『不思議の天音(AMANE)――イノチの際で共に棲まう私たちの日々』
山口 平明 著・山口 ヒロミ 銅版画 20000620 ジャパンマシニスト社,245p. 1600
■山口 平明 著・山口 ヒロミ 銅版画 20000620 『不思議の天音(AMANE)――イノチの際で共に棲まう私たちの日々』,ジャパンマシニスト社,245p. ISBN-10: 4880491306 ISBN-13: 978-4880491301 1600 [amazon]/[kinokuniya] ※
■ジャパンマシニスト 松田さんより(に若干の追加情報)
初めてご連絡さしあげます。
このたび、小社より山口平明著・山口ヒロミ銅版画『不思議の天音(AMANE)−イノチの際で共に棲まう私たちの日々』を刊行いたしました。
……
刊行にともなって、東京・大阪などの書店内にて山口ヒロミさんの銅版画のミニギャラリーを企画しています。
ともにみなさまにご紹介いただけますと幸いです。
……
・判型/B5判変型・並製
・248P
・定価/(本体1600円+税)
・発行/2000年6月20日
・ミニギャラリー
/東京・青山・クレヨンハウス(7月20日〜8月10日)
*7月20日はヒロミ画伯来訪
大阪・クレヨンハウス (7月1日〜7月14日)
大阪・ジュンク堂大阪店(7月11日〜7月30日)
難波店(日程等は未定)
神戸店(日程等は未定)
〒413-0001 静岡県熱海市泉109-1 LM湯河原千歳川807
TEL: 0465-64-0887 FAX: 0465-64-0889
ジャパンマシニスト 松田博美
……以上……
◆「はじめに」全文
「今は昔。あんたのことは何でもわかっているよ、と母にいわれたとき、僕はじつに厭な気分になった。大人になっている自分が、にわかに小さな子どもになって母を見あげているように感じた。
わかってほしいと願っていたはずなのに、わかってますよといわれたとたんに「わかってたまるか」と反発したのだった。
ここには、およそ他人にはわかりえない自己が居る、と信じている私がいる。たとえ親であろうとも、おのれでさえいくら考えてもわからない自己をかんたんにわかられてたまるかっ、てね。
私たちのたった一人の子ども・天音は、生まれてから今日まで一九年間、誰にも理解されないままで暮らしてきた。ずっと家庭で暮らしをともにしてきた親ばかりでなく、その道の専門家であるお医者さんも「わからんねえ」とおっしゃる。言葉は通じない。天音の望を受けとめようとすると、ともに同じ家に住みともに時を過ごしていること、すなわち共棲/「在宅」だけがかすかな理解への入口になるはず。
天音という存在は、一個の大きな謎である。だいいちおしゃべりできなくとも、歩けなくても親をはじめ周りの人間の扶けによってしっかりと生きている。生きにくくて重い重い「障害」をもっているのに。天音がくりだすなぞなぞは、解らないままで棲み暮らす、人間という生き物の「あいまいさといいかげんさ」をさとらせる。相互扶助ないし相互共棲とでもいおうか。『不思議の天音』たる由縁である。
この本の文章は、大分県中津市で作家・松下竜一さんによって発行されている月刊「草の根通信」に、一九七七年三月号から九九年六月号にわたり連載執筆させてもらったもの。ここから編集者によって一九篇が選ばれ編まれた。妻・ヒロミの銅版画も連載時の順番をいれかえて収載できた。ここにきて、もしかして画だけが見られて文は読まれないのじゃないかと危ぶんでいる。
(二〇〇〇年六月記す。天音の誕生日だ。)」
*引用:立岩。ミスがあるかもしれません。
■言及
◆稲場 雅紀・山田 真・立岩 真也 2008/11/30 『流儀』,生活書院