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『障害学への招待――社会、文化、ディスアビリティ』

石川 准・長瀬 修 編 19990331 明石書店,321p.

last update:20100823
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■石川 准・長瀬 修 編 19990331 『障害学への招待――社会、文化、ディスアビリティ』,明石書店,321p. ISBN:4-7503-1138-3 2940 [amazon][kinokuniya] ※ ds.

2002年10月、待望の?第2弾『障害学の主張』 刊行!

チョ・ウォンイル氏の翻訳によって2009年に韓国語版が韓国の青木出版社から出版されています。

■内容説明[bk1]

障害や障害者を社会・文化の視点から考え直し、従来の医療、リハビリテーション、社会福祉、特殊教育といった「枠」から障害・障害者を解放する試みである「障害学」について解説する。

■著者紹介[bk1]

〈石川〉1956年生まれ。静岡県立大学国際関係学部教授。専攻は差別論。著書に「感情の社会学」など。

■著者紹介[bk1]

〈長瀬〉障害・コミュニケーション研究所代表。元・国連事務局勤務。


□ 目次

はじめに 3
http://fuji.u-shizuoka-ken.ac.jp/~ishikawa/shotai.htm(全文)

第1章 障害学に向けて 長瀬 修 11
1 障害学とは何か/11 2 障害学による歴史の見直し/12
3 インペアメントとディスアビリティ、身体と社会/14
4 英国と米国の障害学の制度的枠組み/21 5 障害者であること/22
6 「デフトピア」の持つ意味/25 7 障害学を/27

第2章 障害、テクノロジー、アイデンティティ 石川 准 41
1 方法を考えることと意味を与えること/41 2 存在証明の政治/48
3 意味を与えるテクノロジーとしての感情管理/54
4 テクノロジーへの障害者の態度の両義性/60 5 克服論の現代的バージョン/
65
「アイデンティティ問題に直面する人々にとっては、印象操作や補償努力や他者の価値剥奪は存在証明のための道具的な手段である。価値の取り戻しも、同じように存在証明のための手段である。存在(p.52)証明からの自由でさえ、存在証明の挫折を超越する手段でありうる。」([52-53])
 「存在証明からの自由は、存在証明への圧力そのものを無視・軽視することで、秩序原理として作動する存在証明のシステムと、そのようなシステムに依存して存立する社会のあり方を一挙に揺さぶる。」([53])
 ……
 「以上が存在証明に関する私の枠組みの素描である。自尊心の損傷と呼ぶか、ルサンチマンと言うかは違っていても、人はいかにしても価値に手が届かない時には新しい価値を創造する、と考える点では共通である。」([53])
 「テクノロジーへの障害者の態度はまったく多様である。克服できなければ肯定するしかないし、肯定できなければ克服するしかない。克服の挫折は人を肯定へと反転させるし、肯定を疑うようになった人は再び克服へと向かう。克服によって自由や自己実現が可能になることもあるし、肯定によってそれらが得られることもある。だから克服と肯定を同時に遂行することのほうがむしろ普通のことだ。「障害を最高の恵みとして」という宣言と「障碍者は機会が与えられれば働ける」という力説の間に多く(p.64)の障害者がいる。障害にかかわる言説は克服と肯定をあれかこれかの二者択一的な生き方として概念化し選択を強いるが、それはむしろ「アイデンティティへの罠」である。」([64-65])

 「だがこういう言い方がある。社会は克服を要求する。……だから克服努力はやめて障害文化を育もう、と。
 これは……近年の社会的克服論……に対する批判としてはいささか弱い。」([65])

第3章 なにより、でないが、とても、大切なもの――自己決定する自立、について
 立岩 真也 79-107
はじめに/79
 T 抹消された歴史について 80
1 あったことが忘れられる/80 2 どのように抹消されたのか/85
 U なにより、でないが、とても、大切なもの 90
1 ためらいがあったこと/90 2 なにより、ではない/92
3 が、とても大切なもの/93 4 自立することを教える?/95

 「皆それぞれ,自らの立場を背負ってものを語る。教育を仕事にする人の教育学,看護を仕事にする人の看護学,福祉を仕事にする人の福祉学。それはそれで仕方がない。ただ,それ以外の「学」が成立しえないのではない。さしあたり――あくまで,さしあたり――利害から離れて調べること,ゆっくり考えることが障害学ができることだと思う。★01
 この章では「自立」について,本来なら各々独立した文章に分けるべき二つのことを書く。まず歴史的事実についての間違いを正しておく。次に,自立,自己決定について確認すべきことを確認する。
 ……」

第4章 「障害」と出生前診断 玉井 真理子 109
1 出生前診断とは/109 2 選択的人工妊娠中絶/111
3 「遺伝子」の登場によって/113 4 「本人の不幸」と「家族の負担」/115
5 親による人権侵害/116 6 「優生学」とのつきあい/118
7 「治療」と「予防」の陰に/121 8 おわりに/124

第5章 優生思想の系譜 市野川 容孝 127
1 障害学と優生学/127 2 古代ギリシア/130 3 ユダヤ教とキリスト教/
135
4 「自然」という概念/140 5 近代的個人(主体)の概念/145
6 優生学と福祉国家/149 7 結語/154

