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『21世紀日本のための税制改正――所得税の改革』

吉田 和男 20000413 大蔵財務協会,252p.


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■吉田 和男 20000413 『21世紀日本のための税制改正――所得税の改革』,大蔵財務協会,252p. ISBN-10: 4754706935 ISBN-13: 978-4754706937 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

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内容(「MARC」データベースより)
高齢化・少子化・低成長化…。山積する悪条件の中でどのような税制を選択すべきか、これは21世紀の国民一人一人の最大の課題でもある。鋭い洞察力で21世紀に向かって望まれる所得税の改革について論述を展開。

■引用

 「市場で分配された所得の補正によって「公平性」を追求しようとして、限界税率を高めて行けば、労働供給量が減少して生産が減少する。この程度は弾性値によって代わる[ママ]ことになる。
 […]
 労働供給が弾力的なときには、所得税は歪みを作ることになり、高い限界税率は望ましいことではなくなる。<0117<
 日本の特徴であるS字型の平均税率曲線の与える効果を考えると、低所得者の限界税率は低いために労働供給阻害効果は小さいが、ある水準から急に大きくなる。すなわち、ある水準を超えればもうそれ以上努力することは無意味になる。すなわち、ある程度の努力に対して保護が強いが、中所得層をこえるとそれ以上の努力は課税によって大きく阻害されることになる。これは中低所得者層の保護を行ってきた結果である。しかしながら、先に述べたような労働供給に与える効果を考慮した場合に適切な課税のルールに最も反したものになる。
 結局、戦後の日本が中流・中産階級化していくわけであるが、これを税制が促進することになる。いわゆる金持ちが消えて行くことになる[…]<0118<現実に総サラリーマン化する中で増大する中流・中産階級を保護すると共に、税制は人々に一定水準以上の努力、特に次に述べるリスクを伴う努力をさせない方向で作用することになる。これは日本型経営システムを維持するのには大きな作用を引き起こしたのは間違いのないところであろう。異常な努力をしてベンチャー・ビジネスを始めても失敗すれば借金だけで、成功すれば税金でもって行かれる社会では会社を飛び出そうとする者も少なくなる。雇用の安定というのも人手不足が続いた状況の下では、企業の側の努力と言うよりも労働者の選好の要因が重要であった。好景気の時に労働者が企業を飛び出しておれば日本型経営システムは維持できなくなる。しかしながら、これが今日の労働流動性を阻害して大きな問題を引き起こすことになっている。」(吉田[2000:117-119])


UP:20081112 REV:
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