『社会的ひきこもり――終わらない思春期』
斎藤 環 19981204 PHP研究所,PHP新書,222p.
last update:20111020
■斎藤 環 19981204 『社会的ひきこもり――終わらない思春期』,PHP研究所,PHP新書,222p. ISBN-10:4569603785 ISBN-13:978-4569603780 \693 [amazon]/[kinokuniya] ※ sa w01 m d05
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
三十歳近くなっても、仕事に就かず、外出もせず、時に何年も自分の部屋に閉じこもったまま過ごす青年たち。今、このような「ひきこもり」状態の青少年が増えている。「周りが甘やかさず、厳しく接するべき」といったお説教や正論では、深い葛藤を抱えた彼らの問題を、けっして解決することはできない。本書では「ひきこもり」を単なる「個人の病理」でなく、家族・社会から成る「システムの病理」として捉える視点から、その正しい理解と対処の方法を解説する。
内容(「MARC」データベースより)
30歳近くになっても仕事に就かず、外出もせず過ごす状態「ひきこもり」。単なる「個人の病理」でなく「システムの病理」として捉える視点から、その理解と対処の方法を解説する。〈ソフトカバー〉
■目次
はじめに
第1部 いま何が起こっているのか――理論編
1 「社会的ひきこもり」とは
無関心による悲劇
四つの事例
一過性の流行現象ではない
「社会的ひきこもり」の定義
症状と診断をめぐる問題
思春期に独特の葛藤のパターン
2 社会的ひきこもりの症状と経過
「社会的ひきこもり」の統計調査
無気力とひきこもり
不登校との関連
対人恐怖
強迫症状
不眠と昼夜逆転
家庭内でのひきこもり
退行
家庭内暴力
被害関係念慮
抑うつ気分
希死念慮と自殺企図
その他の症状
その他の背景
「ひきこもり」の心因は何か
3 さまざまな精神疾患に伴う「ひきこもり」
初期診断の重要性
スキゾフレニア
スチューデント・アパシーと退却神経症
回避性人格障害
境界性人格障害
思春期妄想症
うつ病
分裂病人格障害
循環性気分障害
4 社会的ひきこもりは病気か
従来の精神医学の中での位置づけ
精神科医へのアンケート調査
治療の必要を認める見解
社会復帰への見通し
ひきこもりの国際比較
5 「ひきこもりシステム」という考え方
「ひきこもり」は「無気力」ではない
単なる個人の病理としては捉えきれない
対人関係における悪循環
個人・家族・社会の三つのシステム
他人の介入を受け入れられない
コミュニケーションの欠如
家族システムと社会システムの乖離
第2部 「社会的ひきこもり」とどう向き合うか――実践編
1 正論・お説教・議論の克服
「そこにある」ことを認める
努力と激励の限界
一方的な受容の弊害
外傷の体験と回復
ひきこもりにおける他者との出会いの欠如
なぜ治療が必要か
2 家族の基本的な心構え
「特効薬」はない
治療における「愛」の難しさ
母と子の密室的な愛情関係
「共依存」の問題
他人という鏡の重要さ
「愛」よりも「親切」
3 治療の全体的な流れ
最終的にめざす状態とは
立ち直りのための二つの段階
もっとも重要な両親の関わり
「怠け」と考えない
一番不安なのは本人
家族との信頼関係の回復
恨みや避難をどう受けとめるか
本当に「受容的」であるということ
家族の中の「犯人探し」の論理
長期戦をやり遂げるために
4 日常の生活の中で
まず声をかけることから
会話をどう続けるか
金銭に関する三原則
「子ども返り」をどう捉えるか
「脅迫」とのつきあい方
本人が単身生活をしている場合
生活の「だらしなさ」を受け入れる
基本は現状維持
5 家庭内暴力の悲しみ
「甘んじて受ける」対応は間違い
「暴力の拒否」という立場
苦しみを一人で背負いきれない「悲しみ」
初期の基本は刺激しないこと
他人の不在
「非難」――ある家族の場合
暴力を鎮める基本方針
6 治療そして社会復帰へ
治療開始の遅れ
精神科をどう選ぶか
退院への導入
重要なのは治療者との信頼関係
社会復帰のルート
意義ある「たまり場」の試み
パソコン通信・インターネットの可能性
入院治療・ハウス治療など
「三十歳」という節目
「見通し」の共有
家庭の経済状況を説明する
スタートラインを引き直す
7 「ひきこもり」と社会病理
青少年は本当に無気力化したか
「去勢を否認させる」教育システム
性差が意味すること
受け入れても拒んでも結果は同じ
おわりに
ひきこもり対応フローチャート
あとがき
参考文献
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志