『プライバシーのドラマトゥルギー――フィクション・秘密・個人の神話』
阪本 俊生 19991010 世界思想社,287p.
■阪本 俊生 19991010 『プライバシーのドラマトゥルギー――フィクション・秘密・個人の神話』,世界思想社,287p. ISBN-10: 4790707806 ISBN-13: 978-4790707806 \2310 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
プライバシーの意識と感情を徹底解明。
個人をフィクション化しようとする社会のまなざしと、それに抵抗する個人のあいだの、果てしなき闘争のドラマトゥルギー。
■目次
序論
第1部 社会現象としてのプライバシー
第1章 プライバシーとイメージ
第1節 写真とプライバシー感覚、あるいは肖像権の問題
1-1 写真にとられるという経験と感情の問題
1-2 写真家による感情処理の配慮と戦略
1-3 集合的感覚としての肖像権的感覚
第2節 写真の解釈スタイルとプライバシー
2-1 距離化の問題
2-2 写真とコンテクストの変更
2-3 イメージの再構成
2-4 イメージの複製化
第2章 覗きの視角
第1節 覗き、観察、盗聴とプライバシー
1-1 プライバシー侵害のまなざしについて
1-2 覗きと親密さ
第2節 視点としての覗き――親密さを見ることから見方の問題へ
2-1 覗きのまなざしと距離のスタンス――社会的距離、傍観、観客
2-2 コンテクストの変更――見られる側の認識の変化について
2-3 覗きとイメージの再構成――情報を生成する視角としてのプライバシー侵害
第3章 プライバシーとフィクション化の問題
第1節 物語化とプライバシー問題
1-1 プライバシー侵害と物語化
1-2 モデル小説の問題
1-3 アンカリングの問題
第2節 フィクション化としてのプライバシー侵害
2-1 フィクション化の問題と物語のいくつかのタイプ
2-2 フィクション化と近代社会の自己について
第2部 解釈の視点と近代社会の基本的な解釈スタイル
第4章 プライバシーと解釈の視点――プライバシーはいかなる秘密か
第1節 プライバシーと秘密
1-1 プライバシーと秘密に関する議論
1-2 秘密の考察の二つの基準
1-3 外見をもつ秘密とプライバシー
第2節 プライバシーの記号と解釈スタイルを考える視点
2-1 秘密とその記号を考える視点
2-2 秘密の外見とプライバシーを解釈の視点から考えるということ
2-3 解釈スタイルの問題
第5章 プライバシーのない社会
第1節 プライバシー意識のない社会
1-1 プライバシーを歴史的にみるということ
1-2 プライバシー意識のない社会
1-3 プライバシー意識のない社会の三つの解釈スタイル
第2節 他者観察と覗き
2-1 宮廷社会の他者観察について
2-2 他者観察と覗きの違い
第3節 自己観察と反省、自己意識
3-1 宮廷における自己観察
3-2 自己観察と自己意識、反省の違い
第4節 ゴシップとゴシップ記事
4-1 宮廷におけるゴシップ
4-2 ゴシップとゴシップ記事の違い
第6章 近代社会の解釈スタイル
第1節 近代社会の解釈スタイルとメディア
1-1 都市の社会関係と他者解釈
1-2 近代都市の他者解釈と覗き趣味
1-3 都市の覗き趣味とメディアの距離
1-4 マスメディアと私的なものへの関心
第2節 解釈スタイルと個人の内面の問題――近代人のサンクチュアリ
2-1 内面と自己表現の不安
2-2 個人の自己構成とプライバシー
2-3 スキャンダルと脅迫状
第3部 プライバシーとコミュニケーション
第7章 プライバシー侵害とフレーム化
第1章 フレーム概念とフレーム化のまなざし
1-1 フレーム概念について
1-2 写真とフレーム化
1-3 覗き、盗聴、フィクション化とフレーム化
第2節 フレーム化とプライバシー侵害
2-1 フレーム化とプライバシー侵害
2-2 フレーム化のまなざしの性格
2-3 フレーム化のシステマティックな性格
第3節 フレームと親密さのコンテクスト
3-1 親密な社会関係のコンテクストとフレーム化
3-2 親密さのコンテクストとフレーム化
3-3 親密さのコンテクストと個人の行為、表出
第4節 多様な社会関係を維持するための表現とコンテクスト
4-1 個人の自己呈示の使い分けとプライバシー
4-2 プライバシーと多様な社会関係の維持
4-3 個人の自己呈示に対する他者からの配慮
第5節 プライバシーとフレーム化のタブー
5-1 社会関係という視点の限界と個人の聖性
5-2 プライバシー侵害とフレーム化
第8章 プライバシーとノンコミュニケーション
第1節 ノンコミュニケーションについて
1-1 見ることへのタブー神話
1-2 ベイトソンのノンコミュニケーション
第2節 ノンコミュニケーションの三つの側面
2-1 写真とノンコミュニケーション
2-2 秘密とノンコミュニケーション
2-3 自己意識とノンコミュニケーション
第3節 システムにおける聖の布置
3-1 ノンコミュニケーションと聖の布置
3-2 ストレンジャーの社会におけるノンコミュニケーション
第9章 コミュニケーション・システムとノンコミュニケーション
第1節 シンボリックなリアリティとノンコミュニケーション
1-1 人間のコミュニケーションと遊び
1-2 ウソのタブーと疑い
1-3 フレーム化するということ
1-4 リアリティの作られ方
1-5 無限のフレーム化
1-6 遊びと宗教
1-7 ノンコミュニケーションと社会システム
第2節 近代社会とプライバシー
2-1 近代社会のノンコミュニケーション、あるいはプライバシーとウソ
2-2 ウソの暴露とフィクション化
2-3 フレーム化のタブーと親密性
第10章 H・ジェイムズの一小説にみる個人記号をめぐる問題
第1節 物語の設定
1-1 物語の舞台――ライフスタイルの飛び地
1-2 登場人物――近代人と近代以前の人間
第2節 近代人の自己表現とプライバシー
2-1 近代人の自己表現
2-2 作家と自己表現の物語
2-3 伝統によって支えられる記号と私的領域に支えられる記号
2-4 解釈の視点と他者の創造――主人公の覗き的解釈の視点
第11章 ノンコミュニケーションの変遷
第1節 フレームという視座に関して
第2節 近代化と物語の変遷
2-1 物語の内面への転向
2-2 物語の内面への転向とプライバシー
2-3 プライバシーとフレームのかかわり
2-4 物語の内面への転向とノンコミュニケーション
第3節 近代化とまなざしの変化
3-1 物語の内面への転向とカメラ・オブスキュラ
3-2 写真機とプライバシー侵害
3-3 写真のまなざしとプライバシー意識
3-4 写真と観察の主体――写真の視点と解釈主体の視点
第4節 写真機のまなざし
4-1 写真機の視覚の独立性と主体の解体について
4-2 写真機の視覚とプライバシー侵害
第5節 新たなノンコミュニケーション?
5-1 写真機と人間――機会と人間
5-2 新たなフレーム化装置―コンピューター
5-3 新たなノンコミュニケーション?
文献リスト
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治