HOME > BOOK >

『経済のニュースが面白いほどわかる本・日本経済編』

細野 真宏 19991109 中経出版,314p. 1400



■細野 真宏 19991109 『経済のニュースが面白いほどわかる本・日本経済編』,中経出版,314p. 1400
・この本の紹介の執筆:中川典亮(立命館大学政策科学部2回生)

◆ はじめに
 […]政治経済について私なりに興味のある本を読んでみた。ひとえに政治経済といっても、その分野は広いため、本の難しさやわかりやすさも様々である。そんな中、私はあえて誰しもが理解できる、いわゆる全く勉強をしたことがない人でも経済学のイロハがわかるような本をよんでみることにした。それが今回紹介する「経済のニュースが面白いほどわかる本(日本経済編)」である。これは、予備校の先生出身である細野真宏氏が、経済の実情について予備知識がなくともスラスラと読めるように書いた本で、イラストなども入り、とても面白いものとなっている。今回は、本における目次にそって紹介していきたい。この本を読めば、日本や世界の経済の実情がわかり、日本経済について危機意識を持ったり、気軽にニュースなどを見ようとする気になれるであろう。まさに、経済学離れが叫ばれている現代の若者にあった本だといえる。

◆ 目次
 Section1:円高と円安と日本の景気について
 Section2:日銀の仕事について
 Section3:バブル経済について〜マネー経済への導入〜
 Section4:バブル崩壊後の日本と景気対策について〜景気対策の効果とその問題点〜
 Section5:借金大国 日本の現状について

◆ Section1:円高と円安と日本の景気について

 この章では、多くの人が普段から疑問に思うであろう、円高や円安といった言葉の意味やそのような状態に陥る理由について、また、貿易黒字であるはずの日本が現在不況に陥っている理由などについて、わかりやすく解説している。円高や円安といったことは、外国為替市場において決定されており、日本にとっては円安の方が貿易市場において、メリットが多いという。また、日本がバブル崩壊後に景気が悪いのは、個人が個人金融資産を持っているにも関わらず、あまり消費をしようとしないため、景気の循環が悪くなっているのからであるということがわかる。この章は、いわゆる経済学の導入部分になっているといえよう。

◆ Section2:日銀の仕事について

 この章では日本銀行、いわゆる日銀とはどういう銀行で、どのような仕事を行っているかを解説している。日銀は、日本で唯一の発券銀行であり、日本国内の紙幣の出まわりを管理しているため、日本の景気を大きく左右する機関である。景気が悪くならないよう、日銀は公開市場操作を行っているが、そのようなことが効果的に働かなかった場合、いわゆるデフレスパイラルなどが起きるのである。この章を読めば、日銀や紙幣といったものに、より興味がわくであろう。

◆ Section3:バブル経済について〜マネー経済への導入〜

 この章では、日常からよく話題になるバブルについて解説している。バブルは日本においてのみ関係していることだと思うかもしれないが、そうではなく、例えばタイや韓国といったアジア諸国はバブルのために、日本以上に不景気となっている。また、アメリカにおいては好景気が起こっているが、それも実はバブルによるものなのだ。この章を読むと、バブルというものに対して、正しい見解を持てるようになるであろう。

◆ Section4:バブル崩壊後の日本と景気対策について〜景気対策の効果とその問題点〜

 この章では、バブル崩壊後に景気が悪くなってしまった日本を、どうすれば景気を良くすることができるかを、日銀が行っている対策以外に解説している。政府が行う対策には、減税や、ケインズ理論に基づいた公共事業の推進(世界大恐慌でアメリカが行ったニューディール政策のような)だけでは、必ずしも有効ではないのである。不良債権の処理や、銀行の貸し渋りなどが原因で不況になった日本を、どのように回復すべきか。この章は、本の中でもメインとなる章であり、読むと日本のことについてより深く考えられることになるであろう。

◆ Section5:借金大国 日本の現状について

 この章では、日本の政府が600兆円以上も抱えてしまっている国債などによる借金の現状について解説している。日本政府は今まで、公共事業などによって国のことを色々とする「大きな政府」であったため、国債をどんどん発行して資金を得ていたが、その結果どんどんと借金が膨らんでしまったのである。そのため、少子高齢化も進み労働人口が減ることが良そうされるこれからの日本は、NTT民営化などのように国が公共事業の割合を減らす「小さな政府」を目指すことにより、自由競争力を高め、景気を回復させるべきであるといえる。この章を読めば、政府のあり方などについても考えることができるであろう。

◆ おわりに

私は、昔から経済学というものに興味はあったのだが、今まではなかなかそのようなことを深く知る機会がなかったため、あまり知識を持っていなかった。しかし、先生の講義を受けた後、経済学に関連したこの「経済のニュースが面白いほどわかる本(日本経済編)」に巡り合えたため、非常にたくさんの知識を楽しく身に付けることができた。そのため、私はこの本を多くの人に是非すすめたい。そうすることで、私と同じ年代の若者が経済のニュースをもっと見るようになってくれれば、嬉しく思う。


UP:20040207
2003年度受講者宛eMAILs  ◇

TOP(http://www.arsvi.com/b1990/9911hm.htm) HOME(http://www.arsvi.com)