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『澤田隆司自立生活20周年記念文集』

澤田 隆司,澤田 隆司自立生活20周年記念文集編部 編 19970301 澤田 隆司自立生活20周年記念文集編部,77p.

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last update: 20190916

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澤田 隆司,澤田 隆司自立生活20周年記念文集編部 編 19970301 『澤田隆司自立生活20周年記念文集』,澤田 隆司自立生活20周年記念文集編部,77p. 300+ ※r

■内容

「発行にあたって」:見返しより

 阪神大震災のあった朝、テレビレポーターが「阪神御影駅付近は火の海となっております!」と絶叫していた。それを聞いて「ああ、沢田さん、もうだめか!?」と思った。しかしなんとか六甲デイケアセンターに電話が通じて無事が確認できた。しぶたいおっさんだと思った。それよりも沢田さんほか何人もの障害者と、その介護を担うには圧倒的に少ない健全者との避難生活の大変さの方が重く感じれた。
 沢田さんのように、重度の障害を持ちながら、親元での在宅生活や施設への入所を拒んで一人暮らしをしている人―自立障害者にとって、介護者との関係は命綱である。介護者自身の被災や、交通の遮断などによってそれまでつくってきたネットワーク(・・・って、そんな立派なもんかどうか知らないが)が断たれてしまい、沢田さんの身に介護者不足という生存の危機が襲うことになった(そして運悪く沢田さんたちとの避難生活に閉じ込められてしまった健全者は地獄のような超過労働が強いられた)。
 全障連(全国障害者解放運動連絡会議)の人たちが大阪に避難所を確保してくれたので、沢田さんほか何人かの障害者はそちらへ避難してきた。私は震災後沢田さんを見たのはその時が初めてだったが、意外と何事もなかったかのような様子だった気がする。多少ナーバスになっていたようだが、ふだんから「介護者おらんかったら死ぬで」と、いつ死んでもおかしくないような生活している彼にとって、地震なんてそんなに恐いものではないのかもしれない。むしろ震災ボランティアの人たちがいっぱい介護に来てくれて「しめしめ」とか思っているんだろう。
 そういうごたごたが一段落ついて、自宅での生活にもどった。ある日私が介護に入っていて、どういう話の流れからか、今年で自立生活を始めてちょうど20年目だということを聞かされた。これはちょっとすごいことだと思って、「それなら20周年を口実にしていろいろやったらいいじゃん」と、沢田さんを煽った。沢田さんとしては、「だからなんなんや」という醒めた気持ちもあったかもしれないが、震災を通じてできた新しい、しかも幅広いつながりを発展させていくためにも、今はちょっと途切れかかってる昔からの介助者と関係を復活させていくためにも、これは良いチャンス、分かりやすい口実だ、ということで沢田さんも「ほー!ほー!」とノってくれた。
 その一環として、文集作りの話がのぼってきた。沢田さんとその介護者など周囲の人たちで共同で作れて、なおかつ作ったものを新たな関係づくりに生かせるものを、ということで話はついた。しかしいざ動き出してみると、なかなか進まないというか、一応編集責任者であった私が怠慢だったというか、いつのまにか年を越して21周年になってしまった。早くから原稿を書いて寄せてくれた人には本当に申し訳ないことだ。とにかく完成させよう、ということで仕上げたので、至らないところもいろいろあるかとも思う。当初案で盛り込みたいと思って、出来なかった企画もいろいろあるので、いずれ追加版を出したいと思っています。

(編集責任:水谷宇一朗)

■目次

澤田隆司インタビュー!!“人生は川のようだ”!
澤田さんへ・・・仲間の障害者、介護者たちより――自立20周年にあたって熱いメッセージ集
「吾が子、その後」――澤田セイ(澤田さんのお母さん)
徹底討論!澤田さん vs 介護者(十亀智彦)
澤田隆司著作集(わずか2本)
澤田用語の基礎知識――「なんじゃこりゃ。わけわからん!」と思ったらこのページへ
メディアの中の澤田さん
澤田・大賀対談――なるようになる!?
編集後記

■引用


■書評・紹介


■言及



*作成:岩ア 弘泰
UP: 20190916 REV:
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