『ジンメル――生の形式』
北川 東子 19970610 講談社,302p.
last update: 20100904
■北川 東子 19970610 『ジンメル――生の形式』,講談社,現代思想の冒険者たち 01,302p. ISBN-10: 4062659018 ISBN-13: 978-4062659017 \2650 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
・同書のカバーより
生の形成(Form des Lebens)
ジンメルは,人間の「生」のありようを,「生の形成」と生の躍動性との相剋のダイナミズムとして捉えようとする.経済・技術・制度・芸術など人間のいっさいの活動=文化は,本来人間がよりよく生きるための手段であり,形式なのだが,いったん成立すると形式自体の論理によって展開し,静止・固定化し,やがて生と対立するようになる.これにたいしジンメルは,人間の生を永遠の自己超越の運動すなわち「より以上の生であり,生より以上である」と位置づけ,いつもすでに上昇と自己克服をめざす人間的生と対立する文化諸形態の,制度化と保守化をするどく批判する.
■目次
前書き 1
プロローグ ジンメルという哲学者がいた 11
1 哲学の危機的状況 12
2 「哲学的文化」 18
3 瞬間と全体の合体 24
第一章 ベルリンの哲学者 35
1 同化ユダヤ人の家庭 36
2 哲学修業時代 40
3 ユダヤ知識人とドイツ・アカデミズム 48
4 ベルリンを離れて 60
第二章 都市の哲学 69
1 大都会――近代の視覚性 70
2 観光都市 80
第三章 両性具有者の女性論 91
1 ジンメルと女性たち,あるいは女性たちとジンメル 92
2 ジンメルの女性論 106
3 フェミニズム哲学のもう一つの側面――権力批判 122
第四章 時代の病理学 137
1 貨幣の哲学 138
2 「社会学的まなざし」への教育 152
3 カント研究と「近代」の相対化 159
4 『社会学』の成立とその手法 166
第五章 近代の感情装置 179
1 「瞬間的な自我」 180
2 非対称的な相互性と大衆現象 183
3 感謝――人類の道徳的記憶 188
第六章 「哲学的文化」 193
1 世界の物的性格と多次元の混在 194
2 多元性に休らう「物」たち 197
3 過剰へのセンシビリティ 204
第七章 生の形式 211
1 境界 212
2 生の直観 218
第八章 エッセーの思想 223
1 懐かしい形のように 224
2 エッセーの思想の流れのなかで 232
エピローグ ジンメルとともに思考は装飾となる 239
1 ある日のジンメル 240
2 芸術――世界と生への感謝 250
3 終わりに――ジンメルという哲学者を愛するということ 260
ジンメル略年譜 268
キーワード解説 274
著作案内 281
関連文献 285
後書き 288
索引 302
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:藤原 信行