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『分権時代の福祉財政』

坂本 忠次・和田 八束・伊東 弘文・神野 直彦 編 19990620 敬文堂,324p.


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■坂本 忠次・和田 八束・伊東 弘文・神野 直彦 編 19990620 『分権時代の福祉財政』,敬文堂,324p. ISBN-10: 476700067X ISBN-13: 978-4767000671 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

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内容(「BOOK」データベースより)
本書では、21世紀においても最大のテーマたりうる「福祉国家」のあり方に焦点をあてて、その原理と現状を改めて検証した。問題をたんに抽象的なレベルで議論するのではなくて、福祉政策の実質的な担い手としての地方自治体の側から構築しようという意図から編集されている。福祉国家の将来は、地方自治体による政策実行と地方分権システムによって展望できる。

内容(「MARC」データベースより)
21世紀においても最大のテーマたりうる「福祉国家」のあり方に焦点をあてて、その原理と現状を改めて検証する。坂本忠次教授岡山大学退官記念論文集。

■目次

序章 21世紀の福祉と財政
第1部 福祉国家の政府間財政関係論
 福祉をめぐる政府間財政関係
 福祉財政の構造について
 財政調整制度の根拠と制度設計
 ほか
第2部 福祉財政の展開と政策
 日本における福祉国家型財政の形成
 「福祉国家」の分権化と財政改革―分権時代の福祉財政の諸問題
 社会福祉の政府間財政関係―1980年代後半から90年代初頭の変化を中心として
 ほか
第3部 福祉財政の国際比較
 ロンドンにおける貧民救済活動について
 イギリス社会福祉における政府間行財政関係の検証―1990年代を中心として
 イギリスにおける幼児教育バウチャーの導入と廃止
 ほか

■引用

和田 八束 19990620 「21世紀の福祉と財政」,坂本・和田・伊東・神野編[1999:1-17]

 「日本の租税負担率は、なお低い水準にあるとはいえ、社会保障負担の比率が高く、増加の度合いも租税よりも大きい。こうした現象は、社会保障負担を”租税”ととらえることでも説明できるが、同時に「租税国家」の崩壊としてもとらえることができよう。
 中央集中型の福祉財政が、新しい分権型の福祉社会に変る時、これまでの「租税国家」も変質せざるをえない。
 租税のあり方としては、19世紀の「中立」から、20世紀においては「所得再分配」が基本理念とされていた。21世紀の租税理念としては、「参加型」ともいえるものに移行していくのではなかろうか。とくに、中心となるべき地方税においては、行政サービスとの対応、住民による参加と決定、コスト意識の重視という要素が基本となるのであり、それは住民自らの決定する「福祉サービスの価格」としてとらえられるであろう。それは、従来の「応益負担」に似ているともいえるが、より高度化した、新しい租税理念としてとらえるべきである。
 具体的な税の形として考えると、多くの税が「目的税」になるといってよかろう。地方税としては、自主課税が原則であり、地方財政需要に対応した税種と税収を決定することになり、その賛否は住民自治によって行われる。こうした地方自治の原則に立つかぎり、税は一般税ではなく、目的と限界を限定し、課税の範囲も特定した形の税にならざるをえてい。さきの地方分権推進委員会の「勧告」にも示されていた「法定外目的税」が多用化[ママ]されるといってもさしつかえない。
 21世紀においては、20世紀的な意味合いでの「租税国家」は、しだいに消滅していくことになるであろう。」(和田[1999:15])

■言及

◆立岩 真也 2008-2009 「税制について」,『現代思想』 資料

◆立岩 真也 編 200908 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


UP:20081215 REV:20090628,20090817
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