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『高齢者ラベリングの社会学――老人差別の調査研究』

辻 正二 20000215 恒星社厚生閣,296p.

last update: 20101114

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■辻 正二 20000215 『高齢者ラベリングの社会学――老人差別の調査研究』,恒星社厚生閣,296p. ISBN-10: 4769909071 ISBN-13: 978-4769909071 \4200+税  [amazon][kinokuniya]

■内容

 本書は、社会学の理論でいうと、相互作用論やラベリング論という文脈での研究作業である。ただ、資料の多くは、アンケート型の調査データを利用している。 その点では、実証的な方法から得られたデータを使った、ラベリング差別論の視点からの老人化研究となっている。 相互作用論と実証主義の双方を取り入れたかたちでラベリング差別論の研究をしている。

 エイジズム(老人差別)は人種差別、性差別などと同様に扱われるべきものではないか? 戦後の高齢者論をまとめ、ラベリング論からみた高齢者認識の地域差、 老人側の認識の分析などいろいろな老人差別の調査結果を報告する。

■目次

第1章 老人問題論からエイシズムの研究へ
1. 老人問題への視点
2. 老人問題としての老人問題論
3. 老人社会学の老人問題研究
4. エイシズムとは何か
5. 我が国におけるエイシズムの研究と老人研究の視点
(1)社会構造的な側面
(2)文化構造的な側面
(3)社会的相互作用
6. まとめ

第2章 ラベリング差別論の展開
1. はじめに
2. 逸脱論から差別論へ
3. ラベリング論の暫定的公準
4. ラベル効果論
(1)烙印者類型と被烙印者類型
(2)ラベリング差別構造
5. ラベリング差別論の展望

第3章 老人意識の地域比較と老人差別
1. はじめに
2. 調査を通してみた老人線と老後意識
(1)老人線
(2)老後意識の認知
(3)老人線・老後意識の地域比較
3. 高齢者の自我像
4. 高齢者への社会的反作用:老人化のプロセス
5. 結語

第4章 ラベリング論と老人呼称
1. はじめに
2. 呼び名と蔑視語
3. 老人呼称の好感度と嫌悪度の世代間比較
(1)高齢者を意味する言葉の好感度
(2)高齢者を意味する言葉の嫌悪度
(3)嫌悪される老人言葉の属性分析
4. 嫌われる老人言葉を通してみた差別言語の考察
5. まとめ

第5章 若者の老人差別意識の分析
1. はじめに
2. 棄老意識と棄老類型
(1)敬老と棄老の認知
(2)棄老観類型による分析
3.  棄老者類型の構成:タテマエとホンネの分析
4. 老人への差別感情
(1)差別感情の連関構造
(2)相関分析による要因分析
(3)差別意識の強度
5. 結語

第6章 若者の老人差別意識の分析(続)
1. はじめに
2. 若者の老人に対する好意度、敬老と排斥の認知
(1)調査者属性の素描
(2)老人に対する好意度
(3)敬老精神の認知
(4)老いの排除に関する認知
(5)自由回答からみた若者が認める老人差別の所在
3. 老人イメージの質的分析
4. 差別感情と差別強度の分析
(1)差別感情の抽出
(2)相関分析による要因分析
(3)差別意識の強度
5. 若者にとって老人ホームとは
6. 結語

第7章 高齢者の老人意識と自己ラベリング
1. はじめに
2. ラベリングの諸相
(1)老人と呼ばれて気になる
(2)老人呼称に対する評価(嫌いな言葉)
(3)老人扱いされていやな経験(被害感覚)をしたことがあるか
(4)「老人になったな」という意識(老人自己成就意識)
(5)「若さ」の承認:若々しい服装をする
3.  老人意識形成のメカニズム
(1)老人意識の客観的基盤
(2)老人意識の主観的意識構造
4. 老人意識類型の分析
(1)老人意識類型の構成
(2)老人意識類型とその諸相の分析
(3)老人意識類型の基盤と心理的特性
(4)老人意識類型と差別の認知
5. 自我意識と老人化メカニズム
(1)自我意識間の関係
(2)老人意識類型と自我構造
6. 結語

第8章 産業都市における高齢者の自己ラベリング
1. はじめに
2. 老人自己成就意識の分析
(1)老人自己成就意識の客観的基盤
(2)老人自己成就意識の主観的意識構造
(3)老人と呼ばれて気になる主観構造
3. 老人意識類型の分析
(1)老人意識類型の分析
(2)老人意識類型とその諸相の分析
(3)老人意識類型の基盤と心理的特性
(4)老後の開始、差別の認知・被害認知
4. 老人意識類型と自我構造
5. 結語

第9章 超高齢化社会における自己ラベリング
1. はじめに
2. 老人自己成就意識の分析
(1)老人自己成就意識の客観的基盤
(2)老人自己成就意識の主観的意識構造
(3)老人と呼ばれて気になる主観構造
3. 老人意識類型の分析
(1)老人意識類型とその諸相の分析
(2)老人意識類型の基盤と心理的特性
(3)老後の開始、差別の認知・被害認知
4. 老人意識類型と自我構造
5. 結語

第10章 高齢者の老後観と老人処遇観
1. はじめに
2.超高齢化社会の高齢者の老後観
3.長寿社会像の認知:敬老精神と老人排除の認知
(1)敬老精神
(2)老人排除
(3)高齢者からみた排除システム:質的分析
(4)老人社会類型の分析
4.棄老意識と老人ホーム
(1)棄老意識
(2)老人ホームへの入居意識
(3)老人ホームへの入居の客観的基盤と主観的基盤の分析
(4)老人ホームへの入居理由
(5)老人ホームイメージの分析
5. 結語

終章 老人ラベリング論の可能性
1. はじめに
2. ラベリングの促進要因の分析
3. 公的ラベリングの分析
4. 自己ラベリングと脱ラベリング過程の分析
5. 総括

あとがき

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:北村 健太郎
UP: 20101114 REV:
老い  ◇差別(discrimination)  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
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