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『〈じぶん〉を愛するということ――私探しと自己愛』

香山リカ 19990620 講談社現代新書,216p


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香山リカ 19990620 『〈じぶん〉を愛するということ――私探しと自己愛』,講談社現代新書,216p. ISBN:4061494562 660[amazon]

■内容

「アイ・ラブ・ミー?」だれも自分がわからない……
多重人格、癒し等、こころをめぐる現象に映るほんとうの私とは?臨床的・私的体験から考える。

「私探し」の時代──そのうち私は、「私探し」という言葉は、世紀末の日本に突然、生まれたものであるけれど、それは単なる偶然ではなく、多くの人がその誕生を待ち望んでいたところに登場したという必然性があるのではないか、と考えるようになりました。そして「私探し」が世に広まった背景には、90年代以前から連錦と続く「こころの歴史」のようなものとの関係があるのではないか、ということにも気づきはじめたのです。そうなると、大げさに言えば80年代のサブカル残党を気取る私にも責任の一端はある、ということになります。なぜ、人は「私を探そう」などと思うようになったのか。またそうやって「探したい」と思っている「私」とは、いったい何のことなのか。私は、「「私探し」探し」の旅に出てみることにしました。デイパックの中に詰め込むアイテムは、「80年代サブカルチャー」と「精神医学・心理学」のちょっとした経験と知識だけです。──本書より


■目次

はじめに
プロローグ 「ほんとうの私」はどこにある?――「私探し」の時代
1――「もうひとりの私」を求めて――サブカルチャーとしての多重人格
2――「かわいそうな私」の物語――ストーカーとアダルト・チルドレンを考える
3――「癒し」の正しい選び方
4――「アイ・ラブ・ミー?」――〈じぶん〉をあいするとはどういうことか?
エピローグ その後の私の「私探し」
おわりに

■引用

「アダルト・チルドレン現象の広がりの中にも、「過去に自分が被害を受けていなかったら、もっとましな親との関係があったなら、いまある自分と違う自分になれていたはずなのに」という、もうひとりの私、ここにいるのではないほんとうの私というものに対する願望が、やはり関係しているのではないでしょうか」p.101

「[AC、拒食症・過食症、サイコパス、ストーカーなど:引用者]こういった新しい病がマスコミなどで気軽に取り上げられるようになったことを、はたして「精神医学や心理学が身近なものになった証拠だ」と喜んでいいのかどうか、私自身はとても複雑な気持ちです。もし、この傾向の裏にほんとうに「特別な私でいたい。ふつうでいるのはイヤ」という自己愛的な病理が関係しているとしたら、「あなたは新しい病気ですよ」と診断されるのはその人の自己愛を満たすだけで、治療にはまったく役に立たないからです。」p.187

「[「誇大自己探し」(コフートによる概念)によって、病を自ら“選んで”しまう人、またそれをカミングアウトすることでネガティブな自己愛を満たしてしまっている人は]「病気が治った私」に戻るのがこわくなってしまうのです。「病気の私」というのはすばらしいものではありませんが、等身大の自分を超えたものであるという意味で「負の誇大自己」と言えると思います。その「負の誇大自己」が「ほんとうの私」だと思ってしまうと、それをなかなか捨てられなくなるわけです。」p.188

「診断名というのは本来、「その人の属性の一部」でしかも「喜ばしくないもの」であるはずなのですが、ここでも「境界例(境界性人格障害と同義)」が「その人そのもの」と同じように扱われているのです。「検査の結果、あなたは糖尿病でした」と言われて「ほんとうの私とは、糖尿病のことだったのだ」と「うれしく思う」ひとはいないでしょうけれど、新しい心の病や人格障害にかぎっては、その名称が「碇シンジはサード・チルドレンだった」というのと同じように使われてしまっているのです。」p.190

「多重人格や境界例を扱った記事には必ず、「社会の変化がこういう新しい病を生んだ。こういった人たちは現代社会の犠牲者なのだ」といった意見が書かれていますが、私はそれより、「すばらしい私がどこかにいるはず」とすべての人が「誇大自己探し」にとり憑かれていることに、最大の原因があると思っています」p.190
■言及

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


*作成:山口真紀
UP:20080704 REV:20140824
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