『いのちの文化史』
立川 昭二 20000225 新潮社,263p.
■立川 昭二 20000225 『いのちの文化史』,新潮社,263p.
ISBN-10: 4106005808 ISBN-13: 978-4106005800 1200 [amazon] ※ b d01 t02
■内容(「BOOK」データベースより)
子どもは「授かりもの」、「死に水をとる」という感覚、江戸人の目ざした「いい老人」、武士の「看病断」、骨をひろう日本人の遺体観、水子を怖れる「いのち観」、一昔前の病人と看護婦の意外なあり方…。漱石、鴎外、向田邦子、江藤淳などの文章や新聞の歌壇から無意識に息づくメンタリティを掬いあげ“癒しの時”を紡ぎ出していく。迷走する現代医療を問い直す珠玉の断章。
■内容(「MARC」データベースより)
「いのち」を「文化」として感受するという立場から、日本の歴史と現在の生老病死にかかわる情景にふれ、日本人に無意識に息づくメンタリティを掬いあげ、迷走する現代の医療を問い直す。
■目次
はじめに――生命といのち
――生老病死――
・子どもは「授かりもの」――生殖観いまむかし ・産婆、乳母、哺乳瓶――産育事情いまむかし
・「老はたうとく」――老年観いまむかし ・疱瘡祭からコレラ祭へ――病をめぐる家族と地域
・肺病、胃病、脳病――病名は語る(1) ・花柳病、エイズ、がん――病名は語る(2)
・「絶望です」「ありがとう」――「がん告知」いまむかし ・「福子」の民俗が教えるもの――障害へのまなざし
・「病人」から「患者」へ――「患者化」時代 ・「文化」としての病い――新聞の歌壇・俳壇から
――医療と文化――
・「朝湯の帰りに」往診――江戸の患者と医者 ・「看病断」で在宅ケア――江戸の介護休暇
・「尻の穴からのぞき」――江戸の内視鏡 ・散歩・くす玉は薬学用語――くすりの文化史
・ロバの背にゆられる定礼医――健康保険の源流 ・病人に寄り添う派出看護婦――看護婦いまむかし
・救急カゴから救急車へ――医療環境いまむかし ・体内の「善玉」「悪玉」――医療とマスコミいまむかし
・患者と医者のあいだ――患者医者関係いまむかし ・「文化」としての医療――新聞の花壇と俳壇から
――健康と文化――
・「心は楽しむべし」――江戸のメンタルケア ・「いき」な老い方――江戸の現役老人たち
・「撫でさすり」――祈りのパフォーマンス ・笠森お仙とかなまら様――「願かけ」いまむかし
・「衛生」から「健康」へ――明治の健康キャンペーン ・「肉食のすすめ」――明治の栄養キャンペーン
・「体力」から「体調」へ――健康観いまむかし ・「健康」という現代の不安――「半健康人」時代
・「癒えてまた病む」――癒しの時代 ・「元気をめぐらす」――「気」の健康観
――いのちと文化――
・いのちの値段――医療費いまむかし ・「緩和するために」――作家と緩和医療
・「楽に死なせたら」――作家と安楽死 ・あの世に旅立つ――死後観の心性
・「花野」から「骸骨」へ――臨死体験の情景 ・死に水をとる――死を看取る作法
・「心臓が運ばれゆく」――脳死移植と短歌 ・水子供養と電子ペット供養――ゆれる「いのち観」
・骨をひろう――ゆれる遺体観 ・いのちの長さ――寿命と平均寿命
おわりに――いのちとたましい