさ
    長く学生をやりすぎるとどうなるか――医師という実例
    看護学部を六年にしろと言われたら……
3 ケアするものの発達過程
 1 五年前の宿題
 2 同情と共感は紙一重
 3 亀の甲より年の功
 4 それは鼻毛から始まった
 5 瞬間芸と熟練の技
4 「世の中」の中のケア
 1 「障害者」という言葉のトラウマを越えて
 2 たまたまの不運としての障害と病気
 3 普通の人がケアする時代
    非常識な人々
    人間としてレベルが低すぎるだけの話
    「医師にあるまじき」がつくる特権意識
    「気概なき良心」は可能か
 4 コンビニ・ケイタイ時代のケア
 5 医療ミスはなくせるか

■編集者・白石正明による紹介

内容紹介

題名:気持ちのいい看護 《シリーズ・ケアをひらく》
著者:宮子 あずさ(東京厚生年金病院・看護婦)
定価:2,100円+税
仕様:A5・タテ組・220ページ

 "元気の出る"看護エッセイで人気の宮子あずさ氏はじめての「本格的看護論集」。気合いの入り方がちがいます。中身もかなりハード。たとえば『ライフサポート』にはじまる業界内「看護を語る」ブームについて、
 「語られやすいところが語られているだけというこのむなしさを、私は抑えられないのです。……看護の勝利が自慢話をしてわかりやすく語られるのは、とてもこわいことです。なぜならそこでは、結果の出なかった看護は負けた看護として、多くの患者さんとともに切り捨てられるからです」(p.026〜027)
と正面から違和感を表明します。
 医学は基本的に「ああすればこうなる」という因果関係で語られる〈理科系〉の世界です。しかし病気をかかえた「人」をみる看護は、「あれもあればこれもある」というように、矛盾した二者が同時に存在する〈文科系〉の世界。その「語りにくさ」にこだわらずして看護は語れない、という著者の決意表明なのかもしれません。
 著者はこの2月、御尊父を亡くされました。最期のとき、泣きながら蘇生の中止を願い出た著者に対し、そばにいた婦長は著者を抱きかかえて励ましてくれます。一方、最終的に判断をまかされる立場になった医師は「まだ温かいから、もう少しがんばろう」とその後もうしばらく蘇生が続けられた後、亡くなりました。
 表面的に見れば、私の後押しをしてくれた婦長さんと、蘇生の続行を説得した医師とでは、反対のことを言っているようにみえます。しかし、そのいずれの方々も、私がつらくならないことをしてくださったと思うのです。……「あなたの気持ちがお父さんの気持ちなのよ」その(婦長の)言葉が、私の罪悪感をどれほど軽くしたかわかりません。しかしその一方で、私は即中止を決めなかった医師にも感謝しているのです。彼がもうひとがんばりしてくれたおかげで、私は「やるだけやってもだめだった」と心から思うことができました。(p.208)
 正解は一つではない。ここからスタートしない看護論はどこかむなしいし、なにより「使えない」。禁を破って(?)、この当たり前のことを当たり前のように語ってしまった働く人のための看護論――それが本書です。

    [編集担当]医学書院看護出版部:白石正明
          TEL 03-3817-5785 FAX 03-5804-0485
          e-mail:m-shiraishi@igaku-shoin.co.jp
    [購入問合せ]医学書院販売部:TEL 03-3817-5657


UP:20041111 REV:20080623(ファイル分離)
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