『第4回障害者政策研究全国集会』
障害者政策研究全国実行委員会 編 19981213 138p.
■障害者政策研究全国実行委員会 編 19981213 『第4回障害者政策研究全国集会』,138p.
第4回障害者政策研究全国集会
1998年12月13日・東京
「自立支援レジュメ
自立支援プロジェクト
HANDS世田谷 横山晃久
政策研究集会も4回目を迎え、少しすつですが障害者自ら政策決定機構に入り、在宅福祉サービスの受け手から担い手に変化しようとしてきています。
ところが今年国会で採択された介護保険法は30年前に大きく逆戻りすると共に、私たちが運動の中でこだわってきた、「自己主張」や「自己決定権」を揺るがし、また「生存権」も否定されていくものとして「介護保険法」があると認識しています。
このことは、私たちのこれまでの主張を見事に行政がからめ捕り、財政難を理由に「家族に介助を押しつけ」、国民平等といいながら「自己決定権」が脅かされています。
介護保険そのものは具体的には不確定要素があるのですが、2000年の4月1日には全国中で施行されます。そして2005年には見直しが決定されています。その見直しが決まっている2005年には「若年障害者」にも適応を考えている情報も伝わっています。
しかし、私たちの仲間が厚生省の審議会に入り頑張って戦っています。その中では「セルフマネージャー」の必要性を、毎回毎回訴えています。
障害者自ら「セルフマネージャー」となり、「自分の人生は自分で決める」「生き方は自分で選べ自分で決めていく」そういう社会を現実させて行くにも、今こそ障害者の団結を深め圏体(?)[ママ]を結集させて国会・厚生省に対し波状攻撃をかけなければならないと思います。
2000年を皮切りにさまざまな攻撃の玉が飛んできています。これに打ち勝つのは今までは「既得権の防衛」だけで良かったのですが、これからの運動は「既得権の防衛」だけでは太刀打ちできなくなると思います。
いるんな「攻撃のタマ」から身をかわすのではなく、いるんな「攻撃のタマ」を打ち破る「障害者人権法」を1日も早く国会で成立させなければならないと思っています。」(11)
自立支援プロジェクト
消費者コントロールの介助制度の提案――セルフマネージドケア(試案)
ヒューマンケア協会 文責・中西正司
33-38全文
2005年の介護保険制度の見直しに伴って障害者が組み込まれるのではないかとの恐れが強まってきている。それまでに全国で24時間の介護保障がどこでも得られるようにしようと8月9日東京に全国の障害者が集まっ丈。名づけて「ZOOO年障害者介護保障確立全国行動委員会」いう。DPI、JIL、全精連、ビープルファースト話し合おう会、全国障害者介護保障協議会の他、全国の当事者組織の代表たちである。
日本の当事者運動の中心メンバーがこれだけの規模で集まつたのは始[ママ]めてであり、特に精神、知的、身障の障害種別を越えた集合体が2000年に向け動き出したと言うことは大きな意味を持つ。
8月10日には第1回の厚生省交渉が行われ、障害保健福祉部企画課、課長補佐は2005年の見直しで障害者が人る、人らないは決まっていない。身障審では介護保険から外れるものはガイドへルパーと手話だけではだめだるうと議論されている。自薦・推薦へルパーについては新制度創設までは考えていない。との回答があった。今後継続して関係部局との交渉が行われる。
○介護保険と障害者
今、障害者を介護保険に組み入れるべきか、どうするか議論になってきている。賛成派の論拠は基礎構造改革で唱えられている措置制度から市場原理も取り入れた選択性のある社会保障制度への転換を計り福祉制度の一貫性、統一性を作ることである。では実際に介護保険に全ての障害者を組み込んだらとうなるのか。介護保険のアセスメントは74項目中30項目が痴呆や意識障害の項目である。残りは身体の機能障害やADLの不自由さを測る項目である。要介護度3以上を、例えば筋ジストロフィーやCP、頚損の意識や判断能力のあるものが取るのはますありえないことである。このような身体の機育碑害者やADLの不自由さを持ち、.現在日に6〜24時間の措置制度でのホームへルプサービスやガイドへルブサービス、全身性▽034 障害者介護人派遣事業を受けて暮らしている者は社会参加部分や生活機能上のアセスメント項目がなければ、介護保険から落ちこぼれるのは明らかである。
