『第三の道――効率と公正の新たな同盟』
Giddens, Anthony 1998 The Third Way: The Renewal of Social Democracy, Polity. 176p.
=19991021 佐和 隆光 訳,日本経済新聞社,285p.
■Giddens, Anthony 1998 The Third Way: The Renewal of Social Democracy, Polity. 176p. =19991021 佐和 隆光 訳,『第三の道――効率と公正の新たな同盟』,日本経済新聞社,285p. ISBN-10: 4532147719 ISBN-13: 9784532147716 \1500 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
社会学の世界的権威でもあり英国ブレア政権のブレーンであるアンソニー・ギデンズが、古典的社会民主主義と新自由主義を対比させながら、社会民主主義の刷新について論じているのが本書である。
「第三の道の政治か目指すところを一言で要約すれば、グローバリゼーション、個人生活の変貌、自然と人間との関わり等々、私たちが直面する大きな変化の中で、市民一人ひとりが自ら道を切りひらいていく試みを支援することに他ならない」と基本は至極シンプルで、方向性は「社会民主主義をめぐる論争が本格的な脱国境化を遂げること」。だが、そのプロセスである「第三の道へのプログラム」各論は難解だ。プログラムとは、
- ラジカルな中道
- 新しい民主主義国家(敵不在の国家)
- アクティブな市民社会
- 民主的家族
- 新しい混合経済
- 包含としての平等
- ポジィティブ・ウェルフェア
- 社会投資国家
- コスモポリタン国家
- コスモポリタン民主主義
の10項目。
「民主主義はあまねく普及し、民主主義国家同士が交戦することはないとの仮説が信憑性を帯びてきた」(232ページ)との言葉に代表されるように、ギデンズ先生は全体に楽観的で民主主義過信ぶりが目につく。たとえば “民主的家族” 。家族政策の重要性を前置きしたうえで「民主化された家族もまた一つの理想像である」と難解なことを言ってのけ「親の権威の何たるかは、親子の話し合いによって定まるのであって、最初から決まった定型があるわけではない」と脳天を一撃してくれる。もっともこの前提には『親密性の変容』(原題『The Transformation of Intimacy』)という興味深い著作があるので、興味ある向きにはこちらもおすすめ。
世界各国で翻訳された本書には多くの批評が寄せられ、著者はすでに本書に対する批判に答えた『The Third Way and its Critics』を上梓している。併読すれば、より理解が深まるだろう。少なくとも民主党をはじめめとする政党の政策理解に役立つはず。政治、経済、社会学を学ぶ上でおさえておきたいテキストだけに、ノンブルが本のとじめの部分にあるのがいただけない。(松浦恭子)
内容(「BOOK」データベースより)
グローバリズム、市場主義と、社会の安定は両立できる。冷戦以降の欧米政治の基本理念となった考え方を初めて包括的に明らかにする待望の書。ブレア英首相に多大な影響を与えた現代社会学の泰斗ギデンズが放つ、21世紀社会への指針。
内容(「MARC」データベースより)
グローバリズム、市場主義と、社会の安定は両立できる。冷戦以降の欧米政治の基本理念となった考えを初めて包括的に明らかにする。ブレア英首相に多大な影響を与えた現代社会学の泰斗ギデンズが放つ、21世紀社会への指針。
■目次
はじめに
第1章 社会主義は過去の遺物か
社会主義の終焉
旧式の社会民主主義の限界
新自由主義の矛盾
二つの「正義」の比較
自由市場は万能か
四つの「主義」の配置図
社会民主主義はどこへ行くのか
第2章 五つのジレンマ
グローバリゼーションの意味するもの
新しい個人主義とは何か
左派と右派の区別は意味を失ったのか
政治家は将来設計を担い得るのか
環境配慮型の近代化
「第三の道」が目指すもの
第3章 国家と市民社会
民主主義の民主化
中央から地方への権限移譲
公共部門の刷新
行政の効率化
直接民主制の導入
リスクを管理する政府
上下双方向の民主化
アクティブな市民社会をつくる
政府と市民社会の協力関係
第三セクターの活用
地域主導によるコミュニティーの再生
地域の公的領域の保全
犯罪とコミュニティー
民主的家族‐伝統的家族の崩壊
第4章 社会投資国家
平等とは何か
「包含」と「排除」
ポジティブ・ウェルフェア社会――これからの福祉のあり方
社会投資はどう行われるべきか
企業家のイニシアチブ
生涯教育
公共事業のパートナーシップ
ポータビリティ
家族に優しい職場づくり
第5章 グローバル時代に向けて
コスモポリタン国家とは何か
多文化主義
コスモポリタン民主主義
ヨーロッパ連合の存在意義
グローバルなガバナンス
安定、平等、繁栄が溶け合う世界
結び
訳者あとがき 「第三の道」はどこへ行く
注
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志