『税金を払わない終身旅行者――究極の節税法PT』
木村 昭二 19990204 総合法令出版,297p
■木村 昭二 19990204 『税金を払わない終身旅行者――究極の節税法PT』,総合法令出版,297p. ISBN-10: 4893466283 ISBN-13: 978-4893466280 1700+ [amazon]/[kinokuniya] ※ t07.
■広告
Amazon.co.jp
「税金がもっと低ければ…」と誰でも一度は思ったことがあるだろう。本書は「究極の節税」、つまり税金を合法的に支払わない方法を解説した書である。Permanent Traveler(PT)=終身旅行者になるには、年間500万円の所得と、金融資産1000万円があれば実現可能といわれている。だが、著者は、読者全員が終身旅行者になれると考えてはおらず、むしろ本書を「実行が到底不可能な小説」として読むことを勧めている。海外生活に自信のない人でも読む価値は十分にある。特に「日本に何かが起こった際に参考になるライフスタイルの一つになるかも…」という点は、予言のようでもあり興味深い。日本居住者は、タックス・ヘイブン国をいかに利用しても、節税を合法的に実行するのは無理である。また、世界のトレンドもこれらタックス・ヘイブンの取り締まりを強化する方向に向かっている。日本でも、1998年4月の金融ビッグバン以来、200万円以上についての送金は金融機関がすべて税務当局に報告しており、無許可で海外へ持ち出し、持ち込みできる金額は、従来の500万円相当額から100万円まで引き下げられた。本書の「実践編」では、PTは5つのフラッグ、国を利用するのが基本であるという説明をもとに、世界のタックス・ヘイブン国のメリット、デメリットを検討する。また、2国間、3国間を旅行するスキームも図解入りでわかりやすく解説している。そして本書の後半では、いよいよPTになった気分の読者に対し、プライベートバンク、オフショア金融商品などを紹介する。PTは居住国以外の国の不動産は購入しない、目立つ車種、色の車には乗らないといったアドバイスは、スパイ映画『007』を想起させておもしろい。ただ残念なのは、このようなジャンルの書物では読者がもっと深く研究できるように通常URLを表記するが、本書には載っていないという点だ。日本という国の枠から自分を外して、外から日本を観察する可能性を秘めた節税解説書である。(青木和夫)
■目次
プロローグ 貴方は「PT」の生き方に賛同できますか
第1章 ビッグバン始動にもかかわらず、「日本の居住者」の節税の限界
第2章 合法的な「究極の節税法PT」とは
第3章 「PT」を前提にした合法的な資産運用法
第4章 さあ、貴方も「PT」に。実際にPTになる提案
第5章 PTの振る舞い方
■引用
プロローグ 貴方は「PT」の生き方に賛同できますか
「このような不安な時代に我々は国だけに頼ることなく、自分自身で、かつ自己責任で将来の見通しを描き、自分の生活設計を立てなければならない状況で置かれ始めています。将来貰えると言われている公的年金も先行きは全くわかりませんので、国を当てにしないで自分で生きていくことを検討しなければならないのです。
ところで、そのことを考えることにおいて、いたずらに日本国に対する不信感と不安感を煽る訳ではありませんが、時代や状況に応じて、ここで、日本以外の国にも目を向けてみるのはどうでしょうか。」(木村[1992:22])
■言及
◆立岩 真也 2008-2009 「税制について」,『現代思想』 資料
↓
◆立岩 真也 編 2009 『(題名未定)』,青土社