第6章 ろう文化と障害、障害者 森 壮也 159
はじめに/159 1 「ヤクザ」としての「ろう」/160
2 ろう文化のセンター/164 3 [難聴]という手話語彙から見たろう文化/168
4 障害のコミュニティ/175 おわりに/177

第7章 聾教育における「障害」の構築 金澤 貴之 185
1 社会的構築物としての聾/185 2 マスメディアにおける聾の構築/187
3 聴者両親にとっての聾/191 4 聴者両親と専門家/193
5 聾教育のめざすもの/196 6 口話法の擁護システム/198
7 「遊びが大事」というレトリック/203 8 聾教育と手話/206
9 聴者による「障害」の構築/211 10 「擁護システム」を乗り越えるために/
213

第8章 異形のパラドックス ――青い芝・ドッグレッグス・劇団態変 倉本 智明
 219
1 「差異派」障害者運動と文化という主題/219
2 「内なる健全者幻想」との闘い:青い芝の会/221
3 異化としての障害者プロレス:ドッグレッグス/229
4 反転する障害者身体:劇団態変/236
5 「差異化された身体」から「差異化する身体」へ/244

第9章 歴史は創られる 花田 春兆 257
はじめに/257 1 アトラクションなどではなく/258 2 選別育児の謎/260
3 障害児をめぐる“殺し”と救い/263 4 “ふく”と“ふぐ”/265
5 “まろうど”の意味するもの/267 6 足は行かねども/269
7 情報を司る者/271 8 鮮やか作者の投影/273 9 歴史・文学・記述者/
276
10 日本語・日本文の確立者は?/278 11 フラジャイルな英雄/280
12 障害はキャラクター/281

第10章 障害学から見た精神障害 ――精神障害の社会学 山田 富秋 285
はじめに/285
 T 精神医療福祉という権力 289
1 排除の対象としての精神障害/289 2 精神病院という制度化された暴力装置
/291
 U 隔離・収容主義とアイデンティティの政治 296
 V 障害はいかにして作り出されるのか? 302
 あとがき 313
 索引 321

おわりに
http://fuji.u-shizuoka-ken.ac.jp/~ishikawa/shotai.htm(全文)

 
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■書評・紹介(09)

中西正司
 『新潟日報』
横須賀 俊司 19990625 「書評・『障害学への招待』」
 『季刊福祉労働』83
◆田中嘉之(日本福祉大学) 199907
 図書紹介
 月刊『リハビリテーション』(鉄身協 電話03ー5276ー0360、ファクス3264ー4824)

 http://www.deaf.or.jp/news/19990606/
 ↓の中の「読書日記」
 http://www.netlaputa.ne.jp/~koumi/
◆吉見 俊哉
 『朝日新聞』
川内美彦 199907
 『ノーマライゼーション 障害者の福祉』7月号
好井裕明 19990820
 『週刊読書人』
◆中島 19990826 書評
 『脊損ニュース』1999-10「主張」欄
 http://www2.saganet.ne.jp/nakaji/book2/syougaigaku.htm
◆長瀬 修 200002 「『障害学への招待』を出して」(障害・障害学の散歩道 1)
 明石書店ホームページ
 http://www.akashi.co.jp/menue/rensai/rensai_1.htm
◆三浦 耕吉郎 20000305 「書評:石川准編『障害学への招待』,明石書店」
 『思想』909(2000-03):150-153
◆立岩 真也 2003/02/25 「障害学?の本・1」(医療と社会ブックガイド・24)
 『看護教育』44-02(2003-02):132-133(医学書院)

 
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◆第3章・訂正(第6刷における)

101頁 注(2) ホームページ
http://【itass01】.shinshu-u.ac.jp【:76】/【TATEIWA】/1.【HTM】

http://【ehrlich】.shinshu-u.ac.jp/【tateiwa】/1.【htm】
(大文字→小文字はどうしてもというわけではありませんが。)

103頁 前から5行 【一九九九b】 → 【二〇〇〇】

104頁 注(15)  【一九九九c】 → 【一九九九b】

106頁
「私の死」      【一九九九b】 → 【二〇〇〇】
「パターナリズム…」 【一九九九c】 → 【一九九九b】
           【(近刊)】  →  とる(既刊なので)

 
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■言及

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※
……
◆天田 城介 20030228 『<老い衰えゆくこと>の社会学』,多賀出版,595p. 8500 ※
◆木村 素子 200301 「ろう文化宣言以後世代」,『聴覚障害児と共に歩む会・トライアングル専門家部会ニューズレター』第15号
◆立岩 真也 2013/11/ 『精神医療造反の時』(仮),青土社 ※
◆森田 真弓 2002/03 「名づけ――ことばの不可能性を越えて」,大阪女子大学文学研究科社会人間学・修士論文より
◆大島 巌・奥野 英子・中野 敏子 編 20010810 『障害者福祉とソーシャルワーク』
 有斐閣,社会福祉基礎シリーズ7,336p. 1900 *

第1刷:19990331 
第2刷:19990000 1000
第3刷:19990000 1000
第4刷:19990000 1000
第5刷:19991220 1000
第6刷:20010331 1000
第7刷:20030710 1000
第8刷:20051125 1000


UP:REV:.......20021007,20030714 20040406,0722 20051226, 20101201
障害学  ◇『障害学を語る』  ◇『障害学の主張』  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
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