『教育老年学の構想――エイジングと生涯学習』
堀 薫夫 19991210 学文社,257p.
■堀 薫夫 19991210 『教育老年学の構想――エイジングと生涯学習』,学文社,257p. ISBN-10: 4762009075 ISBN-13: 978-4762009075 \3045 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
「BOOK」データベースより
本書のなかでは2つのスタンスがとられている。第一は、欧米で示されたエイジングと学びの関連に関する理論や議論を整理・咀嚼したうえで、そこから出された示唆を著者なりに示そうというものである。第二は、これをうけて、そこから出された論点のいくつかを調査研究の俎上に乗せ、実証研究を行うというものである。
「MARC」データベースより
教育老年学とは、高齢化と生涯学習の問題を、エイジングと成人の学びとを、より根本的な次元から結び付ける新しい学問分野。これまで行ってきた調査研究の結果などを忍ばせながら、教育老年学の体系化を試みる。
■目次
はじめに
第1章 教育老年学の構想
第1節 問題の所在
第2節 教育老年学の視点
1 アメリカにおける老年教育学
2 イギリスにおける老年教育学
3 ジェロゴジーの視点
4 教育老年学の枠組みの試案
第2章 エイジングと社会
第1節 エイジングとは何か
第2節 エイジングの発達と関連
1 エイジングのイメージと発達のイメージ
2 現代社会における発達観
第3節 エイジングと社会:社会学におけるエイジング研究の問題をめぐって
1 生物的であると同時に社会的であるということ:ソーシャル・エイジングの両義性の問題
2 社会学理論におけるエイジング問題の位置づけ
3 社会学理論におけるエイジングの問題
4 社会学におけるエイジング理論研究の可能性と課題:ラディカル・ジェントロジーからの問題提起
第4節 ポジティブな観念としてエイジング
1 ポール・バルテスらのみる「エイジングの知恵」の問題
2 新しいエイジング観の提起
第3章 高齢者の特性を活かした学習援助の視点
第1節 高齢者の特性を生かした学習援助の視点
1 ジェロゴジー論からの問題提起:高齢者学習の特性の研究
2 ハリ―・ムーディーの高齢者教育論:経験―対話―超越
3 マージン理論と高齢者に特有の教育的ニーズの問題
4 回顧的ニーズとライフ・レビューの問題
5 高齢者教育における人間関係の問題
6 高齢者の特性としての継続性の問題
7 高齢学習者の特性の整理と学習援助への方向づけ
第4章 人びとのエイジングへの意識に関する調査研究:高齢者と大学生の調査データの比較を中心に
第1節 エイジングへの意識に関する調査
1 エイジングへの意識の問題
2 エイジング意識調査の方法と調査対象者の特徴
3 エイジングへの意識調査の結果
4 エイジングへの意識に関する考察
第2節 エイジズムに関する意識調査
1 高齢者とエイジングへのステレオタイプの問題
2 エイジング・クイズの視点と調査の方法
3 エイジング・クイズ調査の結果
第3節 人生の予定表と年齢規範に関する意識調査
1 年齢規範と人生の予定表
2 人生の予定表に関する調査結果
3 予期される年齢規範としての老年意識の芽生え
第4節 エイジングへの意識調査のまとめ
第5章 エイジングと学習能力・学習行動の関連に関する調査研究
第1節 エイジングと学習能力の関連:高齢者と大学生の知能検査の結果の対比から
1 流動性知能と結晶性知能の理論
2 ウェクスラー成人知能検査の構造
3 WAISによる高齢者の知力の分析
4 高齢者の学習の援助への示唆
第2節 エイジングと学習行動の関連:成人期における学習スタイルの構造の変化の問題を中心に
1 調査の対象と方法
2 調査結果の分析方法
3 成人の学習スタイルに関する調査結果
4 ソーシャル・エイジングと学習スタイル
第6章 高齢者への学習援助に関する調査研究
第1節 高齢者の学習の成立条件に関する調査研究:2つの老人大学における調査研究
1 調査の対象と方法
2 人間関係の視点からみた老人大学受講者の学習への意識
3 老人大学での学習におけるきっかけと評価の関係
4 老人大学における高齢者の学びの特徴
第7章 教育老年学の展望:今後の課題と可能性
第1節 ふれられなかった問題:異世代交流と一般市民へのエイジング教育
第2節 教育老年学の今後の課題
参考文献一覧
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治