『妻と私』
江藤 淳 19990707 文藝春秋,117p.
last update:20110909
■江藤 淳 19990707 『妻と私』,文藝春秋,117p. ISBN-10:4163554009 ISBN-13: 978-4163554006 \1050 [amazon]/[kinokuniya] ※ s01
■内容
日経ビジネス
「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し」。梅雨明け前の雷雨の夜、文芸評論家の江藤淳氏はこう書き遺して自裁した。昨年11月に最愛の妻であり、執筆活動を支えてきた慶子夫人を失い、今年6月には自らが軽い脳梗塞で入院するなど、心身ともに疲れ果てていたのだろう。読者に向けた「遺書」とも読める本書は、江藤氏自身が「どうしても書きたい」と望んだものだったという。
入院中の夫人が昏睡状態から意識を取り戻したわずかなひととき、何気ない会話の中で著者は気づく。「慶子は、無言で語っていた。あらゆることにかかわらず、自分が幸せだったということを。告知せずにいたことを含めて、私のすべてを赦すということを。41年半に及ぼうとしている2人の結婚生活は、決して無意味ではなかった、いや、素晴らしいものだった、ということを」。評論家としての評価や名声よりも、慶子夫人と連れ添ってこられたことが、江藤氏にとって何よりも幸せだったのだろうと偲ばれる。
(日経ビジネス1999/8/16号 Copyrightc日経BP社.All rights reserved.)
出版社/著者からの内容紹介
死と競うように看病は続く。甘美な思い出、底知れぬ苦悩。そして妻が逝った時、自らも死の淵に立つ。生死の深淵を描く感動的作品
■目次
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:永橋 徳馬