『超高齢化社会の経済学――低成長と高負担を生きのびる』
石山 嘉英 19980130 日本評論社,298p.
■石山 嘉英 19980130 『超高齢化社会の経済学――低成長と高負担を生きのびる』,日本評論社,298p. ISBN-10: 4535551065 ISBN-13: 978-4535551060 \2100 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
「BOOK」データベースより
この1冊で高齢化のすべてがわかる。「大変な時代」が近づいてきた。豊かな1%成長経済に向けて大胆に提言。
「MARC」データベースより
人口の高齢化と伸びの消滅はどんな問題をひきおこしているのか。人口、マクロ経済から企業経営の分野まで、幅広い間口から「大変な時代」を分析。豊かな1%成長経済に向けて、大胆に提言する。
■目次
まえがき
序章 超高齢化社会の風景
1 『恍惚の人』と『黄落』
見たことのない光景
『恍惚の人』
『黄落』
老人介護は家族か社会か
低成長にもメリットがある
2 超高齢社会のイメージ
超高齢化への準備
高齢者の実情
年金・医療・介護
個人・家族・社会の関係
第1章 人口の停滞と高齢化の理由
1 少子高齢化社会の出現
人口の静止と高齢化
少ない人口変動の研究
人口変動の法則
2 日本の人口データを読む
史上最低の出生率
人口増加と経済成長
最近の人口変動
「めでたい高齢化」と「寂しい高齢化」
3 低い出生率、下げどまった死亡率
強まる晩婚化・非婚化の傾向
女性が結婚を避ける理由
子をつくれるのか
合計特殊出生率とは何か
長寿はどこまで伸びるのか
上昇しはじめた死亡率
4 人口減少は日本の衰運か
最新の人口予測
人口の年齢構成
二〇〇八年からの人口減少の意味
損得勘定だけではない
5 将来推計人口
人口予測はなぜ楽観的だったか
出生率は上がるかもしれない
第2章 1%成長経済への軟着陸
1 経済成長パターン変化の歴史
経済成長率の決定要因
経済成長と産業構造の関係
経済成長と貯蓄率の関係
経済成長と人口変動の関係
2 労働力人口はどう伸びるか
労働力人口の決定要因
女性・高齢者はもっと働けるか
労働生産性を上げられるか
3 労働生産性を考える
重要な一人当たりの資本設備量
一人当たりの資本設備の増加はつづくか
4 貯蓄率からのアプローチ
貯蓄率、投資率からみた経済成長
家計貯蓄率の低下
資本係数はどうなるか
補論 貯蓄率について
5 低成長のメリット
二〇一〇年までの成長率
低成長のメリット
シンプル・ライフが広がる
ソフト・ランディングをどう実現するか
第3章 高齢者の現実
1 福祉国家のジレンマ
福祉とは何か
保険がひきおこすモラル・ハザード
あいまいな予算制約
世代間の争いの可能性
2 劣悪な住宅事情
3 低くない高齢者の資産と所得
高齢者は「貧しい」のか
貯蓄率は少なくない
データからの結論
高齢者世帯の支出の中身は何か
4 高齢者の自助
頼りになる貯蓄
年金はいくらもらえるのか
切実な六〇歳以後の雇用
「ゆるやか勤務」と企業年金への期待
「逆住宅ローン」の可能性と現実
5 高齢者の生きがい
第4章 年金改革・第三の途
1 公的年金の原則と現状
維持不能な現在の制度
公的年金の存在理由
積み立て方式か賦課方式か
日本の現状は賦課方式
上昇しつづける保険料率
高い保険料の弊害
2 行きづまる年金財政
現行制度のもとでの保険料率
急増する受給者数
年金財源の収支見通し
国民年金制度の現状
基礎年金の拠出金の計算方法
3 積み立て方式への大転換の道すじ
いかなる改革か
積み立て方式の優位性と移行の方法
積み立て方式への移行・その一
積み立て方式への移行・その二
基礎年金には賦課方式を残すべきか
フェルドスタイン教授の改革論と国債発行の現実性
筆者の移行案の細目
国民年金の改革案
専業主婦をどうすべきか
第5章 医療・介護は大丈夫か
1 「寝たきり老人」なぜ増える
高齢者ケアの現状
要介護者は何人いるか
医療と介護の役割分担
特養ホームの位置づけ
在宅介護の重要性
2 公的介護保険を考える
公的介護保険の骨子
公費(税)を使う理由
問題点が多い
保険料負担あって介護なし?
介護サービスの本当のコストはいくらか
不十分な市場メカニズムの活用
消費増税が行われた理由
監視体制の整備
3 無駄な医療費、必要な医療費
問題の所在
医療費増加の要因分析
高すぎる薬代
抑制が必要な過剰診療
末期ケアの問題
4 医療制度の改革
自己負担による医療改革
医療保険システムの赤字拡大
医療の質はまだ不十分
医療費全体の抑制策
第6章 放漫財政からの脱却に向けて
1 「官経済」肥大化のメカニズム
なぜ財政赤字が拡大したか
財政支出の非対称性
まったく異なる予算と決算
巨大な「官経済」
「官経済」の膨張メカニズム
2 財政の破綻は近い
緊縮財政がはじまった
緊縮財政の国民生活へのインパクト
財政改革の途
減らすべき支出もある
現実的な財政改革案
検査・監視の重要性
官僚の早期退職の弊害と政治の役割
3 長期財政計画を考える
不可欠な長期財政計画
国民負担率はどこまで上がるか
もうひとつの増税要因
財政デフレになるのか
4 財政投融資の改革も不可避
隠された分野・財政投融資
最大の赤字分野は国有林野事業
解明を要する年金福祉事業団
官僚だけに任せておけない
第7章 21世紀の企業経営
1 非可逆的な環境変化
構造変化の実態
簡素充実の時代へ
物財生産の限界
非製造業は非効率
製造業志向の限界
2 低成長を克服する経営
不十分な企業のリストラ
個別企業の立場
日本の物価が高い理由
雇用システムの変え方
仕事からの満足が欲しい
必要な資本効率の大改善
強烈なインパクトをもつ時価主義会計
3 産業と企業の新しい枠組み
産業別の経営論
低下した生産技術の重要性
非力な素材産業
何とかならぬのか住宅産業
サービス業も非効率
外資を恐れる金融業
4 企業の高齢者対策への期待
企業による高齢者活用の途
子会社活用の可能性
企業年金の現状と問題点
問題かかえる厚生年金基金
改革の方向
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治