「費<0097<用効果分析[…]は、ある医療サービスを提供すると、その結果として、どれだけ生活の質(QOL,Quality of Life)を考慮した寿命を延長させることができるかをその費用との関係で分析します。こうした分析により、社会全体の効用に高める医療サービスを優先して資源を配分することになります。
表3−1はイギリスでまとめられた、各医療技術ごとの1QALY(Quality Adjusted Life Year、質修正生存年=質を調整した寿命の延長)です。たとえば、寝たきり状態での10年を健康な状態の1年に換算)の効果を得るために、どれだけお金がかかるかを試算した結果を示しています。通常提供されている医療サービスの中には、1QALYの成果を上げるために、非常に大きなコストの差があることが明らかです。
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イギリスにおいても、こうした費用効用分析の結果が直ちに医療資源の配分に反映されているわけではなく、まして個々の患者に対する医療サービスの提供には影響していません。この点、アメリカのような保険者による「標準」医療の<0099<強制とは基本的に異なります。しかしながら、長期的な展望に立たなければならないマンパワーの養成、施設設備の整備、という計画レベルでは影響が現れはじてめています。」(池上[1998:97-99])