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『障害当事者が提案する地域ケアシステム――英国コミュニティケアへの当事者の挑戦』

ヒューマンケア協会ケアマネジメント研究委員会 著
ヒューマンケア協会・日本財団,199801,131p.,1500円

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 第I部 英国コミュニティケアと障害者――英国研修報告
  第1章 コミュニティケアの概説
  第2章 ダイレクト・ペイメント(直接給付)
  第3章 ランベス統合生活センター
  第4章 コミュニティケアの哲学と展望

 第II部 ケアコンサルタント・モデルの提案
  第1章 『身体障害者ケアガイドライン』の検討
  第2章 ケアコンサルタント・モデルの提案
 資料篇
  NCIL情報
  「介助利用者ニュース」イギリス障害者団体協議会
  カナダ・オンタリオ州における自己管理型介助サービス

■紹介

 第I部の最終的な整理、全体の整形の作業の労苦は東京都社会福祉協議会の朝比奈ミカさんが一身におわれました。
 第I部は、昨年(1997年)8月末〜9月初めに1週間ほどロンドンに行った旅行の成果報告です。私も尻尾にくっついて行きました。毎日朝から夕方まで話(中西由起子さんの通訳付きですが)を聞き、討論し続けるという、かなりハードなものでした。そこいらの「外国はよい」式の論文・報告書よりはよい報告です。
 英国のコミュニティケアがそんなにうまくいってないこと、(少なくとも英国の)ケアマネジメントは困ったものであること、など。
 それから第4章は、ビック・フィンケルシュタイン(Vic Finkelstein :南アフリカ共和国出身、中途障害、反アパルトヘイト闘争で投獄→英国へ、オープン・ユニバーシティ教員、元DPI世界評議員)氏の話をまとめたもの。みんな、話を聞いた時には、抽象的だとか、ぶうぶう言っていたのですが、結局、後で、なんだかんだ言って彼の話を思い出してました。
 1 自己紹介に代えて
 2 コミュニティケアは失敗している
 3 ケアの歴史的考察
 4 障害観と社会のモデル
 5 新しい文化の創造をめざして
といった構成になっています。私としては、びっくり、といった内容ではなかったように思いますが、施設→地域へという移行において施設における方法論が地域にそのまま持ってこられてしまったのだといった指摘は、うんうん、という感じでした。

 第II部は中西正司さんと私が書きました。1996年3月の厚生省社会・援護局更生課&日本障害者リハビリテーション協会による『身体障害者ケアガイドライン』を批判し、この延長上に出てきた「身体障害者介護等サービス整備支援試行的事業」(1997年秋)を批判し、対案を提示したものです。 上記の「ガイドライン」「事業」は、いろんな具合に変なのであって、そのことを書きましたけれど、読めばわかるはずですがわからないかもしれない「変」の一つは、これが、リハビリテーション〜医療の専門職の職域の確保という動機に発するものである(としか解せない)ことです。これは、税金の無駄使いにしかならない可能性が大であり、そして…

★ 1冊1500円のこの報告書の売上げの全額(出版経費自体は別途出ているので)はヒューマンケア協会の運営費にあてられます。私は依託販売を行なっているわけです。では。

                                立岩 真也


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