HOME > BOOK >

『排除型社会――後期近代における犯罪・雇用・差異』

Young, Jock 1999 The Exclusive Society : Social Exclusion, Crime and Difference in Late Modernity,SAGE Publications
=200703 青木 秀男・伊藤 泰郎・岸 政彦・村澤 真保呂訳,『排除型社会――後期近代における犯罪・雇用・差異』,洛北出版,541p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■Young, Jock 1999 The Exclusive Society : Social Exclusion, Crime and Difference in Late Modernity,SAGE Publications=200703 青木 秀男・伊藤 泰郎・岸 政彦・村澤 真保呂訳,『排除型社会――後期近代における犯罪・雇用・差異』,洛北出版,541p. ISBN-10: 4903127044 ISBN-13: 978-4903127040 \2940 [amazon][kinokuniya] p0601

■内容紹介

 排除はつぎの3つの次元で進行している。(1)労働市場からの経済的排除、(2)市民社会の人々のあいだで起こっている社会的排除、(3)防犯・安全対策の名の下に進められる犯罪予防における排除的活動。

 本書は、こんにち(後期近代)の社会が、70年代までの安定的で同質的な「包摂型社会」から、変動と分断を推し進める「排除型社会」へと移行したと捉え、その構造とメカニズムを分析している。そしてこの悪夢のような現状をどのように克服するかを検討している。

 いまや、逸脱や犯罪の原因を追求し更正させるといった包摂型の政策は重視されなくなり、リスク評価を基準に、不審者の「奴ら」をあらかじめ排除・分断・隔離するといった、保険統計的な犯罪予防政策が主流となった。本書はこのような排除型の政策を厳しく批判する----「シングルマザーやアンダークラス、黒人や放浪する若者、麻薬常習者、クラック常習者などの、コミュニティで弱い立場にある人々が、針で突つき回され、非難を浴びせられ、悪魔のように忌み嫌われるようになった。このような新たな排除の世界にあって、本当に革新的な政治をおこなおうと思えば、私たちを物質的な不安定と存在論的な不安の状態に置いている根本原因、すなわち正義とコミュニティという基本問題を避けて通ることはできない」。

 だからといって、かつての包摂型の社会を懐かしんでも気休めにもならない。ノスタルジーにふけり、かつての包摂型の政策をそのまま復活させることは、いっそう息苦しい社会を招きかねないからである。わたしたちが取り組まなければならない課題は、新たな形態のコミュニティ、市場の気まぐれに左右されない雇用、八百長のない報酬配分----これらをどう実現するかなのである。
 この排除型の社会にあわせて生きていくしかない...などと、決して諦めてはいけない(これこそ著者が最も強調している点である)。

内容(「BOOK」データベースより)
本書は、こんにち(後期近代)の社会が、包摂型から排除型の社会へ移行したという認識のもと、排除型社会の構造と文化を分析し、批判し、あるべき社会の諸原則を構想したものである。

■紹介・言及

橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


*作成:橋口 昌治 
UP:20090813 REV:
「社会的排除」に関するメモ  ◇貧困・格差関係の本  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
 
TOP HOME(http://www.arsvi.com)