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『グレートジンバブエ 東南アフリカの歴史世界』


吉國 恒雄 19991020 講談社現代新書 212p


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■吉國 恒雄 19991020 『グレートジンバブエ 東南アフリカの歴史世界』,講談社現代新書, 212p. ISBN-10: 4061494732 ISBN-13: 978-4061494732 [amazon][kinokuniya]

■著者略歴(本書より:著者は故人です。)
1947年、鹿児島県生まれ。サンフランシスコ州立大学文学部史学科B.A.課程修了。
ジンバブウェ大学大学院史学研究科D.Phil.課程修了。現在、専修大学商学部教授。


■目次
プロローグ サバンナ荒野の開拓者たち〜環境と文明〜
・孤立と自生の文明
・グレートジンバブエ〜都市と国家の発展〜
・グレートジンバブエ〜空間構造、シンボリズム、没落過程〜
・定型と直線が嫌いな建築原理−谷の遺跡−
・ムニュムタパ国とポルトガル重商主義〜1450年以降〜
・ポルトガルの征服とキリシタン王
・草原の覇者〜トルワ国とチャンガミレ国〜
・近世〜1700年以降の小国家時代〜
・近現代−歴史の断絶と連続−
東南部アフリカ歴史年表
あとがき

■引用

◆サバンナ荒野の開拓者たち〜環境と文明〜
「文明史的には、南部アフリカは孤立していたのである。古代文明に対しても、アフリカの古い農業・鉄器社会に対しても、そうであった。孤立という言葉が適切でなければ、自生的であり、歴史の時計は固有のペースで時を刻んでいたと言い換えていいだろう。」<20p>

「ここまでで、アフリカ史においてだいじな視点が一つ浮き上がってきたと思う。すなわち、アフリカの自然が比類なく苛烈であったというまさにその分、そこで生きてきた人間の営為もまた比類ないものであったということである。アフリカの人々こそ、ヒトが自然のなかで生活圏を確保するという人類史上的たたかいの最前線に立ってきたと言い換えてもよい。」 <29p>

◆グレートジンバブエ〜空間構造、シンボリズム、没落過程〜
「神秘とロマンに包まれいつも政治の嵐の中にあり、盗掘や破壊を受け、にわか学者が活躍し、学者が口角沫を飛ばす−これが世界的な考古遺跡であるための資格であるなら、グレートジンバブエはこれを十分にクリアしている。」<104p>

◆近世〜1700年以降の小国家時代〜
「近世−われわれが生きる近現代の直接の生みの母であるという意味で、だいじな時代である。この時代を、北半球産業社会は概して、中世の無知と暗黒に対して啓蒙と理性の光が差しはじめた時代として捉え、どちらかといえば肯定的な価値を与える。ところが、大多数のアフリカ人の近世へのまなざしはこれと反対である。彼らにとって、近世とは圧倒的に負の経験、負の遺産であって、逆に中世こそが輝ける黄金時代であった。」<170p>

■言及

*作成:有賀 優


UP:20110706 REV:
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