『脳卒中で倒れてから――よく生き よく死ぬために』
鶴見 和子 婦人生活社,190p.
■鶴見 和子 19980815 『脳卒中で倒れてから――よく生き よく死ぬために』,婦人生活社,190p. ISBN-10: 4574701188 ISBN-13: 978-4574701181 1680 [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
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内容(「BOOK」データベースより)
77歳のとき脳出血で倒れ、左半身まひになった社会学者の鶴見和子さん。重度の障害と共生し、老いと向き合う姿は、高齢社会へのカンフル剤になる。
内容(「MARC」データベースより)
77歳で倒れ、左半身まひになった著者は1年余の後歩けるようになった。それは人間としての回生だった。重度の障害と共生し老いや死と向かい合いつつ、仕事をし詩を詠みできることはすべて自分でする、気力充実した日々を語る。
■目次
社会学者、鶴見和子の命日
余生は車いすと言われて
リハビリテーションの第一人者、上田敏先生との出会い
失ったものより得たもののほうが大きい
時間貧乏のわたしのスケジュール
「ゆうゆうの里」の住み心地
歩く稽古は一日も欠かせない
身だしなみ
いざというときは着物で決める
食事で心がけていること
ほか
■引用
リハビリテーションの第一人者、上田敏先生との出会い
「一九九七年の元旦、わたしは一通の速達を受け取りました。
それは、日本のリハビリテーション医学の草分け、上田敏先生(帝京平成大学教授・国際リハビリテーション学会長)からのものでしたた。
神奈川県のリハビリテーション病院にいたとき、わたしはリハビリテーションについてのいろいろな疑問を、しょっちゅう、理学療法士の先生たちにぶつけていました。
元来、理屈っぽくできているので、なぜ、それをするのか、どういう意味があるのか、納得しなくてはいられないのでした。
うるさい患者です。
大学を出たばかりの若い作業療法士の先生が、では、この本を読んでみなさいと、貸してくださったのが上田先生の『リハビリテーションの思想』(医学書院)でした。
これが大変啓発的な本だったのです。<0020<
わがこととひき比べつつ胸に落ちぬ
上田敏の『リハビリテーションの思想』
歌集『回生』に入れたので、上田先生の大学あてに一部贈呈させていただいておいたのです。
「一度、ぜひ診察してさしあげたい」という速達です。びっくりしました。
実はそのとき、わたしはさんざん考えました。というのは、車いすの生活で体も気持ちも一応安定していたからです。もう、これでいいのだけれど、ちょっと気持ちが退けていたかもしれません。でも、相手は、日本一のリハビリテーションの先生です。その先生がせっかくそう言ってくださるのなら、一度、ためしに診察していただこう。そういう気持ちで先生が指定なさった病院にへ出かけたのです。
茨城県の守谷というところにある。会田記念病院という地域病院で、車で行くと、冬枯れの田んぼの真ん中にその姿をあらわしました。
ここで、わたしは、本当に変われるのかな、期待半分、不安半分とはいったところでした。<0021<
到着した日に、リハビリテーション室では、会田記念病院のリハビリテーション医の大川弥生先生(現在国立長寿医療研究センター・老人ケア研究部部長)が、待っていたくださいました。そしてウォーカーケインと、金属の両側支柱付き短下肢装具が持ち出されました。
「これをつけて歩いてごらんなさい」
わたしは、耳を疑いました。」(鶴見[1998:20-22])
■言及
◆立岩 真也 20100701 「……」,『現代思想』38-9(2010-7): 資料