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『ケア学――越境するケアへ』

広井良典 20000915 医学書院,268p. 2415


 製作:植村要青木慎太朗

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広井良典 20000915 『ケア学――越境するケアへ』,医学書院,268p. ISBN:426033087X 2,415 [amazon][kinokuniya][kinokuniya] ※ c04

■編集者・白石正明による紹介

題名:ケア学――越境するケアへ 《シリーズ・ケアをひらく》
著者:広井良典(千葉大学法経学部・助教授)
定価:2,300円+税
仕様:A5・タテ組・272ページ

 〈ケア〉ということばが注目されて久しいところです。しかし「ケアとは何か」という問いに答えるのは、そう簡単なことではありません。医学・看護学・社会福祉学等々をはじめさまざまな領域で〈ケア〉について論究されますが、その姿を十全にとらえているとはいえないでしょう。むしろどの学問分野の小さな窓から見ても、その姿はいつもフレームはみ出している、との思いを深くするばかりです。
 「そもそも一つの窓から〈ケア〉を規定しようとすること自体がまちがいなのではないか」と考える著者によって成された新しいケア論――それが本書です。医学・看護学・社会福祉学・哲学・宗教学・経済・制度等々の垣根を次々と飛び越え、"越境"していきます。
 なかでも第V章「老人・子ども・ケア」においては「人間の三世代モデル」という切り口から〈コミュニティ〉〈自然〉といったテーマに足を踏み入れつつ、次のように語ります。
 「私は学生のころからつい最近まで、カウンセリングとか心理療法といったものを一貫して「1対1モデル」で考えてきたように思う。ところが2、3年ほど前から「コミュニティ」という、それまで私のなかで重要な位置を占めていなかったコンセプトがさまざまなところで意味をもつようになり、いまでは逆に1対1モデル――たとえばすぐれた援助者がクライエントを(見事に)「治す」といったイメージ――は、いわば近代主義的な誤った発想であるとさえ思うようになった。」(「あとがき」より)

 では、ケアというきわめて複雑な営みを、その複雑さのままに把握しようとする著者の鋭利かつ構成力に満ちた論究をお楽しみください。

★「ケア学」の名にふさわしく、巻末に文献案内をつけました(「ケア」について考えるためのブックガイド)。哲学から政策まで、約120冊。まさに"越境的"な文献選択です。1行解説も楽しめます。

 [編集担当]医学書院看護出版部:白石正明 TEL 03-3817-5785 FAX 03-5804-0485
       e-mail:m-shiraishi@igaku-shoin.co.jp
 [購入問合せ]医学書院販売部:TEL 03-3817-5657


■目次

はじめに 3

T ケア学の必要性 13
1 ケアすることの意味 14
2 ケアのモデル/越境するケア 34

U サイエンスとしての医療とケアとしての医療 55
医療モデルの意義と限界
1 複雑系・ E B M・標準化 57
2 病いのエコロジー 65

V 老人・子ども・ケア 91
生活モデルの新たな展開
1 人間の三世代モデル 93
2 老人の時間と子どもの時間 104
3 コミュニティそして自然 116

W 超高齢化時代の死生観とターミナルケア――スピリチュアリティの次元 133
1 これからのターミナルケアへの視点 135
2 超高齢化時代におけるターミナルケア 144
3 ターミナルケアと死生観 155
4 深層の時間とターミナルケア 168

X ケアにおける医療と福祉 183
1 医療・福祉職種の役割分担 185
2 医療保険と介護保険の関係 202

Y ケアと経済社会 223
1 看護の経済的評価 225
2 ケアの市場化と社会保障 238

参考文献 「ケア」について考えるためのブックガイド 261
あとがき 263

■引用

W 超高齢化時代の死生観とターミナルケア――スピリチュアリティの次元 133
1 これからのターミナルケアへの視点 135
2 超高齢化時代におけるターミナルケア 144
 「これからの時代においては、”長期にわたる介護の延長線上”にあるような看取りが大きく増加し、そのような場合には、狭義の医療のみならず、介護など生活面のサービス、家族への支援を含めたソーシャル・サポートといったものの重要性が非常に大きくなる。したがってこれからのターミナルケアにおいては、医療と福祉(+心理)の連携を含めたより総合的なアプローチが求められていると思われる。こうした問題意識から、筆者らは数年前、「福祉のターミナルケア」と題する国内外の調査研究をおこない、調査結果と提言を報告書としてまとめた。」(広井[2000:144])
 →『福祉のターミナルケア』
 「がんのターミナルケアについては、関連学会も多く設立され、医療技術面を中心に多くの知見や議論の蓄積がなされてきた。これと同様のことが、今後は高齢者のターミナルケアに関してもおこなわれていくべきであろう。そうした意味では、たとえば筆者も一度参加する機会があった、「老人の専門医療を考える会」主催の一般人も含めた公開シンポジウムのような試みは意義あるものと考えられるし、こうした議論は今後いっそおこなわれていくべきだろう。
 ちなみに同シンポジウムにおいて、中川薫氏(定山渓病院院長)は、高齢者のターミナルケアに関するいくつかの詳細な事例にそくした報告をおこなった後、「こうしたことを表立って議論することは、つい最近までほとんどタブーのよちうなことだったので事例紹介をすること自体に相当勇気が必要だった。しかし、今日の反応を見て、こうしたテーマをオープンに議論する期が熟してきているのを感じた」という趣旨のことを述べられていた。「後期高齢者の死亡の増加」という時代背景を踏まえれば、高齢者のターミナルケアに関する医療技術を検証し、その評価や透明化を図っていくことは時代の要請といえる。」(広井[2000:152])
 →『福祉のターミナルケア』
3 ターミナルケアと死生観 155
4 深層の時間とターミナルケア 168

■言及

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20070506
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