『侵入者――いま〈生命〉はどこに?』
Nancy, Jean-Luc 2000 L'intrus, Editions Galilee
=20000901 西谷 修 訳編 以文社,115p.
last update: 20191113
■内容
内容紹介:オビより
「わたしの心臓がわたしにとってよそ者になっていた」――。現代フランス哲学の第一人者が、移植後10年にして綴る「他人の心臓」で生きる体験。「わたし」はどこへゆくのか? 「命」とは何か? そして「他者」を受け容れるとはどういうことか? 医療テクノロジーが「人類の福祉」の名のもとに生や死の境界を取り払ってゆく現在、人間は人体の「資材化」や「わたし」の意識の復号化を受け容れる準備ができているかと問う、訳者の「不死の時代」等を併録。
■目次
まえがき
ジャン=リュック・ナンシー『侵入者』……pp.003-044
ジャン=リュック・ナンシー『ナンシー、他者の心臓』(『リベラシオン』インタヴュー)……pp.045-058
訳者解説「ワンダーランドからの声――「侵入者」の余白に」……pp.059-095
訳者「不死の時代」……pp.097-115
■著者略歴
著者紹介:奥付より
ジャン=リュック・ナンシー Jean-Luc Nancy
1940年、ボルドーに生まれる。現在ストラスブール大学教授。
『定言命法』『有限な思考』『複数的独自存在』など多数の著書があるが、邦訳書として『無為の共同体』西谷修訳(朝日出版社。増補版が以文社より近刊予定)『エゴ・スム』庄田常勝訳(朝日出版社)『共同−体(コルプス)』大西雅一郎訳(松籟社)などがある。
訳者紹介:奥付より
西谷 修(にしたに・おさむ)
1950年愛知県に生まれる。東京大学法学部卒業、パリ第[大学留学。明治学院大学教授(フランス文学)を経て、現在、東京外国語大学大学院教授(思想文化論)。著書に『不死のワンダーランド』『戦争論』(いずれも講談社学術文庫)『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(東京大学出版会)『離脱と移動』(せりか書房)などがあり、M・ブランショ『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫)E・レヴィナス『実存から実存者へ』(講談社学術文庫)P・ルジャンドル『ロルティ伍長の犯罪――<父>を論じる』(人文書院)など多数。
■引用
侵入者というのはむりやり押し入ってくる。不意にか、あるいは策を弄してか。
[……]彼を待ち、迎える人がいて、彼があますところなく待たれ、迎え容れられるなら、もはや侵入者ではないということだが、
同時にまた、そこにはもはやよそ者もいないということである。(p.004)
[……]よそ者を受け容れるということはまた、よそ者の侵入という試練を引き受けることでなければならない。(p.006)
[……]わたし自身の心臓は、要するに使い物にならなくなってしまったのだが、その理由はまったく分からないままだった。
だから、生きるために誰か他人の心臓を受け容れなければならなかったのだ。(p.008)
[……]いつも「わたし」は、技術的な可能性の隙間にきっちりと嵌め込まれる。[……]まさに問題は、入り組み合うその両者なのだ。(p.009)
■言及
◆北村 健太郎 20140930 『日本の血友病者の歴史――他者歓待・社会参加・抗議運動』,生活書院,304p.
ISBN-10: 4865000305 ISBN-13: 978-4-86500-030-6 3000+
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■関連書籍
■書評・紹介
*作成:北村 健太郎