国会での付帯決議である「介護保険適用後において、従来受(ナていたサービスが減少することはない」を遊守することは至上命題である。では介護保険下で身体障害者だけ別制度のアセスメント基準を作ることは可能なのか。それはできない。なぜならば介護保険は国民が将来共通に抱える高齢化社会の介護負担を共同出資の保険制度で等分に負担しようとするものである。高齢者は要介護度5で月に30万円といわれているときに、身体障害者だけ別のアセスメント基準で月80万円もの介護料を得ることは、保険制度の公平性の原理からいってありえないことである。
では介護保険を在宅でのホームへルパー部分をみるものとし、外出や社会参加の部分を知的、精神、身体障害者特有のニーズということで措置制度のガイドへルパー制度といわれる介護補償としてみる、二階建て構造はどうか。これも在宅での介護が介護保険と共通のアセスメントになるという点で例えば、筋ジスで24時間介護が必要な人が地域での生活が不可能こなるという問題が起こり採用できない。
結局介護保険に組み込む案はどれをとってもいきづまる。つまり税金を使って従来の措置制度を改善しながら、利用者の主体性と自己決定を尊重した新制度を作る以外に方法はなさそうである。生まれながらの障害者や交通事故等で中途で障害者となる者はこれから人生を始めようとする若者であり、その介護保障は、さまざまな社会生活を経験し人生の秋を迎えた高齢者に対応し犬国民が平等に負う介護保険にはなじまない。やはり税で賄い最終的な責任を国家が負うべきものであるう。介護保険制度では生活のQOLや社会参加の点において、国は最終責任は負わない。障害者基本法の中に介護を受ける権利を明記すぺきである。
○推薦へルバー方式とカナダのダイレクトぺイメント方式
では現状のへルパー制度の中で、障害当事者の提案を入れて作られた推薦へルパー方式から始めて、どのような新制度が考えられるのか。そして現在の推薦へルパー方式の問題点は何か、どう改善できるのか。カナダのダイレクトべイメント方式を日本でとり入れた場合どうなるのか。その場合のメリットとデメリットは何か、について考えて見よう。
推薦へルパー方式とは言語障害があつて特定の介助者でなければコミュニケーションが取れないとか、体を抱えてもらつて入浴するので若い人でないとできない等の理由で、ー般口ホームへルパーが対応できない時に自分で推薦した人を市町村に登録しておいて必要なとき▽035 に本人が依頼するものである。東京都の場合だと家政婦会に登録しておき、区市から発行さ1た介護券を介助者に手渡し、介助者は家政婦会で現金化する方式を採るところと、区市に直接登録しておいて、実績報告を市に提出し、介助者の口座に介助料が支払われる場合がある。
どちらの湯合もアセスメントは市のケースワーカーが行うという点では共通である。この方式のメリットは本人が気に入つた介助者が選べるため介助者とのトラブルが発生しにくい、2人の合意があれば介助時間を移動したり、延長、短縮したりの自由度が確保されやすい。介助者の頻繁な入れ替わりがないため介助の方法を何度も教える手問が省ける。デメリットは家族とー緒に暮らしていた場合、介助料が本人の介助者を雇用する費用としては使われす、生活費になってしまう等の疑念を生みやすい。自立生活センターの場合センターに登録されている介助者のリストから選ばれて、常時使う人以タトに不定期に1人の障害者が月に20人以上の介助者を使うことがあるので、区市が介助料を各人の口座へ振り込むことは、名簿をつかみ切れないことと、手数が膨大で実質的には役所では対応できない。
カナダでは介助料が介助者に実質的に支払われていた保障を行政が取るために、介助者が社会保険に入ることを義務づけ、全ての介助者の介助料ブラス税金、社会保険が行政から障害当事者に支払われ、その中から給料を介助者に、社会保険料を社会保険庁舎が振り分けて支払う。
この制度のメリットは介助を労働として国が正式に認め、利用者と介助者が雇用関係を結びび労働法と社会保険法にのっとった関係が結べ、介助料が介助に正当に使われた保障が得られることである。デメリットは介助者が週3O時間以上の勤務時間勤めてくれないと社会保険に加入できないので短時間の勤務を望む住民参加型組織が抱える大多数の介助者がこままでは排除されることになりかねない。障害者が多くの人と触れ合い社会経験を積む場を閉ざすことになる。また市民の参加の場を閉ざし、住民の意識変革への道を閉ざすことになる。それはまた障害者、介助者双方にとって1日8時間、週3日以上同じ相手とずーっと一緒にいなければいけないことを意味している。よっぽど気か合った同士ならまだしも、一般的にはこれはお互いにとって非常にストレスのたまることである。
