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『埋もれたエイズ報告』

NHK取材班 編 桜井 均 著 19970730 『埋もれたエイズ報告』,三省堂,337p.


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■NHK取材班 編 桜井 均 著 19970730 『埋もれたエイズ報告』,三省堂,337p. 1600+税 ISBN-10: 4385357897 ISBN-13: 978-4385357898  [amazon] ※

■内容

(「BOOK」データベースより)
血友病患者のエイズ認定はなぜ2年も見送られたのか?“エイズ第1号が2人”という異常事態はなぜ起きたのか?10年以上も前に輸血によるHIV感染が起きていた!薬害エイズ事件の埋もれた附分を克明にたどるうちに筆者はHIV感染の途方もない広がりと意外な起源に気づいた。NHKの93年入手資料と96年の厚生省公開資料の徹底検証から浮上した行政の「情報秘匿」と「不作為」の驚くべき連鎖。

■内容

(「MARC」データベースより)
薬害エイズは、実は輸血エイズにまで広がる日本の防疫上の大スキャンダル。今までの報道に隠れていたもう一つの視点から、いまだ埋もれている被害とそれを生み出した「不作為の連鎖」を描く。

■目次

はしがき

1章 封印は解かれた(94〜96年)
「姿なき」原告
「証拠なき」裁判
「内部文書」入手
和解交渉と資料公開
公開資料の落とし穴

2章 「一号患者が二人いた」(85年春)
「第一号はアメリカ在住の日本人」
帝京大症例
順天堂大症例
否定されたスクープ
その後の「一号患者」
八三年の意外なメモ

3章 アメリカからの警告(83年春)
血液感染の衝撃
アトランタ緊急会議
血友病患者に免疫異常続出

4章 厚生省は知っていた(83年4月〜6月)
厳戒・エイズ研究班設置
アメリカ最新「エイズ年表」
余白メモ「第IX因子輸入せず」
届いていた汚染情報――研究班前夜
生かされなかった危険情報
課長補佐のシミュレーション
「回収報告」に誰にされたのか
寄せ集めの資料

5章 消えた一号患者(83年7月〜10月)
「厳密」な患者認定
CDCの判断基準
ロットをおさえろ
水際がない
「加熱製剤を奨励する…」
患者認定は「慎重に行う」
スピラ博士の診断
二つの小委員会
日本の判断基準

6章 一九八三年の血友病患者たち(83年7月〜10月)
ある患者会
血友病友の会の役員会
ある予言
ある講演
「非常事態宣言」出されず

7章 フランス・血のスキャンダル(83年〜85年)
アメリカからの汚染情報
善意の献血
秘密の臨床「実験」
毒殺罪

8章 追跡「汚染ロット」(83年10月〜12月)
海の向こうの「自主回収(リコール)」
テキサスの売血
国立予研通過
「全品廃棄済み」
確認できず
「報告書」はあったのか

9章 日本にエイズ患者はいない(84年夏〜冬)
ウイルス特定と血友病専門医
ギャロ報告「四八人中二三人感染」
「当課としての考え方」
「マスコミには発表しない」――京都会議
京都会議――「エイズ研究班」の再開か
「ギャロ報告」受理せず
並行線

10章 「軟着陸」という解決(85年春〜夏)
最悪のシナリオ
「パニック回避」型の行政
告知と二次感染
エイズ・パニック

11章 隠れていた感染者群(83年〜94年)
非血友病への大量使用
第九因子製剤の死角
薬害と感染症の接点

12章 輸血感染者がいた
厚生省「至急連絡」
厚生省・日赤の緊急会議
日赤の抵抗
第一例発生、国内血は安全か
ルックバック方式(アメリカ)
日本の輸血感染者数(推計)
発表前夜の想定問答
日本式ルックバック
「輸血感染」第二例
埋もれた「輸血感染者」
意外な起源
輸血感染確定

13章 不作為の連鎖
メディアの不作為
発表報道の落とし穴
厚生省が想定した法的責任

あとがき
厚生省研究班委員・厚生省関係者一覧 年表



はしがき
 いまや、「薬害エイズ」を知らない人はほとんどいないであろう。しかし、血友病患者のおよそ四割が血液製剤を通してHIVに感染した事件を、「薬害」とだけ言いあらわすことに違和感を抱く人はどれほどいるだろうか。
 これまで「薬害」という言葉は、薬の副作用によって起きる大規模な事件(サリドマイド、スモン、クロロキンなど)に使われてきた。薬害エイズは薬の副作用による被害ではない。血友病患者が治療に使う血液製剤のなかに、エイズウイルスが混入していたことによる「感染被害」である。
 エイズウイルスは血液と精液を媒介にして感染することは、いまでは常識になっている。
 薬害エイズは性感染と血液感染の連続によって起こった。はじめは男性同性愛者のあいだに流行した性病としてのエイズが、彼らの献血(売血)を原料とする血液製剤を通して血友病患者の一部に感染し、さらにその一部が配偶者、パートナーへと性感染(二次感染)していくという感染経路をたどった。血友病患者を襲ったエイズは、こうした前後の関係のなかでとらえ直されなければならない。「血液製剤によるHIV感染」とするのが正確な表現である。


*作成:北村健太郎
UP:20090403,26
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