さてこの日本の推薦へルパー方式とカナダのダイレクトべイメント方式の長所を生かし、デメリットを最小限に抑え、しかも日本の法制度にのる形でどんな政策提言ができるだろうか。▽0036
○新しい介助サーピスシステムの提言
新しいシステムは高齢者の介護保険とは一線を画し、それをこえる理念を持ち、実質的に障害者が望む自立生活が可能となり、エンパワーメントされ、主体的に自己選択と自己決定ができ、生活のフレキシビリティが十分に確保され、しかも介助者の労働権が保障されるものでなければならない。
行政にとっては介助料が正当に使われたというアカウンタビリティが確保されること、精神と知的を含む障害者を包含するものであること。介護保険とは明確に異なる制度といえ、それよりも、経済効率が高く利用者の満足度も優れている確証が得られることである。
1.セルフマネジドケァを原則とし、それができない人の場合は障害者生活支援センターまたは自立生活センターのピアカウンセラーがケアコンサルタントとして支援に当たる。都市部では自立生活センターに依頼できるので住民参加型サービスの短時間パートタイマー介助者と専従介助者の併用が可能で、その場合専従介助者については本人管理、短時間パートタイマー介助者の給料と介助中の事故保険については行政の委託を受け自立生活センターが管理する。地方や山間僻地においては利用者人数も多くはないので障害者主洛支援センターか短時間パートタイマー介助者の介助料の支払い等の任に当たれる。
2.新設する障害者介助サービス制度は以下の2制度を包括する。
3.外出部分はガイドへルパー制度を使い1日8時間の範囲で基本的に保障し、実績報告書に基づいて介助料の支給を行う。
4.家の中の介助と旅行中の介助については障害者介助者制度を新設し、2力月に1度朝、昼、夜、深夜及び旅行の日程の必要介助時間を本人に申請してもらい、利用実績に基づいて介助料の支給を行う。この場合緊急対応の介助料については月の介助時間の5%に当たる介功料を事業委託する自立生活センターか行政窓口のどちらかに預託し、即座に介助者が派遣できる体制を整備するように事業実施費用を含め予算化を計る。
5.介助時間のアセスメントは無くす。
6.介助料には通勤に伴う交通費(限度額1000円)、社会保険料、支払い税金額、税理士費用がプラスされて障害者本人の口座に給料日前に行政から振り込まれる。障害者は雇用者とそしてまた事業主としての責任を負い、労働法に則った子続きをし、介助者への支払いや社会保険料等の支払いを行う。
7.利用者から行政または委託された自立生活センターへの介助料の請求は毎月28日に行い、▽0037践りの日数分については概算で請求し次月に調整する。利用者から介助者への介助料の支払いは介助月の翌月10日払いとなる。
8.障害者はこの会計業務を税理士を雇用し行うことができる。また自立生活センターに委Eすることもできる。行政は障害者本人に直接介助料を支給することができるし、また自立生活センターにその業務を委託してもよい。
9.自立生活センターは障害者がこのようなセルフマネージドケアができるようになるように研修会を主催し、自分でできるようになるまでの相談や援助に当たる。自立生活センターのないところでは行政は全国自立生活センター協議会に委託することができる。協議会はNPO法人をとり、全国各地で開催される研修会と研修会講師の派遣について責任を負う。行収はこの研修会の費用と相談業務の委託費用を自立生活センター及び全国自立生活センター協議会に支払う。
〇検討委員会の開催と試行事業の実施
厚生省はこのような世界の状況の中で、わが国での介護保険後の障害者の介助サーピスの検討に早急に入るべきである。まず、第3者機関に委託して、現状の推薦へルパー方式のメリットと問題点を公平な視点で調査し報告書を得る。次にダイレクトペイメント、セルフマジドケアの具体的なわが国での実施を目ざして、99年度より、自立生活センターを入れ検討委員会を開催する。2001年には施行マニュアルを作成し、地方都市を入れ全都道府県で施行事業を行う。2002年に完全実施。[ママ]というようなスケジュールで新障害者介助サーピス事業に取り組んでもらいたいものだ。
○世界の障害者の介護システムの基調
[…]▽038
○世界の障害者介護システムの具体例」